Eighter -Practical Era-
11ther 〜心に秘めたるは刃 A〜



#0
 榎木えのき夏と楠木南……彼女らは強敵ともである……
 そして、今、二人のうちどちらが強いかがはっきり……しないけど……(ヲイ)
 と、ともかく、今回はそんな武闘派二人がメインになる……のかもしれない……

#1
 天四斗あまよと工業、武道館
生徒「大ニュースですよ、部長」
 一人の生徒が慌ただしく武道館へと飛び込んでくる
生徒「コラコラ、廊下は走らない……」
生徒「あ、すみません、部長……ですが、大ニュースなんです、このチラシ、見てください!」
 そう言って生徒は部長に一枚のチラシを見せる
生徒「こ、これはぁ!」
 そのチラシを見た瞬間、部長はチラシを分捕り廊下を走ってどこかへと言ってしまうのであった
※お前、人に廊下は走るなとか言っておきながら……
 一方……
 同天四斗あまよと工業、3-J
品辛斬子ぴんから・きりこ「……じゃ、今日の定時報告は終了っと……」
生徒「定時報告って……」
 無論、HRのことである
 ガラッ
そして、そこへ先ほどの部長が来たる
生徒「な、何だ?」
生徒「私、剣道部部長の鋩金芒ほこかね・すすきって言います」
斬子きりこ「……で、その剣道部が何か用かね?」
鋩金芒ほこかね・すすき「まずはコレを見てください!」
 そして、彼女は先ほど部員から奪ったチラシを見せる
一同「剣術の砕天さいてん……天下布武杯開催のお知らせ?」
 ……ってか、『砕天さいてん』って何?
杭木亢くいぎ・こう「て、天下布武杯だと?」
楯木てすりぎ盾「何?知っているのか?」
こう「ウム……戦国時代から始まった剣客の頂点を決める一大イベント……」
 織田信長が始めたと言われており、故に天下布武杯って名前なんだ……とか言い出すこう
すすき「そう、その栄えあるイベントにウチが出場出来ることになったんです」
斬子きりこ「ほほぅ、それは……」
白拍子かんな「……つまり、助っ人が欲しいってことですね」
すすき「流石かんな……今日も冴えてるぅ!」
 いや、冴えてるのではなく、超運……あ、運じゃなくても分かるか……
榎木えのき夏、楠木南「そういうことならば、この私の出番ね!」
 そして、同時にすくっと立ち上がる二人
夏「あ?」
南「え?」
 そして、そのまま睨みあう両雄
夏「ちょっと、ここは私の出番でしょ」
南「何を言い出すのよ……やはり、私が出てこそ」
すすき「ええと……あの……」
斬子きりこ「よし、私が許可する……夏と南、どちらが強いのかここで白黒つけマニア!」
南、夏「望むところよ!」
すすき「……」
 すすきそっちのけで話が進んでいく
 ってか、白黒つけマニアって何だ!という、突っ込みがあったりなかったり……
かんな「……」
 一方、そんな中かんなはあることを思ったのだが……まぁ、それは今は言わないでおきましょう……

#2
 でもって、一行は武道館へと足を運ぶ
斬子きりこ「いいか、これはあくまで剣道部の助っ人を決める試合だ……つまり、剣術でのみ勝敗を決するものとする」
夏「望むところよ」
南「異論ないわ」
 そういって二人は木刀を手にする
すすき「……あの、竹刀は?」
南、夏「木刀こっちがいい!」
すすき「……防具は?」
南、夏「いらないわ」
すすき「……」
 正に真剣勝負……いや、得物は真剣じゃないけど……
斬子きりこ「さ、審判はお前だぞ」
すすき「え?私?」
 お膳立てだけ整えて、赤と白の旗を渡されるすすき
すすき「ええと……」
南、夏「早く、早く!」
すすき「ああ、もう、どうにでもなれ!」
 半ばヤケクソ気味ですすきは試合を開始させるのであった
南、夏「はあっ!」
 ガキンツ
 すすきの合図と共に一足飛びにかかる夏と南……そして木刀と木刀とがぶつかり合う
南「やるじゃないの……」
夏「そっちこそ……」
 それでこそ強敵とも!と共に相手を認める両雄
 そして、一旦は距離を置く二人
夏「はあああ!」
南「えええい!」
 と、次の瞬間にはまたしても激突する両雄
 夏が木刀で南を横に薙ぎ払うかと思えば、南は上段からの斬り降ろしでそれに応戦。
 再び刃と刃が十字に交わる
すすき「す、すごい……」
 そして、そんな二人の試合にただ呆然とするしかないすすきであった
 剣道部部長がこうまで言うのだから、二人の実力は折り紙つきである。
 ……まぁ、そんな南も夏も帰宅部なんですけどね……
※南はたまに運動系の部活に助っ人として呼ばれることがあるみたいですけど……
 ただ、助っ人よりはかんなが優先なのでかんなとの先約がある場合は問答無用でキャンセルしています(をい)
 ……そんな風にかんなが優先というのに関わらずかんなと南はデきてるんじゃないか……ってな噂がまことしや
かに飛び交わないのもひとえにかんなの超運のなせる技であります。(どうでもいい……)
南「籠手調べは終わりよ……」
夏「奇遇ね……私もそう思っていたところよ」
 何度かの鍔迫り合いの後、両雄は再び距離を置く。
 そしてそのまま微動だにしない
一同「……」
 ふたりのただならぬ気配に一行も固唾をのんで見守るしかない……
夏、南「行くわよ……」
 そして、やはり、夏と南は似た者同士なのか、双方木刀で居合腰を取る
 張り詰めた空気の中、ジリジリと一歩ずつ間合いを詰める両雄……
夏、南「はあああ!」
 ダムッ
 かくて、繰り出される剣戟……果たして、夏と南……勝つのはどっちだ?
 そして、先ほどかんながふと思ったこととは一体……


続

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