Eighter -Practical Era-
32nder 〜曰く点き疑惑の桜 A〜



#0
 修羅の門……それは天四斗(あまよと)が誇る……のかどうかは謎だが、ともかく、古今東西数多の殺人者がたむろする曰く
つきのスポット……
 そして、今回はそんなスポットにスポットを当てた物語……になるのだと思われます
※なぜ不確定!?

#1
 天四斗(あまよと)工業、3-J
品辛斬子(ぴんから・きりこ)「おし、お前ら十五秒で支度しな、花見に行くぞ」
一同「何を唐突に!?」
 ってか、お前はどこぞの賊か!
生徒「ってか花見って……どこの何を見るんですか」
※なお、今の季節は何も考えてないため(諸事情につき)告げられませんが、花見の季節ではないことは確かであ
 る。
斬子(きりこ)「フッ、女は皆誰しも下半身に『花』を持っているんだよ」
女子一同「そこは言うなら顔にも『はな』があるってな感じのこと言ってくださいよ!」
 まさかの下ネタに女子一同赤面しつつ席を立って叫ぶのであった
生徒「ってことは、まさか、禁断の保健体育!?」
 チラチラと女子生徒のスカートを見ながら呟く馬鹿が数名。
 無論、彼らは白い目で見られたことは言うまでもない
斬子(きりこ)「はぁ、貴様らは馬鹿か……ここ天四斗(あまよと)には反月十字を謳う不朽の桜があるではないか」
一同「反月十字を謳う不朽の桜……?」
 それは誰も知らない謎の代物……ではなく、確かに皆知っているモノであった。なぜか季節を問わず常に咲き続
ける謎の桜。
 一説ではとある島から運び出された魔法の桜ともいわれている代物である。
 だが、誰もあの桜を見に行こうとは思わなかったのだ……
 なぜなら、その桜は修羅の門と呼ばれる場所にあるからだ。
生徒「ちょ、ちょっと待ってください……その桜って……」
 修羅の門と言えば古今東西多くの殺人鬼がたむろする無法地帯。そんな場所に好き好んで訪れるような人はいな
いということだ。
斬子(きりこ)「なに、心配するな、メロンソーダ上のアイスに乗ったつもりで任せておけ」
一同「それ、溶けてなくなる奴!」
 まさしく、泥船に乗ったつもりで安心しろと言っているようなものだった
風見原莉暗(りおん)「面白そうじゃないか、私も乗ろう!」
 と、そのとき、教室のドアが開き、GTRこと風見原莉暗(りおん)が現れる
一同「アンタは自分の仕事しろよ!」
 と、言うかなぜこんな都合いいタイミングで出てくるんですか?という疑問が出てくる
斬子(きりこ)「以心伝心って奴だな……」
莉暗(りおん)「うむ」
 ちなみに、以心伝心というよりは電信である。
莉暗(りおん)「さ、とっとと支度するんだ!いいか、生きて帰るまでが花見だぞ!」
一同「いや、今から行く場所を考えたらまさしくそうですけど……」
 なにせ死にに行くようなものである。言いえて妙というかなんというか……
 まぁ、ともかく、斬子(きりこ)が言い出したらもう誰にも止められない(いや、正確には成金を犠牲にすれば止められな
いこともない気がするけど……)ので一行は黙って従うことに……
 それに、運の女神こと、かんながいるから何も起きないだろうという謎の安心もあった

#2
 天四斗(あまよと)、修羅の門
一同(……マジで来てしまった……)
 あたりに殺気と血の匂いが充満する……ここは修羅の国……いや、修羅の門って名前だけど……何はともあれ、
常人が立ち入っていい場所ではないことは確かである。
ユリア・キドニー「あ、わかりました!桜の木の下には死体が埋まっている……というのはまさにこのことなんで
すね」
一同「場所が場所だけに考えたくない事実!」
 何恐ろしいこと言ってるの……と一同騒然
斬子(きりこ)「みんな、気を引き締めておけ……一瞬でも油断すると心を食いつくされて廃人にされてしまうぞ」
一同「だったらこんな場所につれてくんじゃねぇよ!」
 一同、最もの突っ込みであった
*「……修羅の門に何の様ですかな?」
 そのとき、一行の背後より気配なく現れる一人の男性……彼は紗魏雪兎(しゃぎ・ゆきと)、この修羅の門の管理者である。
一同(ッ……な、なんだコイツ……)
 心臓に悪い登場の仕方に一同びっくり仰天
 特に武闘派な南や夏は戦々恐々と言った感じである。
紗魏雪兎(しゃぎ・ゆきと)「ここ、修羅の門は『あの世への入り口』として名高い殺人鬼の巣窟……」
一同(トンでもない単語出てきた……)
 もはや花見どころではない……一刻も早く逃げ出さないと……
雪兎(ゆきと)「そこに足を踏み入れるとは、覚悟はできているんだろうな?」
 無言のプレッシャーが突き刺さる。
斬子(きりこ)「あ〜」
莉暗(りおん)「……朔の夜叉」
雪兎(ゆきと)「なっ!?」
 莉暗(りおん)がぽつりとつぶやいた次の瞬間、雪兎(ゆきと)の表情が驚愕に染まる
莉暗(りおん)「朔の夜叉からこの先の桜観光クーポンをもらっている」
 そんなことを言い出し莉暗(りおん)はスマホを雪兎(ゆきと)に見せる
雪兎(ゆきと)「なっ!?こ、これは……まさしく……し、失礼しました!」
 そして次の瞬間、突如態度が豹変。ビシィっと敬礼しだす。
一同「え?」
 あまりの出来事にぽか〜〜んとする一行であった。
雪兎(ゆきと)「朔の夜叉の大事な客層であれば、我ら全身全霊をもってしてサポートにあたる次第」
 そんな宣言とともにさっきまで充満していた殺気が雲散霧消する
一同(い、一体、朔の夜叉とは……?)
 ……皆が知らないだけであるが、朔の夜叉とはかつて天四斗(あまよと)周辺を支配した裏社会の組織のことである。そして
その頂点に君臨するのは一高校教師だった
 さらに付け加えると、この修羅の門と対なす羅将門はその一高校教師の修行の場であった。
 そう、一人の女子生徒を斃すために……
※なお、その女子生徒というのは地球外生命体、天蓋(てんがい)(あだ)からの留学生だったりする
 ……と、言うか観光クーポンってなんだ?なんで莉暗(りおん)はそんなものを持っているのか……
 深く追及すると取り返しがつかなくなりそうなので考えないようにしつつ、一行は当初の目的、枯れない桜を花
見することにするのであった。


続

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