Eighter -Practical Era-
25ther 〜逆元逆元また逆元〜



#0
 壬屈縛紀みかがみ・しばき……TVドラマ高校教師を見て教師になりたいと不純な動機から教師を目指しつつも斬子きりこの手により学校
から追い出されてしまった哀れな人物。
 そして、今回は……いや、今回も?……と、ともかく、そんな彼が何かをやらかす……

#1
 天四斗あまよと沼斑ぬまぶちモーター本社
壬屈縛紀みかがみ・しばき「ふ、ふははは!やったぞ!ついに……できたぞ!」
 眼の下にクマを造りつつ無駄にハイテンションで叫ぶ縛紀しばき……
 どうやら徹夜続きで怪訝おかしなテンションになっていたようだ。
*「ま、まさか……ついにアレが完成したと言うのですか?」
縛紀しばき「ああ、そうだ……ここ一週間の徹夜は無駄ではなかったということだ……ふはっはっはははははは!」
*「い、急いであの方へ連絡しなくては……」
 無論、あの方というのは産業スパイの雇い主……なんかではなく、成金のことである。

品辛斬子ぴんから・きりこ「さて、また下らないものだったら今度こそお前を下半身裸フルチンにして《アンドラの魔女》の寝室へ放りこむ
からな」
成小路金厭かねあき「だから、やめて!」
 生命の危険が……と首をぶんぶんふる成金。
 ま、彼が腹上死しようがしまいがどうでもいいが、なぜ、天四斗あまよとのDr.キリコこと、斬子きりこがここにいるのかと言
うと……
 この前の勝手に社会見学……パートUってことだ。
※勝手に社会見学って……本来の授業はどうするんですかね?
斬子きりこ「いいか、今日こそは盗める技術は盗んで帰るんだぞ」
*「やめてください!」
生徒一同「だから、俺達は産業スパイじゃねぇよ!」
 と、そんなショートコントをやっていると……
縛紀しばき「ふ……ふふふ……皆さん御集りの様ですな……」
 ふらふらと覚束ない足取りで縛紀しばきがやってくる
樫木けん「あいつ、大丈夫なのか?」
楠木南「眼の下にクマ出来てるし……」
 と、いいつつ、本格的な心配をしない一行。だって相手が縛紀しばきだもの
※さり気に酷い
斬子きりこ「で、そっちはそっちで何を造ったんだ?この前は新型モーターだったから、今度は新型のシャフトか?それ
とも、新型のギアか?」
縛紀しばき「フッ……この私がそんなものを作るわけがないでしょう……」
斬子きりこ「じゃ、やっぱり新型のミニ四駆か……ボディから針が出て相手マシンをつき砕くとか、空気の刃で相手マシ
ンを切り刻むとか?」
 レイ○ティンガーか、ビーク○パイダーかよ!
※なお、ブロッケン○ガントはどんなマシンか忘れました。……え?ググレカスればいいじゃないかって?
縛紀しばき「これを見よ!」
 ま、とりあえず、話を先へ進める縛紀しばきであった。

#2
生徒一同「……これは?」
 登場したのは何に使うのかよく分からないデバイスなので一同ぽかん
縛紀しばき「フッ……これこそ私が開発してしまった代物……インバーサーだ!」
けん「インバーター?」
縛紀しばき「違ぁ〜〜〜うッ!インバーサーだ!」
 誰がインバーターなんて作るんだ!と力説する縛紀しばき
 こいつ、インバーターに何か怨みでもあるのか?
南「……で、それは何?」
 興味なさげに南がぽつりと呟く
縛紀しばき「ふふふふ……インバーサー……Inverser……こいつは逆を創り出すIFなのだ!」
生徒一同「ふ〜ん……」
 あ、そう総理……ってな感じの一行だった。
金厭かねあき「……逆を造るってことは、こいつを《アンドラの魔女》に使えば俺の事を嫌いになるのか!?」
 顎に手を当てていつになく真面目に考え込む成金。
斬子きりこ「おいおい、馬鹿だなぁ、成金は……」
 思わず成金を小馬鹿にする斬子きりこ。
 まぁ、そうだよね……が、しかし、斬子きりこは続けてこう言い放つ。
斬子きりこ「『好き』の反対は『無関心』だ!」
生徒一同「え?そっち?」
 いや、確かにそうだけれども……そういうことじゃなくて、人間相手にインバーサーなんて使えないだろう!と
いうのが真っ先に思い浮かばなければならないのではないか?
縛紀しばき「例えば、このインバーサーに100Ωの抵抗をつなげることによって100Vの電流に変換することができる」
*「おお!」
 思わず歓声を上げる従業員
南「って、Ωの逆ってモーじゃなかったっけ?」
 Ω(ohm)の逆……電流の流れにくさではなく、電流の流れやすさはΩを180°回転させた記号、モー(mho)を
使って表記していたのだ。
※なお、過去形なのは、現在はモーではなく、ジーメンスを使って表現するからだそうですよ。どうしてモーから
 ジーメンスに変わったのか……それは誰も知らない(いや、作者が知らないだけですが……)
縛紀しばき「どうだ!すばらしい発明だろう!」
*「素晴らしい!流石です!」
生徒一同「……」
 従業員が歓喜にむせび泣く中、何がそんなにすごいんだろう……と思ってしまう一行であった。
 まぁ、大体そんな反応が正しいと思うけど……
*「なんだか騒がしいな……」
*「あ、社長」
 と、そこへ現れるのは沼斑ぬまぶちモーターの社長。ボルゾイ大神である。
縛紀しばき「おお、社長!見てください、俺は遂に作り上げましたよ!」
ボルゾイ大神「そうか!遂にできたか!新型インバーターが!」
一同「……え?」
 その時、空気が凍った

#3
ボルゾイ大神「ん?だから、できたんだろう、新型のインバーターが?」
縛紀しばき「……え?社長……インバーサーを作ってくれって……?」
ボルゾイ大神「は?インバーサー……なんだそれは?食いものか?」
 インバーサー、なにそれおいしいの?って反応だった

斬子きりこ「……よし、しょうもないモノも見れたし……成金をとっ捕まえて《アンドラの魔女》へ献上するか……」
金厭かねあき「ひぃ〜〜〜!や、やめてぇ〜〜〜ッ」
 ……その後、成金の姿を見た者はいない
金厭かねあき「俺はまだ死んでないッ!」


END

前の話へ 戻る 次の話へ