Eighter -Practical Era-
32nder 〜曰く点き疑惑の桜 B〜



#3
 ある日の出来事、天四斗(あまよと)のDr.キリコこと品辛斬子(ぴんから・きりこ)の独断と偏見により、一行は死地へと花見へ向かうことにな
った
 果たして、君は生き延びることができるか?!
一同「これは……凄い……」
 修羅の門の奥……そこで一行を待ち受けていたのは、一本桜の狂い咲き……
 見るものを圧倒する桜がそこにはあった。
 確かに、これは命がけで見に行く価値がある……ような、ないような……そうでもないような……そんな桜であ
る。
ユリア・キドニー「心がアピラーされますね」
一同「……はい!?」
 突如、ユリアの発言に一同ぽかんとする
椿木(つばき)春「はっ、違うよ、それ……」
 そして、春は気づく
春「(むし)ろクリーニングだから!」
一同「あ、ああ〜〜!!」
 春の指摘で一同もようやくユリアが何を言い出したのかを悟る。
 ……アピラーとはappear(現れる)の意味である。
生徒「心が現れる……」
生徒「心が洗われる!」
 つまりはそういうことである。

品辛斬子(ぴんから・きりこ)「よし、じゃあ、撤収するか」
一同「もうちょっと鑑賞させろや!」
 何、来て早々帰るなんて言い出すんだよ……と一同、心の叫びであった。
風見原莉暗(りおん)「そういえば、知っているか、この桜の伝説を」
生徒「伝説ぅ?」
楸木(ひさぎ)秋「まさかなんでも願いをかなえることができる桜で暴走するとトンでもないことになるとか言う
んじゃないでしょうね」
斬子(きりこ)「おいおい、お前はゲームのやりすぎだ」
莉暗(りおん)「ああ、そうよ、現実はアナタの想像を凌駕する」
一同(いや、それだったらあながち間違いではないんじゃないか……)
 そんなことを思う一行であった。
※思っても誰も言葉にしないのは……まぁ、なんというかお約束?
斬子(きりこ)「まぁ、ベタではあるが、この桜の木の下で告白したカップルは結ばれるというヤツだ」
一同「……」
 確かに、確かにベタな伝説だ……
 だが、しかし、ここは殺人鬼がたむろする死地……誰が好き好んでここまでやってきて、愛の告白をするという
のだとろうか……
 それこそ、数多の殺人鬼から物理的に『リア充、爆破しろ』ってな展開になってしまうのではないか……
斬子(きりこ)「おし、早速誰か告白してみないか?」
一同「しませんよ!」
 仮にするとしてもみんなの前で告白だなんて恥ずかしすぎる!と一行
莉暗(りおん)「愛の告白じゃなく、何か重大な秘密をカミングアウトでもいいぞ」
一同「余計イヤだわ!」
 そもそも、それは告白違いではないのか?

#4
斬子(きりこ)「なんだ、ノリが悪いな……」
 誰もアンタに乗りたくはないんだよ……と心の中で思う一行であった
斬子(きりこ)「仕方がない……南」
楠木南「え?何?」
斬子(きりこ)「ちょっと成金の首を『こきゃ』っとやってくれ」
南「OK」
成小路金厭(かねあき)「待て待て待て!お前一体何する気だよ!ってかお前もお前で了承するんじゃねぇよ!」
 こきゃっ
金厭(かねあき)「げふぉあっ!?」
 成金の意思などどこ吹く風、早速南はの背後に音もなく立ち首を絞めて気絶させる
莉暗(りおん)「あ〜、あ〜、あ〜あ〜あ〜〜〜」
 続いて莉暗(りおん)が首に手を当てて謎の発声練習を行い……
莉暗(りおん)餡銅鑼真曦逅(あんどら・まぎあ)、好きだ、愛してる、子作りしよう!」
 成金の声色でトンでもない告白をしだす
一同「……」
 次の瞬間、きゅぴ〜〜んと遠くでナニカ光ったかと思うと突風とともに参上するのは、勿論餡銅鑼真曦逅(あんどら・まぎあ)である
餡銅鑼真曦逅(あんどら・まぎあ)「喜んで!」
斬子(きりこ)「流石、伝説の桜だけはあるな」
金厭(かねあき)「はっ……いやぁあ〜〜〜、犯される〜〜」
 生命の危機を察知したのか、気が付いた成金は脱兎のごとくその場を後にする。
真曦逅(まぎあ)「お待ちになってぇ〜〜」
 そして彼のあとを追う真曦逅(まぎあ)。
 なんというドタバタ劇であろうか……
生徒「ってか、本人の意思そっちのけで勝手に告白しても結ばれるんですか?」
斬子(きりこ)「知らん」
莉暗(りおん)「だが、面白いではないか」
 いや、そりゃ、アンタたちは面白いでしょうけど、本人にしてはたまったもんじゃないでしょうよ……と一行は
思うのであった。
※ただ、相手は成金だし、別にどうでもいいか……とも半面思っています
斬子(きりこ)「そういえば、もうひとつあったな、伝説……」
 思い出したかのように呟く斬子(きりこ)
一同「まだあるんですか?」
斬子(きりこ)「ああ、なんでもこの桜の木の下で告白したカップルは……破局するんだそうだ」
一同「さっきと言ってること逆じゃねぇか!」
 一同、盛大な突っ込みであった。
莉暗(りおん)「まぁ、つまり、まとめるとだ、この桜の木の下で告白したカップルは結ばれるか、破局するか二つにひとつ
ってことだ」
一同「こんな殺人鬼のたむろする場所で告白してその二択はないわ!」
 だったらだれもここへ告白しに来ようなんて思わない……一同の心が今、一つになった……
斬子(きりこ)「さてと、花見も済んだし、ここら辺で帰るとするか……」
莉暗(りおん)「告白するなら今が最後のチャンスだぞ」
一同「しません!」
 と、まぁ、そんなこともあり、一行は修羅の門を後にするのであった。
 莉暗(りおん)の持っていたクーポンが効いたのか、何事もなく花見が済んだのは奇跡……というか、なんというか、それ
って実はかんなの超運のなせる技なのではないか……という気がしないでもないが……クーポンのおかげってこと
にしておいてください。

#5
生徒「……ところで、あの桜の伝説は本当のところはどうなんだろうね……」
春「そもそもなんでそんな伝説ができたのか……」
秋「いや、それは……」
 事実からじゃね?と思う一行……
 と、言うことはあの桜の木の下で告白しても、あまり意味がないのではないか……と思う一行であった。

紗魏雪兎(しゃぎ・ゆきと)「やれやれ……」
 そして、桜を見上げながら、雪兎(ゆきと)は呟く
雪兎(ゆきと)「……この桜の本当の伝説……それは……」
 ひとつ、年上彼女×年下彼氏の告白は結ばれる
 ひとつ、年下彼女×年上彼氏の告白は破局する
 そして、同年代は何も起こらない……


END

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