Eighter -Practical Era-
15ther 〜転校生と奴は言う B〜



#3
 突如天四斗あまよと工業にやってきたのは過去を改竄して教育実習生になりすました科学者……ではなくて、サザンオル
ステラから妹を探しにやってきたお姫様であった。
 そして、彼女は南に対し突如平伏する……一体何が?
楠木南「あ、えっと……あの……」
品辛斬子ぴんから・きりこ「流石は楠木家の末裔……日本ではなく、海外に舎弟国家を持つとは……」
 なんてグローバルな家系だ!とか言い出す斬子きりこに、そんなわけないでしょ!と南が即否定
*「お答えしましょう。我が国、サザンオルステラ皇国は南方を神聖視する国家」
一同「どわおっ?」
 突如何の前触れもなく現れたるは一人のメイド。
 凛ッとした感じで腕を組むその姿は……成金の屋敷のメイドにそっくりであった。
※なお、『凛ッ』というのは胸を強調する効果表現である……
 と、いうか、彼女もなんだかメイドさんカチューシャ(俗に言うホワイトブリム)を装着してないし……
生徒「あ、あなたは……?」
*「私はサザンオルステラ皇国の名もなきメイドの一人……」
一同「……」
 名乗り方も成金の屋敷のメイドとそっくりだった。
 なんだろう、この既視感デジャヴ……
南「……ええと、南方を神聖視するお国柄ってのは分かったけど……」
メイド「ええ、ですから貴方様……南を崇めるのは当然のこと!」
南「いやいやいや、私、南方じゃないよ……」
 最もな突っ込みだった。
 と、いうか、南がコッソリと(ユリアの)北方に移動しても、やはり、ユリアはそのまま北を向いて南を崇め続
ける。
 もはや、南方を神聖視するどころか、とりあえず『みなみ』ってつくモノを片っ端から崇め立てているとしか思
えない。
ユリア・キドニー「私が日本に来たもう一つの目的に、この地に南方を制した王がいると聞き及び……」
 その方に逢うべくやってきたとも言えるのですとユリア
椿木つばき春「南方を制した王?」
榎木えのき夏「そんなの居たっけ?」
 第一なぜ日本なのか……日本より南方にならばそのような感じの存在がいるかもしれないのだが……
ユリア「何でもそのお方は、ちょっとした裏金融業についているとのことなのですが、御存知ありませんか?」
南「ってそりゃミナミの帝王でしょうが!」
 思わず突っ込んでしまう南に、一行も思わずあ〜〜と納得してしまう。
ユリア「知っておられるのですね、流石は南様……」
南「いやいや、知ってるって言うか、架空の存在だからね!それ……」
ユリア「そ、そうなのですか……」
 途端にしょんぼりしだすユリア
ユリア「では、199X年に設立されたというサザンクロスタウンは……」
一同「それも架空の話ッ!」
 その後も、サウスを冠した将星の漢がいるとお聞きしましただの、南十字星の刺青を持つ拳法家集団がいるとお
聞きしましただの……と、どれもこれも架空の存在ばかりを実在すると思い込んでいた様子だった……
 このお姫様、大丈夫なのだろうか?
※なお、『サウス』を冠した将星の漢とは無論、サウザーのことであり、南十字星の刺青を持つ拳法家集団とは、
 無論極十字聖拳きょくじゅうじせいけんのことである。更にどうでもいい余談としてサウザーには極星十字拳きょくせいじゅうじけんという持ち技があります。

#4
斬子きりこ「さ、戯言はここまでにして、みんな、ユリアと仲良くしてやるんだぞ」
一同「いやいや、戯言って……アンタ、国家侮辱罪で抹殺されても知らんぞ!」
 姫様が自ら言うならばまだしも……
メイド「ユリア様……では、妹を探す方に移りましょう……既に目星は付けております」
ユリア「流石私のメイドね」
メイド「いえいえ、それほどでもあります」
 凛ッと腕を組んでそんなことをのたまうメイド
一同(自画自賛しおった、コイツ)
 やはり、成金の屋敷のメイドの関係者なんじゃないかと疑う一行であった。
メイド「まずはこちらの方ですが……」
 とメイドが取り出したるは、我がクラスの詞野綾ことばの・あやの写真であった。
ユリア「……どうも違う気がしますわね」
メイド「ですか……では、こちらはどうでしょう?」
 続いて取り出したるは、天四斗あまよと工業のメイドこと、櫟木樂いちい・らくの写真であった
ユリア「う〜〜ん、なんかこう、違うのよね……」
一同(ってか、写真じゃなく、本人と直接話した方がいいんじゃないか?)
 なぜに、写真なのか……と、いうか、いつ、写真を撮ったのか……
 やはり、このメイド、只者ではないのか……
メイド「では……」
 と、その後も数人の写真を候補として出すのだが……いずれも、ユリアの眼鏡には敵わなかったらしい
ユリア「はぁ……」
 ちょっと一休み……とばかり廊下を眺めていると……
ユリア「ああっ!」
一同「な、ななっ?」
 突如、ユリアに閃きが走る……
 そのまま勢いよく廊下に飛び出していくユリア
ユリア「あなた……そこのあなた!」
*「へ?……はい?」
 それは、建築科の一生徒、囁口聶じょうこう・ささや……
ユリア「私の妹になりなさい!」
 そのままエル・ロザリオを首にかけようとするユリア
一同「妹が『いる』の『いる』って『存在』じゃなくて『必要』って意味なのかよッ!」
 思わず突っ込む一行。
※なお、かんなは超運で最初からこうだと分かってました。
囁口聶じょうこう・ささや「いや、あの、僕、男……」
 だが、彼女……いや、彼は童顔で中性的な顔であるが、女ではなく、男だった……
ユリア「……妹は男の娘……アリですわ!」
一同「ねぇよ!」
 思わず突っ込む一行であった。
ユリア「ともかく、この日本では十字架を受け取ってしまった女性は妹に成らざるを得ないと聞き及んでいます、
さぁ!私の妹に……」
ささや「ちょ、そんなの聞いたことが無い……」
 やっぱり、これもまた架空というか、アニメ、マンガからの知識だった

#5
 ……で、結局彼はどうなったのかと言うと……
ささや「……」
一同「……」
 女装して、首からエル・ロザリオをかけ、ユリアと腕組みするささやの姿がそこにはあった……
ユリア「ふんふんふん……」
 結局、押しきられてユリアの妹として過ごすことになってしまったのであった……
ユリア「いずれ、我が国に転校してくださいね」
ささや「いや、それ転校じゃなくて……」
 転校せい!と奴は言う……
※コレが言いたかっただけじゃねぇか!


END

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