Eighter -Practical Era-
11ther 〜心に秘めたるは刃 B〜



#3
 ある日、剣術の砕天さいてん、天下布武杯が開催され、そこに参加できることになった天四斗あまよと工業、剣道部
 ……そこで剣道部部長のすすきは助っ人を求めてかんならのもとへ出向くのだが……
 ひょんなことから夏と南の激突が始まることとなる……
※ってか砕天さいてんって何だよ!
榎木えのき夏、楠木南「はああああ!」
 バギャアアアアッ
 激突する木刀と木刀……そして、双方の技の威力に耐えられなくなった木刀が真っ二つに叩き折られ宙を舞う
鋩金芒ほこかね・すすき「うっそぉ、あれ黒檀こくだんよ……」
 信じられない……と言った顔つきのすすき。
 無理もない、黒檀こくだんは木材の中では特筆して硬いことで有名だ……それをいとも簡単にへし折るなどと……
 この二人、どうにかして剣道部に入ってくれないかな……と、そんなことを考えるすすきであった。
品辛斬子ぴんから・きりこ「フム、仕切り直しだな……代わりの木刀を持ってこい」
白拍子かんな「ちょ、ちょっと待って……」
 試合第二幕……の前にかんながしゃしゃり出す
夏「止めないで、かんな……」
南「そうよ、いくらかんなの頼みと言えども女には引けない時があるの」
 まるでかんなを巡って争うみたいな雰囲気……
かんな「その前に、助っ人って一人なの……って」
一同「……」
 かんなの発言に一行が黙りこむ
 ……そう、先ほど、かんなが思った事というのは正しくこれだったのだ
すすき「……まぁ、助っ人は何人でもいいんだけど……」
夏、南「ちょ、ちょっと、それを早く言ってよ!」
すすき「……いや、言おうとしたんですけど勝手に話が進んで……」
斬子きりこ「まぁ、あれだ……いい余興だったってことで、許そう!」
一同(ってか、なんでアンタがそんな権利持ってるんだ?)
 声に出して言うと何かトンでもないことされそうなので一同は心の中で突っ込むのであった
南「あ〜〜あ、引き分けか……武芸百般何でもこなす楠木家の末裔としてはこの結果はちょっとよろしくないわね
ぇ……」
夏「私だって、引き分けで引き下がるというのは……」
斬子きりこ「まぁ、勝敗は本戦で決めればいいじゃないか……途中で敗退すればそこまでだったということで……」
夏、南「そ、それだ!」
 首を洗って待ってなさいよ!とか言い出す両雄
 そんな二人を見て、すすきはこの二人が助っ人で大丈夫かなぁ……と一抹の不安を感じるのであった。

 天四斗あまよと、楠木家

楠木ごう「何?天下布武杯……」
南「はい」
 帰宅した南は早速食卓にて剣術の砕天さいてん、天下布武杯に参加することを報告する
楠木あやめ「また、あの砕天さいてんが開催されるのね……」
ごう「参加してほしいと招待状が届いたのだが、うむ、今年は辞退しよう」
南「へ?招待状?」
あやめ「この人はその昔、天下布武杯で五連覇を成し遂げたことがあるのよ」
南「へ、へぇ〜〜〜」
ごう「南よ……今年は私の代わりにお前が出場するのだ……そして、楠木の力を見せて来い」
南「はい!」
 こうして、南は決意を新たに天下布武杯に臨むのであった……

#4
 そして、いよいよ運命の時、来たる……
 東京都、日本武道館
*「皆さま、本日はお忙しい中天下布武杯へ参加していただいてありがとうございます……私は本大会の運営を司
る最高責任者、織田かずさです」
 彼女は苗字から分かる通り織田上総介かずさのすけ信長の末裔である。
 故に、この天下布武杯の最高責任者としては適任であった。
織田かずさ「じゃ、みんな、目いっぱい楽しんでね〜」
一同「ウォオオオオ〜〜〜!」
 彼女の開始の合図と共に会場が一気に湧きあがる
椿木つばき春「す、すごい熱気……」
 かんなら出場しない生徒一行も見学としてこの場にやってきて、その熱量に圧倒される
柊木ひいらぎ冬「トーナメント表によると夏はDブロック、南はCブロックなんだって……」
楸木ひさぎ秋「……剣道部部長は?」
冬「ええと、待って、今探すから……」
 南と夏は助っ人、すすきが大将なので、真っ先に大将のことを気に駆けないといけないはずだが、そんなことはない
春夏秋冬の面々
 まぁ、いいけど……
斬子きりこ「いいか、南、夏……両方とも負けたら生徒が許してもこの私が許さないからな!」
一同(だから、なんでそんなに上から目線なんだよ……)
 そして、先生もすすきのことはアウトオブ眼中という始末……
 ……まぁ、ともかく、熱気冷めぬ中、試合は始まる……

 予選Dブロック

*「やれやれ……最初の相手がよりにもよってこのような小娘とは……」
夏「小娘とは失礼ね……」
*「まぁ、よかろう……吾輩は宮本溝介……」
夏「宮本……って、まさか……」
宮本溝介「そうとも!我が先祖はかの有名な宮本武蔵……の傍流、宮本武蔵溝ノ口である!」
一同「誰だよ、そいつ……」
 思わずそんな野次が飛ぶのも無理はない。
 これがもし宮本武蔵玄信(初代宮本武蔵)の子孫だとか宮本武蔵政名(二代目宮本武蔵)の子孫だとかならば、
おお!とかいう感じであるが、聞いたことのない謎武将の子孫だななんて興ざめである
溝介「二空一流……その神髄を知れ!」
 そして、二天一流ならぬ二空一流……なんだかどうにもパチモンくさかった……
 まぁ、ともかく、竹刀を左右に無造作に構える溝介。
 形だけならば宮本武蔵と言われても納得できる格好だった……
夏「……」
 対する夏はというと……まるで湾刀のような竹刀、湾竹刀を携え相対する
※やっぱ竹刀も曲がりなりにも『刀』なんだから湾刀じゃないとと思うのは自分だけなのだろううか……
溝介「はっ!二空一流、奥義ッ!天翔十烈てんしょうじゅうれつ」
 ズドオオンッ
 一足飛びにかかると同時に左右の竹刀で十字に切りかかる溝介……
溝介「ガハアアッ」
 だが、しかし、そんな彼の渾身の一撃を嘲笑うかの如く、夏の斬撃が溝介を襲う……
 ……と、言うわけでこの死合、夏が相手を瞬殺して即終了……
 やっぱり、宮本武蔵の名を騙るパチモンの子孫じゃこんなもんだよなぁ……と言った空気が場を支配するのだっ
た


続

前の話へ 戻る 次の話へ