Eighter -Practical Era-
19ther 〜厨二病でもシたい C〜



#5
 マネージャーの薦めで学生となり天四斗あまよと工業へ転校してきた幕辺まくべぼとる
 しかし、彼女はアイドルだとバレてしまい……
一同「なんじゃこりゃああ?」
 花の右腕……そこには一面の目玉が描かれていた
椛木もみじ花「邪眼の力をなめないでよね!」
一同「それ違う!」
 それって、黒い龍じゃないのか……なぜ悪魔の眼メドゥサ・アイなのか
花「灰化せよ!」
 スパ〜〜ンッ
花「痛い……」
 と、その時、天四斗あまよとのDr.キリコこと斬子きりこ参上……すかさず出席簿で花の頭を叩く
品辛斬子ぴんから・きりこ「コラコラ、むやみやたらに悪魔の眼メドゥサ・アイを出すんじゃない……この学校を灰にする気か?」
一同「いやいやいや、なぜアンタも乗っかるんですか!」
花「くっ、この私に気取られず背後から頭を狙うだなんて……相当の手練れと見た」
斬子きりこ「ただの教師だが?」
 バっと腕を構えて臨戦態勢を取る花。
 そんな花に対抗するかの如く出席簿を構える斬子きりこ……アンタ、何張り合ってんだ?
 とかなんとかやっている間に乃壷蔵院のつぼ・くらいんはせっせと持っていた包帯で再び花の右腕を封印しだす
一同「……」
 そして、一行の視線は斬子きりこへ……
斬子きりこ「はぁ、仕方あるまい……バれてしまっては元も子もないからな……そうだ、みんなの察しの通り、この教育
実習生は厨二病アイドル、幕辺まくべぼとるのマネージャーだ」
一同「ええええええ?」
斬子きりこ「ん?なんだ?なんでそんなに驚くんだ!」
生徒「いやいやいや、驚きますよ!」
囁口聶じょうこう・ささや「と、言うか、普通はここで彼女は厨二病アイドルの幕辺まくべぼとるだって紹介する流れでしょう」
斬子きりこ「何を言う……かんなを見ろ、ちっとも驚いてないだろう」
一同「いや、それは彼女が運の女神で、超運で全てが分かっていたからです!」
 一同の最もな叫びであった。
樫木かしぎ堅「と、言うかなぜアイドル活動をやめて高校へ?」
乃壷蔵院のつぼ・くらいん「いい質問だな……流石はビーストナンバー会員なだけはある」
堅「いやぁ……」
 それほどでも……と言い出す天四斗あまよとの逆コナン
 っていうか、今のは言い質問でも何でもないよ
蔵院くらいん「かのもう一つの人格をカードから呼び起こすアイドルも一時期アイドル活動をやめ、学園生活に従事してい
た……」
 まだ言うか……
堅「なっ、それは……」
蔵院くらいん「そして、奇しくも彼女は豆腐屋の娘……」
一同「え?あれ真実だったの?」
 豆腐屋の名前がオカしすぎるのでデマかと思っていました……と一行。
 まぁ、普通はそうだよね……あんなふざけた名前の豆腐屋があってたまりますかい!
蔵院くらいん「おいおい、先日発売されたニューシングルの初回限定版には先着十名様に最高級絹ごし豆腐が当たる応募券
がついていただろうに」
堅「はっ、そういえば……」
 どんな初回特典だよ!

#6
生徒「……で、結局どういうことなんですか?」
蔵院くらいん「なっ、理由を聞くと言うのですか……」
花「……私が天四斗工業ここへ来た理由を無闇に知ると《機関》の手により抹殺されてしまう……それでも……なお、
知りたいと?」
一同「いや、厨二病はもういいから……」
蔵院くらいん「……いいでしょう、教えて差し上げましょう」
生徒「いや、なんでアンタが教えるの?」
蔵院くらいん「聞けば涙が止まらぬ哀しい物語……彼女は右腕に《闇の力》、左目に《魔の力》を宿したことがきっかけで
親に見捨てられ……」
一同「……」
 それって厨二病が酷過ぎて親が匙を投げたってだけの話じゃ?と一行が心の中で思う
蔵院くらいん「学校でも《闇の力》、《魔の力》のせいで……クラスに打ち解けることも出来ず……」
一同「……」
 だから、それは全てアンタの度が過ぎる厨二病のせいでしょうが!と心の中で盛大に突っ込む一行
蔵院くらいん「遂には《闇の力》、《魔の力》を疎ましく思った学校側が彼女の登校を拒否してしまったのです」
一同「とっとと厨二病治せよ!」
蔵院くらいん「そして、彼女は都会の暗部で……」
一同「ま、まさか……」
 一行が最悪の展開を予想したその時、花が口を開く
花「日夜《闇の力》、《魔の力》を克服しようと奮闘していたところをミューズの眷属たる彼に出合ったのよ!」
一同「……さいですか……」
蔵院くらいん「ええ、私も一目見て確信したのです、彼女こそ、この世界に舞い降りたシュヴァルツ・ネロ・ノワールの化
身であると……」
一同「アンタもか!」
 そして、そこからはトントン拍子に話が進み、今に至るんだとか何とか……
 どんなシンデレラストーリーなんだろう……これ……
一同「いや、まぁ、そんなことはおいといて……」
 で、結局なぜ学校に来たの?良い思い出なかったんじゃないの?とか一行の素朴な疑問
蔵院くらいん「フッ……この高校ならば、シュヴァルツ・ネロ・ノワールの化身である彼女を受け入れられると信じて」
一同「いやいやいや、ここはそんな場所じゃないから!」
テ金しんかね心「なるほど、その話、しかと聞いた!」
 と、ここで参上するのは自称天四斗あまよと工業全校生徒の姉、生徒会長のテ金しんかね心である
一同「アンタ、どっから湧いて出た?」
心「フッ、妹や弟の会話は須らく私の耳に入るものなのさ……」
 意味が分からない……この人もある意味厨二病なのではないだろうか……
心「さ、今日から君も私の妹だ!」
 そういって両腕を広げて花の前に立つ心
花「……妹?」
 首を傾げる花。普通はそうだよね……

#7
心「ああ、我が校の生徒は全て私、生徒会長の妹であり、弟……私のことは気兼ねなく姉と呼んで構わんぞ」
花「イヤだ」
一同「おおう!」
 あの生徒会長に逆らったぞ……と一行はざわめきが止まらない
花「私はトップアイドル……その私の上に立つものは何人たりとも許さない」
 しゅるしゅる
 再び右手の包帯を解きだす花
心「ふふん、いいだろう……相手が悪魔の眼メドゥサ・アイであるならば私も鏡を使おう!」
 そういって心は両手に手鏡を構え、花を見据える
花「……くっ」
 いかに全てを灰化する悪魔の眼メドゥサ・アイでも、自らの力には敵わない。
 負けを認めた花は再び包帯をぐるぐると巻き、がっくりと頽れる
花「……こ、これが……姉力……シュヴァルツ・ネロ・ノワールの力をもってしても敵わぬ存在……」
一同「いや、だから姉力って何だよ!」
 と、言うわけで(どういうわけだ?)こうして、天四斗あまよと工業に厨二病でも学生がしたいアイドル、幕辺まくべぼとるが
加わることとなった……


END

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