Eighter -Practical Era-
19ther 〜厨二病でもシたい B〜



#3
 厨二病アイドル、幕辺まくべぼとる推参。
 ま、そんなことは置いといて、今日も天四斗あまよと工業は平常運転です
品辛斬子ぴんから・きりこ「さ、自己紹介はここまでだ……お前らとっとと席につけ、それからそこのメイドは部外者なんてとっと
と出ていけ」
櫟木樂いちい・らく「分かりました」
 と、ここで何故か天四斗あまよと工業のみんなのメイド、らくが席を立つ
一同「いや、アンタは生徒でしょうに!」
 出て行ってほしいのはユリアのお付きの名もなき下級のメイドだよ!
斬子きりこ「じゃ、あとよろしく」
 そう言って授業を教育実習生に丸投げして斬子きりこは悠々自適な生活を送る
一同「アンタも教師としての仕事しろやぁあ!」
 天四斗あまよと工業に生徒の悲痛な叫びがこだまする

 そして、放課後

樫木かしぎ堅「このニュースを見ろ!」
 ドカンと机の上にスマホを叩き付けた後、壊れてないか恐る恐るスマホを確認するアフォ
楯木てすりぎ盾「なんだよ一体?」
杭木亢くいぎ・こう幕辺まくべぼとる、突然のアイドル休止?」
 そこにはデカデカと(いや、スマホなんでそんなにでかくはないけど)そう書かれていた
こう「誰だよ、幕辺まくべぼとるって」
椛木もみじ花「な、何ですって〜」
 ガタ〜ンと席を立つ幕辺まくべぼとる……もとい花
一同「……」
 一体何事かと一行が注目し、流石に私がアイドルだ!と宣言するわけにもいかず……
花「くっ、豆腐修行で酷使した私の右手が暴れて唸る……怒りを鎮めよと轟き叫ぶ」
一同「……」
 厨二病だ……と一行が心の中で思うのであった……
 と、そんなことはおいといて……
堅「お前、幕辺まくべぼとるを知らないのか?あの伝説の、厨二病アイドルを?」
こう「知らんな……」
盾「ま、アレなんじゃない?自分のイタさに気付いて恥かしくなってアイドルをやめたとか……」
乃壷蔵院のつぼ・くらいん「それは聞き捨てなりませんな」
一同「うおっと……」
 流石に今の発言はマネージャーとして黙っていられなかった
盾「な、何だよ……」
蔵院くらいん「フッ、こう見えて私は彼女を崇拝する一人のファン……見よ!このファンクラブ会員堂々の一人目たる証を
ぉ!」
 ドドンと財布からファンクラブ会員No.00000001と書かれたカードを提示する蔵院くらいん
 アンタ、マネージャーの前にファンクラブ会員かよ!
堅「なっ、ま、まさかNo.0000001の会員がいるだなんて……」
 ガクっとくずおれる堅、その手には会員ナンバーNo.00000666と書かれたファンクラブカードが握られていた
蔵院くらいん「ば、馬鹿な……こ、これは伝説のビーストナンバー……ま、まさか、このナンバーを持つ漢に出合えるとは
なんという僥倖……」
堅「俺はこのナンバーを手にするために悪魔に魂を売り渡した漢だぜ……」
蔵院くらいん「素晴らしい!」
 ……二人の会話には誰もついていけなかった……

#4
楠木南「なんかあっちでは馬鹿どもが馬鹿やってるわね……」
 一方、南やかんなもまた平常運転で過ごしております。
 まぁ、南の平常運転は……一般市民の平常運転からかなりかけ離れていそうですが……
榎木えのき夏「いや、それよりもさ……」
椿木つばき春「……突如活動を中止したアイドル……そして、突如やってきた転校生と教育実習生……」
 偶然にしては出来過ぎているわね……と春
白拍子かんな「まぁ、何かわけがあるんじゃないかと……」
 かんな、学生篇での久しぶりの台詞であった。
ユリア・キドニー「では、あれは豆腐制作の修行の際に出来た古傷ではないと?」
 ……お前、先生のでっち上げ信じてたのか……
囁口聶じょうこう・ささや「ま、まぁ、流石に豆腐制作であんな盛大な怪我することはないと思うけど……」
花「アナタは甘い……豆腐作りを侮ることなかれ……豆腐を煮た際の湯が腕にザバ〜……煮えたぎった大豆が弾け
て顔にズドン……豆腐作りとは人間と大豆の大いなる闘い……いえ、人類の尊厳をかけた大豆との闘いなのよ!」
一同「どんなだよ……」
 これぞ、正に、『スゴイダイズ』……ってそんな馬鹿な……
ユリア「豆腐とはそのような凄惨な過程の果て作られるのですね……」
 いや、だから、アンタもそんなデマ信じない……
ささや「ところで、左目の《魔の力》と右腕の《闇の力》の封印は万全なのですか?」
花「勿論です……私の高貴なるシュヴァルツ・ネロ・ノワールの力にて……」
蔵院くらいん「ああああああッ!」
 ささやの何気ない一言に自慢げに語る花、そして、すぐさま大声を上げる蔵院くらいん
※ってかシュヴァルツドイツ語の黒ネロイタリア語の黒ノワールフランス語の黒って黒が三つも被ってるじゃねぇか!
堅「……や、やっぱり、アンタは……いや、貴方は……伝説の厨二病アイドル……幕辺まくべぼとる!」
 そして、知る人は知る……ってか、分かる人にしか分からない感じで驚きを隠せないのは堅ただ一人
花「……な、ナンノコトデショウ……私、そんな『あれは、いいものだあぁ〜』的な名前じゃありません」
蔵院くらいん「なっ……芸名の自虐ネタを……」
一同「……」
 そして、一行の視線が花に突き刺さる……まぁ、イタい子を見る視線ですけど……
花「くっ、こうなったら仕方ありません……私の封印されし《闇の力》……今、ここで解放するしか」
 としゅるしゅると右腕の包帯を解きだす花
蔵院くらいん「なっ……だ、駄目だ……今、ここで《闇の力》を解放しては……世界が滅びてしまう」
花「いえ、私と志を同じくするエージェントの貴方ならば……」
蔵院くらいん「くっ……分かりました……ならば、この私が全力で解き放たれし《闇の力》を封印して見せましょう」
花「出でよ!我が《闇の力》」
 ばっと包帯を一気に解き放つ花
 ……この寸劇……どう収拾するつもりなのか……


続

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