Eighter -Practical Era-
33rder 〜魔法少女工房製造(クラフトワークス) B〜



#3
 天四斗(あまよと)のDr.キリコとGTR……二人の策士の手により始めさせられてしまった魔法少女……今、女王を決める戦い
のゴングが鳴る
※こんな魔法少女イヤだ……
楠木南「なんか滅茶苦茶恥ずかしいんですけど……」
 まぁ、それもそうだよね……一般の人間はコスプレ慣れてないし……
品辛斬子(ぴんから・きりこ)「さぁ、覚悟を決めて戦うんだ!」
櫟木樂(いちい・らく)「い、嫌です……」
風見原莉暗(りおん)「戦い抜き、最後の一人になるまでこの戦いは終わらない」
楸木(ひさぎ)秋「でも、流石に変身解除は自分でできるんでしょ?」
 確かに……まさか変身解除が自由にできないなんてことないでしょうね……とジト目で教師二人(正確には一人
は教育委員会の人間だが……)を睨む五人
斬子(きりこ)「当然、自分の意思で変身、変身解除できなくては魔法少女ではない!」
榎木(えのき)夏「だったら……」
莉暗(りおん)「でも、今変身解除すると素っ裸になるけど……」
南、夏、ユリア・キドニー、(らく)椛木(もみじ)花「ちょっ!」
 聞き捨てならないセリフに五人は憤慨
斬子(きりこ)「その変身アイテムは正式名称をグラビティ・ショックウェーブ・ジェネレイティング・ツールと言い身に着
けている衣装を光に変換して魔法少女の衣装へと非可逆的に変更するものだ」
南「なんて無茶苦茶なアイテム……」
莉暗(りおん)「まぁ、勝手にそう設計されたんで、文句は全て製作者に行ってくれ」
南、夏、ユリア、(らく)、花「あいつめぇ!」
 今、五人の怒りが壬屈縛紀(みかがみ・しばき)に向いた。
斬子(きりこ)「さ、文句言ってないでとっとと武器を出して戦うんだ」
ユリア「……え?魔法で闘うんじゃないんですか?」
莉暗(りおん)「魔法で武器を召喚するってことはつまり魔法で闘うってことでしょ?」
一同「違います!」
斬子(きりこ)「よく考えてみろ、魔法の力で空を飛びつつマシンガンやミサイルランチャーを使う魔法少女だって世の中に
はいるじゃないか」
一同「いや、それは……」
 魔法少女(うちゅう)定義(ほうそく)が乱れる……

花「魔法少女アイドル……ありかもしれない……」
 そんな中、花はノリノリだ。
 厨二病とは魔法が使えると思い込んでいるイタい少女であるといえるかもしれない……で、あればこの五人の中
で一番魔法少女に近い存在こそ花であるといえる。
花「バニッシュメント・ディス・ワールド!」
 右手を天高く掲げ、左手で眼帯を覆うと同時に叫ぶ花。
 そして、ハルバードが出現する。
花「今宵の私はシュヴァルツ・ネロ・ノワールの力にヘイのエナジーが加わっている!」
 シュヴァルツ(ドイツ語の黒)ネロ(イタリア語の黒)ノワール(フランス語の黒)……それに加えてヘイ(中国語の黒)……今日の花は黒が四つもかぶっている!
 そのまま(らく)に襲い掛かる花
(らく)「くっ」
 ガキインンッ
 むざむざやられるわけにもいかない(らく)(らく)で魔法?の力でガントレットを召喚。左手を叩き付ける感じで迫るハ
ルバードを受け止める。

#4
夏「……こうなったら魔法の力で決着つけるわよ!」
南「ああ、もう……」
 そして、夏と南も覚悟を決めて雌雄を決するべく身構える。
 そういえば、いつだったかの殺し合い(いや、実際には殺しあっていないけど……)では不完全燃焼な中、決着
がつかずに死合が終わってしまっていた。
 ならば、今こそ、邪魔が入る余地のない決着をつけるべき時……か……
 と、言うわけで(どういうわけだ?)夏は魔法?の力で大太刀を、南は魔法?の力で大剣をそれぞれ召喚して装
備していた。
一同(……なんか、コスプレしたただの武闘会じみてきた……)
 思わずそんなことを思う、ついでに言うと教室の中で暴れまわるのはどうなのか……とも今更ながらに思う一行
でもあった。
 一方ユリアはというと……魔法?の力で全身を甲冑で包み込んでいた。
 その姿はまさしくユリア(南斗最後の将)であった
※いや、ネタがすぎる!
夏「はああ!夏殷流刀鞘術(かいんりゅうとうしょうじゅつ)っ!幻晶銀冽(げんしょうぎんれつ)」
南「なんの!楠木流、飛反井剪輪(ひたんじょうせんりん)!」
 激突する夏と南。
 夏は上段からマジカルなパワーを込めて一気に斬り降ろし(の残像を見せた後で瞬時に逆手で切り上げ)、南は
リリカルなパワーを込めて瞬時に二度の十文字斬りを繰り出す。
南「甘いわよ!夏!楠木流に二度の油断はなぁい!」
 前回は斬り降ろしの残像にひっかかり本命の切り上げにてエモノを弾き飛ばされた南であったが、今回は違う
 残像に惑わされず切り上げに斬撃を叩き込む。
夏「甘いのはそっちよ!南!今の私は魔法少女!」
 南の斬撃が夏を捉えたと思った次の瞬間、夏の姿が掻き消える。
 まさしく魔法少女のなせる技である。そして、南の背後に光があふれ、夏が出現、そのまま死角から斬撃を叩き
込む!
南「夏……貴方は忘れたわけではないでしょうね……今の私も……貴方と同じ存在なのよ!」
 恥ずかしさからか自分が魔法少女であるとは宣言できない南だったが、南も光とともに姿を消す。
夏「くっ……」
 南もまた、夏の背後に出現する。
 これで勝負は振り出しに戻った……かに見えた
夏「残念だったわね、南!あなたは既に私の術中にいる!」
 ズドンッ
 ニヤソと笑う夏に一撃を繰り出す南
ユリア「うきゅうっ」
南「え?」
 しかし、斬撃を叩き込んだ瞬間、夏はなぜかユリアの声色で悲鳴を上げる……と、言うか、斬撃の感触が衣装の
それではなく、甲冑のそれだった……
 つまり、南が斬撃を繰り出した相手は夏ではなく、ユリアだったということになる。
南「そんな……」
 そして、ユリアは光に包まれる……
 それはさておき、夏は一体どこへ消えたのか?


続

前の話へ 戻る 次の話へ