Eighter -Noble Gathering-
53rder 〜けいは暁に夢を見る C〜



#5
ある日、けいは炎双刃を落っことしてしまう……だが、それは落っことしたのではなく、奪われた……のではなく
やっぱり、落っことしたのであった……そして、それを拾った漢……夏木藤次はけいに復讐するべく、立ち上がった
のであった……
夏木藤次「死ねぇあ!けいイィ!黒炎虎舞こくえんこぶッ」
ドガアアッ
黒き炎の虎がけいに襲いかかる
天然蛍あましか・けい「だから、無駄だってば……」
まるで蚊を振り払うかの如く、黒き炎の虎を弾き返すけい
藤次「……フッ……フフフ……やはり、そうか……だが、これならどうだ!炎黒鎧爪えんこくがいそうッ」
ズドゴゴゴゴゴゴゴッ
黒き炎を纏ってパワーアップ……
突込魁とつこみ・かい「いくらやっても無駄だと思うぞ……」
けい「……」
そういうかいに対して、けいはふざけた表情をやめ、真剣な面持ちで藤次を見つめていた
かい(……え?)
けい「危ないから下がってて……」
かい「え?……あ、うん……」
いつもの巫山戯ふざけているとしか思えない声ではなく、真剣な声色のけいに……思わず従ってしまうかい
藤次「ハッ!これが真の黒炎虎舞こくえんこぶ!」
ドンッ
先ほどとは比べ物にならない熱量の黒き炎の虎がけいを襲う
けい「……」
無言でそれを回避するけいだが、しかし、炎の虎はなおもけいを襲う
けい「ちっ……」
ズドガンッ
炎を纏った左手で炎の虎を殴りつけ、消し飛ばすけい
藤次「フフ……さっきまでの威勢はどうしたぁ?けい……」
けい「……うん、ちょっと眼が覚めた……」
ぶすぶす……
かいけい!?」
よく見ると、けいの左袖が焼け焦げており……左腕にも火傷が……
それは、けいの炎の鎧を藤次の技が凌駕したことを意味していた……
藤次「フ……死ね!けいィイ!!虚熔滅炎陣きょゆうめつえんじん!!」
ズドオオオオッ
無の炎で龍を虚ろの炎で虎を造り、あたり一面を焼き尽くす……それはほむら一刀流究極奥義……
けい「ぐ……ぐぅうう……」
両腕を交差し、炎を最大限に纏わせ防御に撤するけい……しかし、破られるのは時間の問題だ……
藤次「ハハハハ……ハハハハ……けい……無様だなぁ……オイ……」
けい「ぐぬぅう……」
藤次「だが、まだ、これで終わりじゃないぜぇ……」
かい「まさか……」
炎双刃に刻まれた記憶を呼び起こし、我がものにするオーパーツ呼び醒ます記憶の籠手サモン・メモリアル……その能力が本物ならば
藤次にはまだ、ほむら一刀流最終奥義が残っている……
藤次「燃え尽きろッけいィ!炎水之極えんすいのきわみ!」
ドガアアッ
水の龍がけいの動きを封じ、炎の鳥がけいを葬り去る
けい「あ……」
かいけいぃいいい!!!」
藤次「ア〜〜〜ッハッハッハッハッハ!!」
ただでさえ虚熔滅炎陣きょゆうめつえんじんで防戦一方のけいに更に炎水之極えんすいのきわみなど防御できるわけもない……
かくて、けいは敗れ去った……

#6
藤次「ククク……俺は勝った!けいに勝った!!」
地面に倒れ伏すけい……その前進は火傷と水ぶくれで見るも無残な姿になっている……
かい「う、嘘でしょ……けい……」
すかさずけいに駆けつけるかい
かい「……ね、ねぇ、けい……じょ、冗談だよね……また、いつもみたいに、ふぁ〜よく寝た……とか言って起き
 上がるんだよね……」
冗談ではない……それは分かっている……だが、認めたくない……
ゆさゆさとけいをゆすってみるが……しかし、けいは一行に目覚めない……
当然だ……あんな大技を喰らったのだから……
藤次「影も残らず燃え散るかと思いきや……そうでもないとは……けいも存外しぶといな……」
炎双刃を構え、けいほむら一刀流を我が物顔で扱う藤次がけいを見下ろす
かい「貴様……」
藤次「今度は貴様が相手になるのか?BoA……ハハハ……だが、貴様ごときでは俺は破壊出来んぞ……」
かい「……」
かいは珍しく怒りに震えていた……自分でもこんなに怒り心頭になれるなんて思ってもみなかった……
それほどまえにかいの中でけいの存在は大きくなっていたのだ……
藤次「まぁ、いい……恋人に先立たれるのは不幸だろう……一緒にあの世に……」
かい「ンなわけあるかバカッ!こここ、こいつと私とが恋人だなんて……そそそそ、そんなわけあるかバカ!……
 バカバカバカバカ!バカッ!!」
怒っているから顔が赤いのか、照れているから顔が赤いのかどっちなのかよく分からない……
しかし、今、かいは猛烈に怒っていた……それはもう、般若の如く……
藤次「……馬鹿と言う方が馬鹿という言葉があるってことを知らないわけではあるまい……」
かい「黙れ馬鹿!ッ舞散夢階調舞い散る夢の調べ」
そのままかい夢羅征むらまさで力任せに藤次を宙に飛ばし、何度も斬り刻もうとした……
ガキンッ
藤次「ハッ……何だぁ!?」
かい「なっ!?」
……しかし、実際には初撃を炎双刃で受け止められていた……
かい(……夢刃流の奥義がこうも容易く!?)
……それは、かいが頭に血が上っていたせいでもあるが……しかし、今の今までかいけいと死合って、けいに勝てた
ためしなし……純粋に力の差でもあった……
藤次「フンッ」
かい「ぐっ……」
そのまま力任せに弾き飛ばされるかい……ゆっくりと距離を詰める藤次……
藤次「さぁて……メテェもいい加減に死ね!」
ニヤリとほくそ笑む藤次
ブンッ
そして、振り落とされたる兇刃……黒き炎を纏いし炎双刃……
かいはこのまま藤次にブチ殺されてしまうのか……


END

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