Eighter -Practical Era-
21ster 〜姉妹でお終いです〜



#0
 楯木てすりぎ盾と杭木こうは友達である……実はこうに言いくるめられて色々損な役回りを演じることが多いから本当に二人
は対等な友情で結ばれているのかと言われると甚だ疑問だが……
 今回はそんな友情に完全な亀裂が入った……そんな感じ

#1
 天四斗あまよと天四斗あまよと工業、3-J
楯木てすりぎ盾「ああん?」
杭木こう「てんめぇ!」
 ゴツンと額と額をぶつけて睨みあう二人
 そして、その二人の後ろにはそれぞれ女性が一人ずつ、ふふっと微笑みながら自分の彼氏を応援していた
 二人の彼女はどことなく面影が似ている。
 まぁ、それもそのはずである。二人は姉妹……そして、それぞれ盾とこうの彼女でもあるのだ……姉の方は名を、
金谷橋麻美と言い、妹の方は優香と言った。
盾「やんのかゴラぁ!」
こう「上等だ、このヤロー!」
 一触即発
 さて、一体どうして二人がこんなことになってしまったのかと言うと……それは二人の女の趣味に端を発する。
 ……しかし、女の趣味が同じで一人の女を巡っての激突ならば納得は出来るが、お互いに別な女を好きになり、
そして既に彼女持ちであるのならば、なぜいがみ合っているのか……
 更に、二人を見守る彼女は止めることなく、寧ろ応援する感じでニヤリと笑みをこぼしているのは何故なのか?
椛木もみじ花「まぁ、簡単に言うとあの姉妹は仲が悪いことで有名なんです」
 つまり、そういうことである。
 いや、まだ状況があまり見えてこないのだが……と、思われるが、真相はこうだ……
 盾とこうは女の趣味が違うことで喧嘩になることは……なくはなかったが、このように激突することはなかった。
 だが、しかし、彼女ができたことでそれは一変……彼女からの支援もあり……むしろ、私怨に巻き込まれた様な
感じで互いを排除するに至ったのだ……
盾「姉ちゃんは正義!」
こう「妹サイコー!」
 ドカンッ
 叫びながら拳を叩きつける二人。
 ……女の趣味の違いってのはぶっちゃけると、姉萌えか妹萌えか……と、まぁ、そういうことである
 お互いの彼女が彼を止めないのも、お互いがお互いを排除したいと思っているためである
※なんだこの姉妹?
盾「今日こそ、貴様の腐った根性を叩き直してやる!妹なんてなぁ、百害あって一利なしの存在なんだよ!」
こう「ほざけ!貴様こそ、目を覚まさせてやる!姉に現をぬかすなんざ愚か者のすることだ!」
品辛斬子ぴんから・きりこ「まったく、朝から近所迷惑な連中どもだな……」
 やれやれ……といった感じでやってくる先生
生徒「あ、先生……どうにかしてくださいよ」
斬子きりこ「だが、面白いから許す!」
 いいぞ、もっとやれ!とか言い出す教師にあるまじき存在……それが品辛斬子ぴんから・きりこであった
生徒一同「許すなっ!止めろ!」
 やっぱり、こんな先生はあてにならないというか……頼りにならないとそう思った一行であった

#2
テ金しんかね心「なんだか騒がしいな……」
生徒一同(またややこしいのが出てきちゃったよ……)
 騒ぎを聞きつけてやってきたのは生徒会長にして全校生徒の姉を自称するテ金しんかね心である。
斬子きりこ「生徒会長がやってきたのならば、ここは彼女に任せれば万事解決!」
生徒「いやいや、丸投げじゃないですか!」
盾「滅せよ!妹!」
こう「くたばれ!姉!」
心「……」
 二人の魂の叫びと共に放たれる拳を見て、すすすっと後ろへ下がって行く心
生徒「え?」
心「残念ながら私の出る幕はないようだ」
生徒「どういうことですか、生徒会長?」
心「違う違う、『お姉さん』……だろ?」
生徒一同「……」
 コイツもコイツでどうにかしてほしいと切に思う一行であった。
花「……ははぁ、そういうことですね……」
生徒「いや、だから……はっ、まさか……」
生徒「うむ、気付いたか?」
花「自らを全校生徒の姉と称する生徒会長が今回の闘いの仲裁をしようとしても、姉贔屓になってしまうのは火を
見るよりも明らか……」
 だからこそ、心は出る幕はないと言ったのだ。
ユリア・キドニー「ふっ、そういうことでしたら、ここは私に任せてください!」
 と、そこへしゃしゃり出てくるのはサザンオルステラ皇国の姫で、ここへは妹がいるとしてやってきた女傑。
 しかも、妹がいるの『いる』ってのは『存在する』って意味ではなく、『必要』という意味で、勝手に一人の生
徒を自分の妹として縛りつけている変人である
生徒一同「アンタが出て行ったら今度は妹贔屓になっちゃうでしょうが!」
ユリア「ふっ……任せなさい!」
囁口聶じょうこう・ささや「え?」
 そのまま勝手に妹にしたささやをぐいぐい引っ張り喧嘩の仲裁へ……
ユリア「待ちなさい!」
盾「あぁ?なんだぁ、貴様」
こう「邪魔をするな!」
 ヒュバッガガガッ
盾、こう「うごあっ!」
 怒りに任せてそのままユリアに拳を向けようとした次の瞬間、ユリアの背後から一陣の風と共にメイドが舞い踊
りユリアに迫る兇刃を排除、そのままカウンターを仕掛ける
ユリア「黙って私の妹を見なさい!」
ささや「いや、あの……」
ユリア「実は私の妹は漢です」
盾、こう「知ってるよ、そんなことはっ!」
ユリア「つまり、妹がイヤならば、男装させて弟にすればいい、姉がイヤならば男装させて兄にすればいい……こ
れで万事解決です」
盾、こう「……」
金谷橋麻美、金谷橋優香「だが、断る!」
 なんか即答だった
ユリア「……どうやら私も出る幕は無いようですね……」
 ささやを連れ、すごすごと去って行く哀愁漂う一国の姫
生徒一同「いやいやいや、何の為に出て行ったんだよ!」
 相手が一国の姫であることも忘れて一同の盛大な突っ込みが決まった。

#3
斬子きりこ「よし、ならば、こうしよう、姉モノと妹モノのエロゲー、どっちが素晴らしいか一週間後に雌雄を決するべ
く双方プレゼンの用意をしておくこと」
 と、そんな中、名案が浮かんだ!ってな感じでバシンと手を叩いて叫ぶ斬子きりこ
生徒一同「いやいやいやいや!」
 なぜにエロゲーで雌雄を決するんですか!アンタ、それでも教師かよ!と非難Go!Go!……もとい、囂々
盾、こう、麻美、優香「その勝負、乗った!」
生徒一同「いやいやいや、乗るなぁッ!」
 ちなみに、一週間後、本当に姉モノVS妹モノのエロゲ論争が勃発するのだが、結局、姉派は姉モノ、妹派は妹モ
ノを譲らないという結果となり、雌雄を決することはなかったのは言うまでもない
 なお、余談であるが、姉と妹を纏めてムフフ……な展開になることに関しては絶対に許せない!納得いかない!
と双方珍しく意見が一致したりするのだがそれはまた別の話である。


END

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