Eighter -Practical Era-
26ther 〜美しき闘士の玄赫げんかく B〜



#3
 みんなの姉こと、生徒会長、テ金しんかね心……彼女を生徒会長の座から引きずり落とすべく、吹口かけるが暗躍する!
 ともかく、かけるが取りだした三枚目の写真には二枚目とは同じく……いや、二枚目が家の中に入る様子ならば、三
枚目は家から仲睦まじく出て行く姿が映し出されていた
吹口かける「さる情報によると、二人で家に入ってからその後一旦帰宅することなく、翌日、登校するまでこの漢が家
の外に出ることはなかったと……」
楠木南「……軽くストーカー……」
かける「いや、違ッ!」
 ぼそっと南が呟き、思わず訂正するかける
品辛斬子ぴんから・きりこ「ストーカーだって言う奴はみな最初は自分はストーカーじゃない、これは愛のなせる正当な行為だなん
て言い出すんだ」
生徒一同「マジ、ヒくわ〜」
 一同、ずざっと後退る
かける「違うわ〜〜〜」
 しかし、否定すれば否定するだけ誤解が広がるわけで……
楸木ひさぎ秋「なるほど、あんた、密かに生徒会長に恋心を抱いていて、それでストーカーに走ったんだね」
南「生徒会長の座を引きずり落とすってのも愛情の裏返し……いや、黙っていて欲しかったらこいつと別れて俺と
付き合えと脅迫するために……」
生徒一同「マジ、ヒくわ〜」
 一同、再びずざっと後退る
かける「だから、違うっての!!俺の話を聞け!」
斬子きりこ「そこはギター片手に俺の歌を聞け〜と叫ぶところだ」
生徒一同「違うッ!」
 ……話が脱線したので一旦おいといて……

かける「どうだ!生徒会長!」
テ金しんかね心「こらこら、お姉さんと呼びなさい」
 ってか、まだ余裕だった……
かける「漢を家に連れ込んでそのまま一夜過ごさせて一緒に登下校……さて、どういった弁解ができるんだ?」
 まるで鬼の首級くびったかの如くニヤニヤしながら叫ぶかける
斬子きりこ「甘いな……お前はちゃんと調べたのか?……この家の出入口はここだけだったのか?……あるいは穴を掘っ
て地下から一旦帰宅したとかそんなことは考えなかったのか?」
かける「なっ……馬鹿な……そんなことは……た、たしかに、出入り口はここだけとは限らないが……」
生徒一同「って、待て待て待て……なんでアンタがかってにしゃしゃり出てくるんだ!」
 ここは生徒会長が言い出すところだろ!と一同盛大に突っ込む。
 ついでに、穴を掘って地下から帰宅とかそれは考えなくていいだろうがぁ!とも叫ぶのであった
心「はっはっはっは……何を言い出すのかと思えば……私に恋人なんていないぞ」
かける「ってことは、こいつはセフレってことか!」
生徒「うわっ……咄嗟にそんな発想が出てくるなんてマジ、ヒくわ〜」
 女子生徒一同、更に一歩後退。

#4
心「大体、家族が家に帰宅するってのに、何が問題なんだ?」
かける「か、華族!?」
南「なんか別の『か族』を想像してる気がする……」
 鋭い感じの南……ってか、よく分かるね……そんなこと……
生徒一同「って、ちょっと待って!」
 心の発言に一同きょとん……ってか、唖然ってか騒然
※いや、どれだよ!
心「ここに写ってるのは私と私の弟、くくるだ!」
 写真をビシっと指差しながらそう宣言する心。
生徒「んなっ……アンタ、弟居たのかよ!」
 驚くところはそこなのか……
心「はっはっはっは……何を言うか……のないところには立たぬと言うだろう」
 いや、そんなことわざは聞いたことはないってか、それ、何か使い方が怪訝おかしい気がするのだが……ともかく、弟もい
ないのに私を姉と呼べなどと滑稽を通り越して愚の骨頂みたいな感じで力説する心。
心「私が伊達や酔狂で姉を名乗っているとでも思ったか?」
生徒一同「思ってた!」
 まぁ、つまるところ、彼女が普段から自分の事を姉と呼べだの、みんなの事を妹、弟と思って接してきたのも全
ては自分が実際に姉であるから……
 ……本当にどこぞの私の弟は私に欲情するヘンタイである……ってな思いこみの激しい姉が主人公な感じの学校
の生徒会長もかくや……といったところだ。
 まぁ、そっちと違うのはこっちは弟も同じ高校の生徒ってことだが……

楯木てすりぎ盾「弟ならば、姉と一緒に登下校するのに何の問題もない……いや、弟だからこそ、姉と一緒に登下校するの
は至極当然!それは大宇宙の真理ッ!」
 そして、ここぞとばかりにしゃしゃり出てくるのは姉派で有名なあの漢。
生徒「いや、普通は高校生こんな年になってまで姉と一緒に登下校って恥かしくて拒否しそうだけど……」
盾「何だと!貴様、それは聞き捨てならないな……」
 ぼそりと呟いてしまった生徒に対して目をギラリを血走らせてそのままそいつの元へ駆け寄る盾
盾「いいか、姉ちゃんというのは……姉ちゃんで……姉ちゃんが、姉ちゃんの……」
 そして、姉とはどんなに素晴らしい存在かという説教が始まった。
 それは、W○RKING!!で八○代が○子さんの事を語るが如く……何時間でも熱く語れますと言った感じだ
 思わずしまった!余計なことを口走ってしまった……と後悔する生徒だが、時、既に遅し……周りも関わり合い
たくないことから無視を決め込まれ……孤立無援となってしまい、最終的には『姉は正義!姉こそは至上!』って
な感じの実姉至上主義に洗脳されてしまうのだが、それはまた別の話である。

#5
南「……ま、まぁ、確かに……写真に写ってる弟さんの方は、無表情ってか……」
 で、話を戻して写真を覗きこんで南がぼそりと呟く。
 姉たる心はなんだかハジけるような極上スマイルだけど、弟は無表情ってかひょっとしたら内心迷惑がっている
のかもしれない表情だった。
※いや、無表情なので、表情から内心は読みとれないけど……
かける「ってか、そんな馬鹿なぁッ!」
 思わず盛大に叫ぶかける
秋「まぁ、仲がいい姉弟なら、手をつなぐのも有り得る……のかも……」
かける「恋人繋ぎも?」
生徒一同「え?」
 写真をよく見ると確かに恋人繋ぎな二人……
 なお、恋人繋ぎとは指を絡めあいながら手をつなぐこと……のはず。多分。違ってても知らん!
秋「そ、そこまでは知らないけど……」
斬子きりこ「まぁ、ひとつ言えることはこれをスキャンダルとして報道しても、生徒会長は解任させられないってことだ
な」
かける「……」
 と、言うわけでかけるの心を生徒会長の座から引きずり落とす作戦は見事に失敗したのであった。
かける「こ、これで終わったと思うなよ〜」
 そう言い残してその場を後にするかける
 この後もまだやる気なのか……


END

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