Eighter -Practical Era-
10ther 〜君の鐘を鳴らせて B〜



#3
 ある日、成金に降ってわいた悲劇(?)それは、彼の婚約者……
 成金は婚約者に結婚を諦めてもらうべくかんなに結婚を申し出るのだが、しかし、時すでに遅し、成金の婚約者
天四斗あまよと工業に来たる
餡銅鑼真曦逅あんどら・まぎあ「どうして私との結婚を拒みますの?」
成小路金厭かねあき「そ、それは……」
真曦逅まぎあ「一時期はおかずを届けに通った仲でしたのに」
杭木亢くいぎ・こう「な、なな、ななな……オ、オカズを届けに通っていただと?」
楯木てすりぎ盾「ま、まさか、今でもそれをオカズに?」
 ゴクリと固唾をのみ込むヘンタイ二人
金厭かねあき「待て待て待て、それは勘違いだ!」
※と、いうか、おそらく真曦逅まぎあは勘違いさせるためにあえてそう言っていると思われます。なんて、はしたない
真曦逅まぎあ「肉じゃが、カレー、シチュー……それにサーロインステーキに、満漢全席」
楠木南「最初庶民的だったのに、最後の方、サーロインステーキって……」
 いや、その前に満漢全席をお届けってもはやおすそ分けのレベルを超えてるじゃねぇか!
品辛斬子ぴんから・きりこ「なんだ、成金、通い妻がいたのか……だったら、結婚してしまえ、私が許可する」
金厭かねあき「待て待て、勝手に許可するんじゃねぇよ!」
榎木えのき夏「ってかさぁ、一体彼女のどこが不満なわけ?」
椿木つばき春「そうそう、部外者で悪いけど傍から見ると何さまのつもりって感じ」
金厭かねあき「それは……だな……」
 成金の眼が泳ぐ
柊木ひいらぎ冬「あ、何、ひょっとして料理がものすっっっっっっっごくマズイとか?」
真曦逅まぎあ「な、なんて失礼ですの?」
金厭かねあき「そんなわけねぇよ!」
 彼女の料理は料理の鉄人もむせび泣くほどの腕前なんだぞ!と豪語する成金。
 力説されて真曦逅まぎあもぽっと頬をあからめる
楸木ひさぎ秋「じゃ、どうして?」
金厭かねあき「……お、俺は今、白拍子かんなと結婚を前提に付き合っている」
真曦逅まぎあ「なんですってぇ!」
白拍子かんな「え、違いますよ……」
金厭かねあき「俺とかんなとの愛は永遠に不滅……だから、お前と結婚することはできないんだ……」
南「はぁ?……永遠に破滅の間違いでしょ」
夏「やっぱ一回痛い目を見ないと分からないようね」
 夏と南、二人が拳をパキポキ鳴らしながら成金に爽やかな……しかし殺気だった笑顔で迫る
真曦逅まぎあ「いいわ、だったら私が愛の力であなたを寝取り返して差し上げますわ!」
 しかし、真曦逅まぎあ真曦逅まぎあで会話を聞いていない様子だった
真曦逅まぎあ「貴方が私から婚約者を奪った泥棒猫ですのね?」
 そして、すぐさま獲物を見つけた真曦逅まぎあはかんなの前に立ちはだかる
かんな「いや、違いますけど……」
真曦逅まぎあ「成金をかけて私と勝負なさい!」
 ビシイッと扇子を突きつけて真曦逅まぎあが宣言する
金厭かねあき「おう、かんな、俺達の愛をあの女に見せつけてやるんだ!」
かんな「……」
 二人の間に愛なんてないので見せつけることなんて出来ないのだが……
かんな「ええと、私の不戦敗で……」
金厭かねあき「おいおい」
真曦逅まぎあ「なっ!」

#4
真曦逅まぎあ「待ちなさい!勝手に負けることは天地が許してもこの私が許しませんのよ!」
一同「……」
 なんて面倒くさいお嬢様だ……と、一行は思い、そして、こんな性格なら成金が結婚を嫌がるのも若干分かる気
がするなぁ……と思う始末であった
かんな「……どうしても……やるんですか?」
 困ったとうか、憔悴した感じでかんなが呟く
真曦逅まぎあ「勿論ですわよ!私、勝ちを譲られるのと自分のモノを他人に奪われるのが一番許せませんの!」
 真曦逅まぎあの中では既に成金は真曦逅まぎあのモノ扱いだそうです……
南「はぁ……もう、こうなったら付き合ってあげるしかないんじゃない……」
金厭かねあき「マジで?」
 かんなと付き合っていいんですか?とはしゃぎだす成金
春、夏、秋、冬「アンタとじゃないッ!」
かんな「う〜〜ん」
 だが、しかし、審判が成金になりそうな雲行きのこの勝負、どんなに手を抜こうが何をしようが成金はかんなを
選びそうなので乗り気がしないかんなであった
※あれ?かんなの超運をもってすれば負けることは容易いんじゃないかって?
 フッ、甘いな……負けるために運を使うなどと運を司る神が許してくれるわけがないのだよ……きっと……
斬子きりこ「フム、ではこうしよう……成金が審判を務めるのでは一方にあまりに不利であるからここは間を取ってお前
のメイドを呼びだせ」
金厭かねあき「んなッ」
 俺様の完璧な作戦がぁ……とショックを受ける成金
 一方の真曦逅まぎあも確かに成金が審判では問答無用で私が勝ってしまって詰まらないですわねなどと了承しだす
 その根拠のない自信はどこからやってくるのか……
メイド「はい、と、いうわけで呼ばれました」
一同「うおっ?」
 そして、次の瞬間、特に呼びだしたわけでもないのに成金の屋敷に住まう名もなきメイドが凛ッと腕を組んでこ
の場に屹立していた。
斬子きりこ「じゃ、時間も惜しいから早速まずは料理対決……」
 と、言うわけで一行は調理室へと足を運ぶ
真曦逅まぎあ「ふむ、庶民の方はこんな場所で料理を作りますのね」
 いや、庶民でもこんな場所で料理を作るのは学生時代だけですけど……
斬子きりこ「あ〜〜、じゃ、得意料理作って……」
 そして、斬子きりこ斬子きりこでなんだかどうにも投げやりである。
真曦逅まぎあ「絶対に負けませんわよ!餡銅鑼あんどらグループの名に懸けて……」
かんな「……ええと、お手柔らかにお願いします……」
 かくて、成金の婚約者のイザコザに巻き込まれたかんな……
 果たして彼女は持ち前の超運を持ってしてこの場を乗り切ることが出来るのか……
 それとも、運の女神はかんなに敗北を許さないのか……
 今、運命の死合が始まる……


続

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