Eighter -Practical Era-
30ther 〜品辛斬子(ぴんから・きりこ)の見合い B〜



#3
 ある日、品辛斬子(ぴんから・きりこ)は親から見合いに出ろと言われ、それをゴネて一日機嫌が悪かった……
 そして、どうにか見合いに出なくていい方法を探そうと生徒に考えさせる始末
 一体、何がそこまで彼女を見合いから遠ざけるのか

杭木(こう)「……で、一体なぜ見合いに出たくないんですか?」
 これでしょ〜もない理由だったらもうどうしょうもない……
 いや、多分どうせしょ〜もない理由なんだと思うけど
品辛斬子(ぴんから・きりこ)「第一に着物がメンドい……」
一同「……」
 た、確かに見合いって言うと着物ってイメージがあるけど、だったらスーツとかでいいんじゃ?と思う一行
斬子(きりこ)「第二に親に指図されて結婚するのが癪だ!」
一同「反抗期の子供かッ!」
斬子(きりこ)「何、世の中には『遅れてきた反抗期』なる言葉だってある」
樫木堅(かしぎ・けん)「……それってどっかのお笑い芸人のキャッチフレーズじゃ?」
斬子(きりこ)「ともかく、嫌なものは嫌なんだ!」
一同「だから、子供かッ!」
斬子(きりこ)「と、言うわけで私の代わりに見合いに出たいってな奇特な奴を募集」
一同「奇特って言ったら誰も立候補しませんよ」
斬子(きりこ)「推薦でも構わんぞ」
一同「やめて!」
 それは血で血を争う醜いことになる……と一行
斬子(きりこ)「……だったら、仕方がないな……ええと、今日の日付は……」
一同「やめて!日付から出席番号で指名するのやめて!」
斬子(きりこ)「なら、私が独断と偏見で面白そうだからという理由で勝手に決めつけてやろう」
一同「是非、日付から出席番号でお願いします!」
 コロっと豹変する一行であった。
 斬子(きりこ)に独断と偏見で指名されるなんてたまったもんじゃないということである
白拍子かんな「と、言うか、日付から算出した出席番号なら、男子になるのでは……?」
生徒「……」
 そして、かんなの呟きに一行は問題の生徒……榛木(はしばみ)秦を一斉に見る
斬子(きりこ)「……フム、ならば、そこのお前……このクラスに好きな女子はいるか?」
榛木(はしばみ)秦「い、いきなり何を聞くんですか?」
 一瞬メイド(櫟木樂)をチラっと見た気がするのは気のせいだろうか……そして、分かりやすい……
斬子(きりこ)「自分の好きな相手が見合いに出なければならない……何故なんだ……運命はかくも残酷……というのを味わ
うのも一興」
一同「最低すぎる!」
 いうなれば私だってそんな心境なんだぞ!と言い出す斬子(きりこ)。
 いや、お前はとっとと見合いに出ろよ!
秦「はっ、先生!こんなときこそ、生徒会長の出番です!」
 その時、秦は閃いた!
テ金(しんかね)心「こらこら、違うだろ、生徒会長じゃなく、お姉さんだ!」
 そして、ナイスなタイミングでみんなの姉、心が登場する
 ……この人、自分のクラスの授業はどうしてるんだろう?
秦「生徒会長……いや、お、お姉さん……ぜひともウチのクラスの教師の代わりに見合いに出てください」
心「はっはっはっは、残念だがそれは出来ない相談だ」
秦「一刀両断!?」

#4
心「うむ、私には弟がいるからな」
一同「理由になってない!」
 まぁ、そんな中うんうん、分かる分かるぞと頷くのは姉萌えのヘンタイ、楯木(てすりぎ)盾なのですが……
※なお、余談ですが杭木(こう)も妹ならば納得できるとか言い出しています
斬子(きりこ)「じゃあ、仕方がないな……」
一同「ってか、納得するのかよ!」
斬子(きりこ)「お前ら、なんでもかんでも生徒会長におしつけるのはよくないぞ」
一同「自分が見合いに出たくないからって生徒におしつけようとしているアンタにだけは言われたくないわ!」
斬子(きりこ)「はぁ、これでは埒が明かないじゃないか……」
 素直にアンタが見合いに行けば万事解決するんですけどね……と心の中で思う一行
斬子(きりこ)「仕方がないからそこのメイド、見合いに出ろ!」
櫟木樂(いちい・らく)「何で唐突に?」
 いきなり指名されてビックリ仰天の彼女
斬子(きりこ)「これは主人からの命令だ!」
(らく)「クッ」
一同「いやいや、いつアンタが(らく)の主人になったんだよ!」
斬子(きりこ)「と、言うのは半分冗談でな、さっき、あいつがお前のことをチラっと見たのを私は見逃さなかっただけだ」
秦「のぉう!」
一同「……」
 先ほど斬子(きりこ)が言い出した、自分の好きな人が見合いに出なければいけない苦痛……それが今……
 と、いうわけで、そんな秦をじと〜っと睨みつける(らく)であった
秦「ち、違うぞ……お、俺は別にお前の事が好きなわけではなくて……」
 慌てふためく秦……それが逆に怪しい。
秦「お、俺は……最近メイドに目覚めたんだ!」
一同「……」
 その理由もどうなんだ……
斬子(きりこ)「何!?臨死体験か?」
一同「そういう意味じゃないッ!」
※それは『メイドに目覚めた』のではなく『冥土で目覚めた』なのでは?

斬子(きりこ)「さて、どうする?お前が(らく)のことを好きだと認めるか、そこのメイドが私の代わりに見合いに出るか二つに
一つ」
一同「待って、その選択肢は怪訝(おか)しい」
斬子(きりこ)「見合いに出るのならこの和服を進呈しよう!」
 と、どこからともかく取り出したるは……緑を基調にした和服なメイド服
 ……それはまるで兎を注文するような……メニュー名からどんなスィーツが登場するのかさっぱり見当がつかな
い感じなお店を彷彿させる逸品であった
(らく)「なら、出ます!」
一同「待って、なんで急に……」
 単にそのメイド服が着たいだけなのだろうか……
 そして、どうして……とがっくりと項垂れる秦……

斬子(きりこ)「おし、これで万事解決だな」
秦「何一つ解決してねぇよ!」
斬子(きりこ)「と、いうわけで、お前ら……陰ながら見合いを冷やかすぞ……何、これも立派な社会勉強だ!」
一同「そんな社会勉強があるかッ!」
 だが、しかし、斬子(きりこ)がそう言った以上、課外授業は止められないのである……
※ってか、普通の授業はどうしてるんですかね……

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