Eighter -Practical Era-
31ster 〜冥道は一日にして B〜



#3
 ある日唐突に天四斗(あまよと)工業へ押し寄せたメイド軍団……彼女らは日本メイド協会の手の者で、教会に所属していな
い樂(らく)に即刻属するようにと最後通達を行ってきた
 と、言うわけでこれを面白がって天四斗(あまよと)のDr.キリコこと品辛斬子(ぴんから・きりこ)は勝手に課外授業としてメイ道とはなんたる
かを見学ってなことに……
メイド「日本メイド協会へ所属しますか?」
櫟木樂(いちい・らく)「私の魂を賭けて……」
メイド「ならば……」
 と、言うわけで、一行は日本メイド協会総本山へ赴く

メイド「ここより先、貴方にとっては地獄より辛い道……引き返すならば今ですよ?」
 入口付近にたつホワイトブリムの無いメイド二人……コヤツらは日本メイド協会からしてみれば名乗ることを許
されない下級のメイドと言うことになる
樂(らく)「……神に逢うては神に奉仕し」
メイド「悪魔に逢うてはその悪魔にも尽くす」
樂(らく)「奉仕したいから奉仕し」
メイド「尽くしたいから尽くす」
樂(らく)、メイド「メイドに大義名分などないのさ!」
 俺達が地獄だ!とどど〜〜んってな感じで叫びの応酬を交わす
一同「マテや!」
 大義名分の無いメイドって野良メイドとどこが違うんだよ!と、思わず突っ込みたくなる一行
メイド「なるほど……あなたはこの門を潜る資格があるようです」
一同「どういうこと?」
メイド「今のはメイ道を行く者ならば誰もが知る合言葉……そして、第一の関門」
 今の応酬なくてはメイ道を行く資格なし!と力説するメイド
一同「……」
 そして、呆れてものも言えない一行であった
メイド「さて、ではまずは屋敷の掃除……」
 メイドたるもの奉仕する屋敷は常に綺麗に……塵一つ残してはメイド失格と、言いつつ樂(らく)にモップを渡す
樂(らく)「任せてください……だらっしゃ〜〜〜」
 ずごおお〜〜んっ
 およそ花も恥じらう乙女とは思えない感じの雄たけびと共にモップを滑らせるが如く疾走する樂(らく)
メイド「なっ……まさか!」
メイド「あれは……メイド奥義が一つ……ディバインディングドライバー……」
一同「……」
 小学校の頃とか、掃除の際、真面目にモップがけせずにやってたおふざけじゃないのかよ……と思う一行であっ
た
メイド「中々やるわね……」
メイド「でも、屋敷のゴミ掃除は貴方が思っている程簡単ではないのよ!」
 とかメイドが宣言している最中も聞こえていないのか疾走を続ける樂(らく)
 そして、樂(らく)が曲がり角に差し掛かった丁度その時、曲がり角からスーツをビシっと着込んだサングラスの男性数
名が登場する
樂(らく)「ッ!」
一同「危ないッ!」
 飛び出すな、メイドは急には止まれない……
※意味不明……しかも、飛び出したのは樂(らく)の方です

#4
 ドキャキャキャキャッとまるでドリフト走行でもするような感じに急ブレーキをかける樂(らく)
 そして、そのまま右脚をズドンと踏み込むとモップをまるで刀のように構えてそのまま抜刀術
一同「うぎぃええあああ!?」
一同「マテマテマテぇ〜〜〜」
 そのモップは刃が仕込まれていた……そんなモップあるかい!とか叫んでいる場合ではない……
 ともかく、仕込みモップからの一閃……曲がり角からやってきたスーツの男性はみな斬り飛ばされてしまう
メイド「……くっまさか……」
 愕然とする一行。そりゃそうだよね……まさかあんなことをしでかすなんて……と思っていたがそうではなかっ
た
メイド「あれはメイド奥義の中でも秘中の秘……メイド残月破……」
メイド「それを使えるだなんて……彼女は何ものなの!?」
 いや、その前にメイド残月破って何だよ!
生徒「ってか、あの人たち、ぶっ斃して良かった……の?」
メイド「何を言いますか……屋敷を踏みにじるゴミクズは一切合財掃除する……それがメイドの役割なのよ」
一同「ゴミクズって……」
 日本メイド協会に属するメイドってみんなこんなのか……と、メイドに対する幻想が砕け散ると同時に寒気が走
る一行であった
メイド「……どうやら掃除のテクはあるようね……ならば、次は料理よ!」
樂(らく)「……わかりました」

 と、言うわけで勝負(と、言うか試練)の場は厨房へ……
樂(らく)「で、何を作ればいいのでしょうか?」
メイド「ふっ、語るに落ちたわね……」
 対戦相手っぽいメイドが羽の付いた扇子を口元にあてつつニヤリと微笑む
 ……もう、それメイドじゃなくて、女主人じゃね?
メイド「何を作ればいいのかなんて聞くのは愚の骨頂」
 ビっと扇子を突きつけて叫ぶメイド
 真のメイドとはご主人様の意をくみ(以下略)
 ようするに、聞かれずともご主人様の欲するモノを作ってこそメイドであるということだ
メイド「星にも負けぬ数多のレシピ……その数百億!……そんな中から今日のご主人様にあったメニューを瞬時に
選びだすのがメイド……あなたにそれが出来て?」
樂(らく)「……やってみる」
メイド「いいでしょう……ならば、好(ハオ)、做菜(ツォツァイ)バ」
一同「なぜ中国語……」
※なお、その『好(ハオ)、做菜(ツォツァイ)バ』ってのは中国語で『さぁ、料理の時間だ』という意味です。ちなみに『バ』は口巴と
 いう漢字。(常用外漢字)
 ……ともかく、羽付き扇子のメイドは中華包丁一本でダンダンと豪快に素材をぶった切って行く
 一方、樂(らく)はというと……
樂(らく)「……」
 黙々とジャガイモ、人参、タマネギを普通の包丁で切っていた
メイド(彼女は一体何を作るつもりなのかしら?)
メイド(あの材料からするとカレーか肉じゃがか……)
メイド(だが、舐められたものね……そんな程度の料理をご主人様が欲するとでも……)
 さて、この料理バトル……制するのはどっちだ!?


続

前の話へ 戻る 次の話へ