Eighter -Practical Era-
14ther 〜科学者はときに笑う B〜



#3
 裏世界の秘密結社、紅キ翼ヴァーミリオンウィングの脅しに屈する漢、壬屈縛紀みかがみ・しばき
 そして、時同じくして天四斗あまよと工業に紅キ翼ヴァーミリオンウィングの魔手が忍びよる……
 天四斗あまよと工業、グラウンド
楠木南「さて、今日も一日終わったし……」
 放課後、南は今日は珍しく一人で帰路につこうとしていた。
※いつもはかんなと一緒だったり、夏と一緒だったりとひとりでは無い……とのことだが、信じるか信じないかは
 アナタ次第です。(どこの都市伝説だよ)
 ヌッ
南「わっ」
 そして、突如謎の黒尽くめが南の前に立ちはだかる
 こいつこそ、紅キ翼ヴァーミリオンウィングからの刺客であった
南「あなた、どちら様?」
 南は本能的にコイツが只者ではないことを感じ取った。
 まぁ、なんというか殺気垂れ流しなので、余程のバカでもない限り常人だとは思わないんですけどね
*「フン、俺が何ものかなどと瑣末なことだ……なぜなら、貴様は今、ここで死ぬ」
南「……まさか、貴方が所興信さきのぶ……?」
*「ほう、なるほど……壬屈縛紀みかがみ・しばきと関わったことをあの世で後悔するんだな」
 紅キ翼ヴァーミリオンウィングが末席、此木これぎ柴……貴様に名乗る名前などない!と叫ぶ漢
※いや、名乗ってるし……
南「そっちこそ、武芸百般何でもこなす楠木一族に手を出したことを後悔しなさいよ!」
 宣言すると同時に殴りかかる南
此木これぎ柴「楠木の……ならば、貴様が……あの有名な……」
 驚きつつも、南の拳をサラっとかわして叫ぶ柴
南「くっ、こいつ……」
 強い……興信さきのぶがどれほどの手練れなのかは知らないが、この柴もそれなりの手練れ……
 生半可な覚悟では殺られる……
南「これはどう?跳躍斬刃ちょうやくざんばッ」
柴「ハッ無駄だ!」
 バババババッ
 どこかに隠し持っていた苦無を投げつける南……しかし、その全てを左手で受け止められてしまう
柴「これが楠木……笑わせる……」
 苦無を無造作に投げ捨てると同時に一足飛びにかかる漢。
 そのまま流れるように手刀を南に叩きこむ
南「くっ噴流灼弾ふんりゅうしゃくだんッ!」
 ドンッ
 咄嗟に右の掌打で手刀に応戦する南
柴「少しは出来るようだが……甘いわッ!」
 ぐぐぐぐ
南「嘘っ……」
 体格差もさることながら、男女の力の差は如何とも埋めがたし……
 柴の手刀はゆっくりだが、確実に南を圧倒していった
南(こ、これが裏世界の殺し屋の力……)
 春夏秋冬きっての武闘派、夏でさえ後から震えが止まらなかったというその理由を垣間見た南
 だが、もはや、手遅れ……

#4
 柴の圧倒的力の前になすすべもなく砕け散りそうになっている南
 しかし、そんな南に救いの手が差し伸べられる
 とんとん
柴「ああ?何だ、貴様……」
 突如、肩を叩かれる柴。
柴「はいぃ?」
 早速振り返ってみると、そこには『はたらかない』と書かれたアイマスクをした謎の女性が立っていた。
*「フンッ」
 ドゴスバキッ
柴「あがぁあっ」
 そして、次の瞬間、その謎の女性に一蹴される柴
 『はたらかない』という無駄にインパクトのあるアイマスクに気を取られていたとはいえ、裏世界の人間がこう
も簡単に叩きのめされるなどと……
南「え?ええ?」
 南も一体何がどうなったのか……
 いや、そんなことよりも、この女……できる!と南
南「……あ、あの……どうもありがとうございます」
 とりあえず、アイマスクに視線を向けたままお礼をする南
南(ってか、なぜにアイマスク?……しかも働かないって……)
 まぁ、当然そんな疑問に至る
※ってか、アイマスクに反して働いてるんじゃないかね?
*「何、気にするな……私は通りすがりの天蓋てんがいあだ……」
 そう呟く彼女……そして、それに呼応するかの如く、二本の触角の様なアフォ毛がピコッと揺れる
南「天蓋てんがいあだ?」
 天蓋てんがいあだ……それは種族の名……そして、宇宙人のことである。
 今から十年以上も前、地球に……この日本にやってきた友好的な地球外生命体の名が天蓋てんがいあだで、外見の最大の
特徴として二本の触角の様なアフォ毛がある。
 また、誇り高いことで有名で人知を超えた力を有することでも有名。
 もし、天蓋てんがいあだが友好的な種族でなければ、今頃地球は天蓋てんがいあだの植民地となっていたであろう
 だからこそ、裏世界の人間である柴がこうもあっさりと斃されたのだ……
天蓋てんがいあだ「では、私はこれで……」
 そういって、彼女はノした柴を担いで去って行こうとする
南「あ、どこへ?」
天蓋てんがいあだ「ん?紅キ翼ヴァーミリオンウィングにこいつを返却しに……」
 どうにも律儀な性格だった
南「一緒に行ってもいいですか?」
天蓋てんがいあだ「……別に構いはせんが……」
 と、いうわけで、ここに奇妙なコンビ結成(?)

 ……そして……

*「たっ、大変です!」
所興信さきのぶ「なんだ、どうした?」
*「そ、それが……襲撃に出向いた柴が……返り討ちにあいました」
興信さきのぶ「馬鹿な……奴は末席とはいえ、その力は折り紙つきのはず……」
天蓋てんがいあだ「邪魔するぞ!」
 ドカっとドアを蹴破り参上する天蓋てんがいあだ
興信さきのぶ「貴様……なぜここが?」
 ノされている柴を担いで参上したその彼女を見て……唖然とする一行


続

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