Eighter -Practical Era-
29ther 〜水鏡(すいきょう)先生の駄野望(やぼう)



#0
 壬屈縛紀(みかがみ・しばき)……彼はTVドラマの高校教師にいたく感銘を受けて教師になりたいと思った不純な人物。
 そして、その野望はいろいろあって天四斗(あまよと)のDr.キリコによって打ち砕かれ、学校を追放されたのだが……
 彼の野望は終わらない……?

#1
 天四斗(あまよと)工業、3-J
品辛斬子(ぴんから・きりこ)「よし、お前ら、これをよく見ろ」
 そう言いつつ、彼女はプリントをみんなに渡す
樫木堅(かしぎ・けん)「……ええと、こ、これは?」
 そこには……
 女子高生の助手求む。壬屈縛紀(みかがみ・しばき)
 とあった
斬子(きりこ)「見ての通りだ」
一同「いや、それはそうなんですけど……」
斬子(きりこ)「どうやらあいつは未だに高校教師の野望(ユメ)を諦められないらしい」
 と、いうわけでせめて助手は女子高生を……手元に置いてウハウハしたいと思っているそうだと続ける斬子(きりこ)
一同「迷惑な野郎だ……」
斬子(きりこ)「と、言うわけで、今日はそのバカを冷やかしに行こうと思う」
 ここに更に迷惑な人物がいた!
生徒「いや、先生、授業どうすんですか?」
斬子(きりこ)「何を言うか……これも立派な課外授業だ……」
一同「……」
 そんな台詞を言い出すと最早聞く耳持たずなのが天四斗(あまよと)のDr.キリコの困ったところである

 天四斗(あまよと)、某所
壬屈縛紀(みかがみ・しばき)「ゲェッ……お前は、品辛斬子(ぴんから・きりこ)!」
斬子(きりこ)「おい、貴様、いきなり失礼だな……」
一同(失礼なのはアンタも同じだけど)
 と、心では思っても口に出すことは絶対にしない一行であった
白拍子かんな(……まぁ、口に出したら間違いなく甚大な被害をこうむるわけで……)

縛紀(しばき)「……で、アンタらは一体何をしに来たんだ?」
斬子(きりこ)「決まっているだろ、お前が女子高生の助手が欲しいって言うからわざわざ出向いてやったんだ、ありがたく
思うんだな」
縛紀(しばき)「……」
斬子(きりこ)「私が言うのもなんだが、ウチのクラスの女子は隠れ淫乱だぞ」
縛紀(しばき)「淫乱、ビッチ、娼婦……」
 ゴクリと生唾を飲むヘンタイ……と言うか誰もビッチとか娼婦とまでは言ってない。
 なお、更にランサーでもあるとかぼそりと言い出す斬子(きりこ)であった。
※『ランサー』それは『ヤリマン』って意味が違うからね!
一同「……」
かんな(ちなみに、事前に打ち合わせを行いここはそういう台詞で通すってことになっています……)
 信じるか信じないかは貴方次第です
 ……もしかしたら気が変わって本当に売り飛ばしかねないけどね……斬子(きりこ)は……
斬子(きりこ)「だが、お前がイヤというのならば引き下がるが……」
縛紀(しばき)「ま、待ってくれ……そういうことならば流鏑馬(やぶさめ)ではない」
一同「『(やぶさ)か』ね」
縛紀(しばき)「……」
 赤っ恥……ってか、普通間違えるものなのかね?
縛紀(しばき)「ン、ゴホン……では面接でも始めよう……って待てぇい!」
斬子(きりこ)「あ?何か?」
縛紀(しばき)「俺は女子高生の助手が欲しいと言ったんだ……それなのに何だ?これは?」
 そう、斬子(きりこ)が招き入れいたのは女子高生のみではなく、男子生徒も含まれていたのだ

