Eighter -Practical Era-
35ther 〜十九と対立する祭 B〜



#3
 体育祭に乗り気ではない天四斗(あまよと)のDr.キリコこと斬子(きりこ)は工業高校、情報技術特化だから情報戦で死合を制しよう
と考えだす。
品辛斬子(ぴんから・きりこ)「で、次にアートパネルだが、こっちはこっちでちょっとした問題がある」
一同「何ですか?」
 またどうせろくでもないことだろうなぁ……と思いつつも無視しても無視しなくても結局は同じなのでとりあえ
ず聞いてみる
斬子(きりこ)「お前らも知っての通り、アートパネルは毎回建築科がトップを独走している」
 まぁ、なんというか美術というか、むしろ設計図のような出来栄えなのだが……
 その精巧な筆致は他のクラスの追随を許さないのは事実である。
斬子(きりこ)「建築科の独走を崩すのは非常に厄介だ……そこでだ……」
樫木(かしぎ)堅「ま、まさか……アートパネルの破壊工作に出るとか言うんじゃないでしょうね……」
 それはもはや情報戦ではない
斬子(きりこ)「うむ。ならばそれでいこうか……」
一同「待て待て待て待て」
風見原莉暗(りおん)「なに、心配はいらんぞ、すべてはこいつがやったこととして他のメンバーには被害が出ないような情
報操作はしといてやる」
 そこだけ情報戦……
堅「おい!」
 自分で言い出したことなので自業自得ではあるが、これはひどい……
斬子(きりこ)「という冗談はさておいて、なんか建築科に勝てるようないい案がないか考えろ。なるべくゲスいヤツでウチ
のクラスの評判が下がらないのを頼む」
一同「その注文がゲスの極みすぎるわ!」
 と、いうか、それ、本気で考えないといけないの?って思う一行であった
杭木亢(くいぎ・こう)「では、こういうのはどうだ?」
 そして早速意見を述べる妹萌え
(こう)「建築科の要、CADをぶっ壊す」
一同「結局破壊工作じゃねぇか!」
莉暗(りおん)「フム、CADを壊して魔法を使えなくする……と」
 律儀に黒板に書いていく莉暗(りおん)。しかも丁寧にカッコをつけて全ての責任は(こう)一人になるような情報操作を行うと
まで書いていく
 ってか、そのCADは違うCAD……
堅「あ、じゃあ、こういうのはどうだ?……どこそこの何々のパクリだ!ってなことで審査員の顰蹙(ひんしゅく)を買わせる」
 いや、それ、まずパクられた大元を探し出すって作業が無理ありすぎるだろう……と考える一行
 大体建築科のアートパネルを視察に行かないと無理なわけで、そうなると逆にこっちにスパイ容疑がかかるので
はないのか……
 だが、しかし、得意げに堅は続ける。
堅「フッ、そこもちゃんと考えてある」
一同「えぇ!?」
堅「かんなを使えば一発解決だ!」
一同「……」
 そして肝心なところが人任せじゃねぇか!と盛大に突っ込まれる堅であった。
 まぁ、かんなの超運をもってすればアッサリとその作戦うまくいきそうだけど……一番誰の手も汚さす建築科の
栄光を失墜させることができそうだけど……

#4
楯木(てすりぎ)盾「じゃ、こういうのはどうすか?高名な建築士を招いて毎日のように建築科のアートパネルの制作を見学さ
せる」
(こう)「ハッ、何をバカなことを言っている、これだからシスコンは……」
 妹萌え(自分)のことを棚に上げる。いや、だから、お前もシスコンな
盾「ケッ、笑止!これだから妹にうつつを抜かしていやがる馬鹿は困る」
(こう)「ああん?てンめぇ……」
 ガタ〜〜ンと椅子から立ちメンチを斬る二人
 そのまま一触即発……が、しかし、そんな二人を放置して話を進める教師二人
斬子(きりこ)「……なるほどな……高名な建築士が毎日のように意味もなく見学に来ることでプレッシャーを与えるという
作戦か」
莉暗(りおん)「あっちの妹萌えは高名な建築士がアドバイスをしてさらに建築科のアートパネルの完成度が高まるんじゃな
いかって懸念してたんだな」
一同(……)
 そんな推理とか補足はどうでもいいからとっとと二人の喧嘩を止めろよ!と思う一行であった。
 と、言うかみんな建築科の妨害工作を考えて(斬子(きりこ)が考えとと言ったのが発端だけど……)誰もこっちが頑張っ
て建築科を見返してやる的な発言がないのがすでにヒドイ……
莉暗(りおん)「他に意見はないか?」
 これ以上どうしろと……って思う一行
斬子(きりこ)「よし、ならば宮廷画家を呼ぼう」
一同「何でですか!」
 ってか今時そんなヤツいねぇよ!と盛大に突っ込む一行
斬子(きりこ)「いやいや、ここにはサザンオルステラの姫がいるだろう、何を馬鹿なことを言っているんだ」
 その一言に、ハッ!た、確かに……という雰囲気が場を包む。
斬子(きりこ)「まぁ、隠さなくてもいいんだぞ、裸婦像描いてもらっているからといって何も恥じることはない」
一同「えっ?」
 キラ〜〜ンと男子どもの目が輝く。
ユリア・キドニー「ラフな格好で描いてもらったことはあっても、裸婦を描かせたことはないですよ?」
 すかさずダジャレを仕込みつつ返すユリアであった。
生徒「ってか、外部の人間を助っ人に呼ぶとか反則じゃ……」
斬子(きりこ)「ハハハハ、何を馬鹿なことを言っている、誰も作品なんか宣伝してないぞ」
一同「そりゃ販促だぁ!」
 馬鹿なことを言っているのは寧ろそっちでは……?

 ……話は戻って……

生徒「ってか、宮廷画家って本当にいるの?」
ユリア「やっぱり不要な職業だと思いますよね……今はデジタルコンテンツの時代ですし」
一同「そっちの意味じゃねぇよ!」
 妹が『いる』ってなことでやってきたときと同じノリなユリアであった。
斬子(きりこ)「よし、話がまとまったところで今日は解散」
一同「何一つまとまってないし!解散すな〜!」
 ……なお、サザンオルステラの宮廷画家を呼ぶってなことは既に決定事項なのであった。


続

前の話へ 戻る 次の話へ