Eighter -Practical Era-
13ther 〜科学者は時に笑う A〜



#0
 タイムマシン……それは時空を超えて二つの空間を行き来できる夢のマシン……
 そして、これは『タイムマシンに気をつけろ』……のような『霧のエリューシヴ』……のようなそんな感じの物
語
 ……なんかではありません!
※おい、どういうことだよ!

#1
 天四斗あまよと工業、3-J
品辛斬子ぴんから・きりこ「あ〜、突然だが教育実習生を紹介する」
生徒「いや、本当突然ですね……」
 何の前触れもなくそんなことを言われ、一行は驚きを隠せない。
 まぁ、彼女の唐突な行動とか突飛な発言は今に始まったことでは無いのでみんな最早諦めに近い感じであるが
生徒「先生、教育実習生ってどんな感じなんですか?」
斬子きりこ「うむ、そうだな……ひとことで言えば……かんな」
一同「え?かんな?」
 どういうこと?とみなが首を傾げていると、かんなが持ち前の超運でこう答える
白拍子かんな「普通の二十代の男性ですね」
一同「……」
 先生もあまりよく分かっていなかったので全てをかんなに丸投げしただけだったのだ……
斬子きりこ「おし、いいぞ、入って来い、私が許可する」
一同(だから、なんでアンタにそんな権利あるんだよ……)
 まぁ、ともかく、謎の紹介をされて入ってくるは、かんなが超運で言い当てた通りの普通の二十代の男性であっ
た。
*「え〜、教育実習生の壬屈縛紀みかがみ・しばきです。短い間ではありますが、よろしくお願いします」
斬子きりこ「長い期間教育実習生としてやっていけるか、短い期間でおさらばになるかは不明だが、よろしくやってあげ
なさい」
一同「……」
斬子きりこ「じゃ、早速授業でもやってもらおうか、あとよろしく」
 そういって斬子きりこは近くの椅子に座り傍観を決める
壬屈縛紀みかがみ・しばき「ええっと……」
 突然授業を任された縛紀しばきとしてはどうしていいのやら困惑気味である
一同「いやいやいや、全てを教育実習生に丸投げしないでくださいよ」
 思わず生徒一行が突っ込みを入れるも、斬子きりこはシレっと何食わぬ顔でこう続ける
斬子きりこ「何を言う……これも立派な教育実習の一環だ……」
一同「アンタが楽したいだけでしょうが!」
斬子きりこ「何を言うか!私だって本当は授業をしたいんだぞ……だが、教育実習生のために涙を飲んで教鞭を振るうの
をやめているのだ……いい話だろ?」
 いや、それを自分で言わなければね……
斬子きりこ「とにかく、今日一日は好きなように授業を行ってみなさい……私が許可する」
縛紀しばき「は、はぁ……」
 斬子きりこにいいように丸めこまれ、仕方がないので自分の好きなように授業を行ってみることにする縛紀しばきであった。

#2
 そして、一日も終わり、放課後
 なお、斬子きりこは本当に、今日一日授業をすることなく教室でふんぞり返っていた。
 アンタ、一体何さまのつもりだよ!
 まぁ、そんなことはおいといて……(おいといていいの?)
生徒「壬屈みかがみ先生はどうして教師になろうと思ったんですか?」
 唐突に一人の生徒がそんなことを呟く
縛紀しばき「フッ、実はTVドラマの高校教師にいたく感銘を受けてね……」
一同「え?」
 その発言にぎょっとする一同。
 それもそのはず、TVドラマ、高校教師とはまぁ、ぶっちゃけると教師と生徒が一線を超えたり超えなかったりす
る(社会的に)ハラハラドキドキする物語である。
 そんな問題作に感銘して教師を目指すなんてこの人、実は女子高生とねやを共にしたいだけのヘンタイなのではな
いだろうか?
斬子きりこ「ほぅ、奇遇だな、何を隠そう私もTVドラマ、高校教師に感銘を受けて教師になった口だ」
一同「ええええ?」
 突然会話に割り込んでくるだけでもびっくりなのに、更に彼女までそんな不純な理由で教師になったとか言い出
すなんて驚天動地だった
※なお、高校教師というTVドラマは二作ありまして、おそらく、斬子きりこは無印、縛紀しばきはその十年後を描いた続編に感
 銘を受けたものだろうと思われる(とくに何の根拠もないけど……)
 ってか、斬子きりこは『天四斗あまよとのDr.キリコ』って呼ばれてるんだからキリコに感銘を受けて先生になったんじゃない
のか?
斬子きりこ「……と、いう冗談はさておいて」
生徒「冗談だったんかい!」
縛紀しばき「そんな、折角同志が居たと思ったのに」
 斬子きりこの発言に愕然とする縛紀しばき
一同「アンタはマジですかい!」
 思わず後退る女子一行
 このとき、女子一同は思った、この先生と深く関わると、犯される……と……
椿木つばき春「そ、そういえば、先生は変わったデザインの腕時計してますね?」
 とりあえず、話題を逸らすことにする春
縛紀しばき「おお、目の付けどころがいいな……」
 そういって縛紀しばきは左腕につけている腕時計を見せる。
 その腕時計は無駄に分厚い腕時計で、傍から見ると小物入れを腕に装備しているかの如くだった
縛紀しばき「ふふふ、これは時計なんだよ」
一同「いや、分かりますって……」
 コイツ、一体何を言っているんだか……という空気が教室に満ちる
杭木亢くいぎ・こう「あ、そうだ、三国志では誰が好きですか?」
縛紀しばき「ああん?」
 こうの何気ない一言に突如キれだる縛紀しばき
縛紀しばき「貴様、俺の名前が『壬屈みかがみ』で転じて『水鏡みかがみ』……更に先生を目指してることから『水鏡すいきょう先生』とか『司馬徽しばき
』とか言い出すつもりじゃないだろうなぁ……」
こう「い、いえいえいえいえ、滅相も……」
 どうやらこの発言は彼にとってタブーだった
縛紀しばき「フン、分かればいいんだ、分かれば……」
 彼に三国志の話をしてはならない……そんなことを思った一行であった。


続

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