#2
斬子(きりこ)「おっとすまん……」
 ニヤリと邪悪な笑みを浮かべる斬子(きりこ)
斬子(きりこ)「ちょっと待っていろ……」
 そう言うと斬子(きりこ)は男子生徒だけを連れてどこかへ行く……
 そして、数分後、女子生徒を引き連れて戻ってくる
斬子(きりこ)「これでウチの女子生徒全員だ」
縛紀(しばき)「……うむ!」
一同(……)
 斬子(きりこ)が男子生徒を帰して代わりに女子生徒を引き連れてきたかに見えるが、実は違う……彼女らは……いや、コ
ヤツらは所謂『男の娘』……先ほど、男子生徒をちょっと女装させて連れ戻してきたのだ……
 なお、女装生徒の中には、この姿やべぇ、ホレちまいそう……とか世迷言を言い出す生徒がいたりしたのだが…
…まぁ、人の趣味はそれぞれだしね……

縛紀(しばき)「……よし、では、これより我が助手に相応しいかどうか面接を行う……まずは、衣服だが、ブレザーではな
くセーラー服でよいかな?」
生徒「どういう?白衣とかじゃないんですか?」
縛紀(しばき)「はははは、何を馬鹿なことを言う、どこの世界に白衣を着た女子高生がいるというんだ」
かんな(科学部部員とかなら白衣でも怪訝しくないと思うけどなぁ……)
 そんなことを考えるかんなは実は面接のメンバーには入ってません。
 これはまぁ、なんというか、かんなまでも面接を受けるとなると……何か裏があるんじゃないかと怪しまれるか
もしれないから……ということらしいが……
 もしかしたら、かんなの超運のせいで面接メンバーに選ばれなかっただけなのかもしれません。
 真相はかんなだけが知っている……?
生徒「あのぉ……スク水セーラー……では駄目でしょうか?」
縛紀(しばき)「なんという豪気!すばらしい……女神はここにいたぞ!」
 一人の女装男子がおずおずと発言し、それに興奮する縛紀(しばき)
 無論、モノホンの女子は白い目でそれを見る
縛紀(しばき)「では問うが、スク水は新旧どちらが好みかね?」
生徒「旧スク水ですぅ」
縛紀(しばき)「名札は……名札は?」
生徒「ひらがなの名前入りがいいのです。結論」
縛紀(しばき)「分かっていらっしゃる!」
 突如敬語になる縛紀(しばき)……それほどまでのことなのだろうか?
 と、言うわけで、女装男子のアフォな会話とそれに心を弾ませる縛紀(しばき)……そして、モノホンの女子高生はその件
を冷ややかな目で見つめる……という温度差の激しい面接と言う名のナニカが小一時間ほど催されたのであった
縛紀(しばき)「素晴らしいぞ!是非とも、彼女らを……今日からでも助手に!」
斬子(きりこ)「はぁ……実に残念だよ……」
縛紀(しばき)「はい?」
 そして、大仰にため息をつく斬子(きりこ)
斬子(きりこ)「この話は無かったことにさせてもらおう」
縛紀(しばき)「ちょ、何を言っているんだ……それはないだろう」

#3
斬子(きりこ)「お前は言ったな……女子高生の助手が欲しいと……」
縛紀(しばき)「ああ、言ったさ、それがどうした!」
一同(開き直ってるよ、この人……)
斬子(きりこ)「だからこそだ、お前が選んだのは女ではない……」
縛紀(しばき)「はいぃいい!?」
 そして、一斉にウィッグを外す男子生徒
縛紀(しばき)「馬鹿な……この俺がァ……女装男子と女子生徒の見分けもつかないなどと……」
 謎の絶望感に打ちひしがれる縛紀(しばき)
斬子(きりこ)「さて、冷やかしも済んだしl帰るか……」
縛紀(しばき)「……逃がすか……貴様ら全員、生きて帰られると思うなよ!」
楠木南、榎木(えのき)夏「へぇ……」
縛紀(しばき)「……」
 ボキバキと腕を鳴らしながら迫る両雄の前に、縛紀(しばき)戦意喪失……
 こうして、縛紀(しばき)を小馬鹿にした斬子(きりこ)は満足げにみなと帰って行くのであった……


END

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