Eighter -Practical Era-
1ster 〜工高で捕まえて! B〜



#3
 朝の騒がしい一幕も終わり……一行は授業へ……とは進まず
成小路金厭なりのこうじ・かねあき「やぁ、かんな、今日も美しいね」
 ズイっと(咥えていた)薔薇バラを差し出して猛烈アピール。
白拍子かんな「……えっと……」
 実は何かある度にこうやって迫られていたりするので結構困っているかんな
※ちなみに、余談ですが、金厭かねあきはかんなの超運にあやかろうとかしているみたいです。
金厭かねあき「どうだい?今夜、夜景の見えるレストランで食事なんかを……」
 と、チケットを差し出す成金
楠木南「成金……アンタまた……」
成小路金厭なりのこうじ・かねあき……通称『成金』……まんまなあだ名だな……
 とズズイと両者の間に割って入る南
金厭かねあき「おおっと……だが、甘い!SPッ!」
 ドカドカドカッ
金厭かねあきが叫ぶと黒服が突如教室内に入り込む
金厭かねあき「フフフ……いくらお前が武芸百般なんでもこなすあの楠木の家のものだからって……」
 ドカスカッ
 ベキッ
黒服「ぎゃ〜〜す!!?」
南「ん?何!?」
黒服ズ……やられる瞬間すら省略……そのあまりのザコぶりに、思わず金厭かねあきも絶句
金厭かねあき「き、今日のところはウチの新人メイドと戯れておこう……だが、覚えておけよ!かんな……お前はいずれ俺
のモノ……」
 ビシッ
 ガキッ
金厭かねあき「痛いッ!!痛たたたたた……」
 格好良く指をさすと腕ごと掴まれる金厭かねあき
南「誰がアンタのものかッ!……丁度いい機会だわ……ちょっと向こうでゆっくりとお話でもしましょうか……」
 ズルズルズル……
金厭かねあき「ひ……ひいいい……」
 そのままどこぞへと連れされれる金厭かねあき
・
・・
・・・
生徒「……成金もまぁ、馬鹿だなぁ……」
生徒「武芸百般なんでもこなす楠木家の1人娘……あの娘との『話し合い』から生きて帰ってきたヤツはいない…
…そう、あれは……『話し合い』ではなく……『果し合い』!!」
生徒「彼女を体現する言葉として『体は殺戮で出来ている、血潮は破滅で心は滅殺、幾たびの死線を越えて不敗。
ただ一度の失敗もなく、ただ一度の許しもさせず、彼女は常に1人、屍の山の上で勝利に浸る、故に生涯に一片の
悔いはなく、その体はきっと殺戮で出来ていた』……ってのがある位だからな……」
※それ、どんな無限の剣製?
 ちなみに……1時限目が始まるころに成金の姿は教室にはなかった……

#4
教師「……では、授業を始めます」
一同「……」
 と、そんな成金を無視して授業を始めるなかなか面白い教師の名前は斎秀帝璃さいしゅう・ていり……
 担当は名は体を現す数学である。
生徒「先生……」
斎秀帝璃さいしゅう・ていり「何だ?」
生徒「いくらなんでも昨日の宿題はヒドすぎます」
生徒「そうですよ〜〜、奇数の完全数を探し出せって……まだ見つかってもいないものを一体どうやって探せって
言うんですか?」
帝璃ていり「いや、もし、探し出せたら数学界で名を後世に残せるからいい宿題だと思ったんだがな……」
一同「そんなんで見つかったら誰も苦労はせんわ!!!」
 ……だが、黒神めだかならあるいは……
帝璃ていり「じゃあ、偶数の完全数の100番目でも可」
一同「まだ41個しか見つかってないのにどうやって一気に100番目を探すんですか!」
帝璃ていり「やれやれ、最近の若い者は……すぐ難しいからといって諦める」
 馬鹿の壁ってのを知らないのか?お前ら……出来ないと思い込むから出来ないんだぞ……と帝璃ていり
生徒「いや、今のは完全に先生の方が悪いですよね……」
 ガラガラ……
 と、そこへ……ようやくこの場にいなかった成金がメイドと同伴でやってくる
金厭かねあき「酷い目にあった……」
帝璃ていり「あ〜〜、今までどこほっつき歩いていたんだ?授業はもう始まっているぞ……」
金厭かねあき「フッ……ちょっと心の傷を癒しにね……」
 さり気なくキザに言いまわす金厭かねあき。本当は南にやられた体の傷を癒していただけなのだが……
帝璃ていり「……そうか……何でもいいから、そのメイドはメイド喫茶に帰してやれ」
金厭かねあき「違うから!これはウチのメイドだっての!」
品辛斬子ぴんから・きりこ「ふむ、級則、成小路金厭なりのこうじ・かねあきは今後学校にメイドを連れ込むことを禁ず」
 いつの間にか教室の入口に斬子きりこが寄りかかっている。
金厭かねあき「またピンポイントなッ!?」
 と、言うかなぜ斬子きりこ先生がここにいるの!?と一同はちょっとばかし疑問を……
 いや、たまたま通りすがっただけだが……とそれに対して斬子きりこは言う。
斬子きりこ「とりあえず、そのメイドは没収。放課後、職員室まで取りに来るように……」
一同「いや、ちょっと、斬子きりこ先生……そんな人をモノのように……」
 まるで生徒から漫画やゲームを取り上げるノリでメイドを取り上げて颯爽と職員室へ去っていく斬子きりこ先生であった
一同「……」
 悠然と立ち去る斬子きりこ先生に唖然とする一行……
帝璃ていり「……さて、授業を続けるぞ……」
一同「先生!?」
 そして、こんな状況でも何事も無かったかのように授業を続ける彼も……なかなかの人物である……
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・・
・・・
 ……ここは天四斗あまよと工業……かんならが通う普通の……
 ……奇人、変人もいたりいなかったりする高校……かくて、学生篇の幕は上がる……


END

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