Eighter -Noble Gathering-
53rder 〜けいは暁に夢を見る B〜



#3
ある日、唐突にEighter本部にやってきたけい……どこかで落とした炎双刃の代わりになる武器を探して……との
依頼だったのだが、しかし、落っことしたわけではなく、奪われただけであった……
そして、炎双刃を預かっている……との謎の文面のカードが送り届けられ、けいかいに引っ張られてそこへと赴く
のであった……
天四斗あまよと、某所
*「フ……フフフ、迷わずよく来られたな……」
突込魁とつこみ・かい「……」
『臆せずよく来たな』ではなく、『迷わずよく来られたな』という第一声に開いた口がふさがらないかい
天然蛍あましか・けい「……で、とっとと返してくれないかな……」
*「だが、断る!……貴様……まず、この俺がだれだか覚えているか!?」
けい「……いや、全然」
*「フ……だろうな……だったらもう一度名乗ってやるから覚えておけ!俺は夏木藤次……」
かい(……こいつ……けいが物忘れが激しい……ってか基本、ものを覚えないことを知っていて……)
と、いうか、なんというか律儀な奴である……
夏木藤次「そして、けい……貴様は俺の部隊を壊滅に追い込んだ張本人……」
かい「……それって、やっぱ昼寝の邪魔をしたから……とかそんな理由?」
藤次「ああ、そうだ!」
かい「……」
なんだか頭が痛くなってきたかいであった……
藤次「あれからずっと、俺は貴様を斃すことだけを考えて生きてきた……そして、遂に!先日、貴様が昼寝を
 した時、置き忘れた炎双刃を偶然手にいてたことで復讐の時は来たというわけだ!」
かい「って偶然手に入れたんかいッ!」
突っ込まざるにはいられないかいであった……
何と!奪われたのではなく、やっぱり、落っことしていたなどと……
けい「……で、いいから早く返して……冬木夏至さん」
藤次「夏木藤次だッ!」
空気を読まずにけいが返却を催促すると、すかさず叫び返す藤次……もちろん、返事はNOだ!

けい「……何なの……こっちは忙しいんだけど……」
かい「いやいや、まぬけい……アンタ、帰って昼寝したいだけだろ!」
けい「うん……」
藤次「ともかく、そこの女はすっ込んでろ!……これは俺とけいとの問題だ……」
叫びつつかいを睨みつける藤次……その気迫に気圧され、かいは一歩後退ってしまう
藤次「……さて、けい……炎双刃を返してほしければ……俺から奪い取れ!」
けい「はぁ……面倒くさいなぁ……もう……じゃあ、いらない……あげるよ、それ……」
そして、そのまま踵を返すけい
藤次「ちょ、ちょっと待て!待て待て待て!」
さすがにこれは予想していなかった藤次、慌ててけいを引きとめる

藤次「ともかく、俺は貴様に怨みがある……だから、今日、貴様を殺す!」

#4
けい「……あ、そう……うん、分かった……じゃあ、遊んであげるからかかっておいでよ……」
藤次「フ……行くぞ!」
ダッ
そのまま一足飛びにかかり斬撃を繰り出す藤次
ガインッ
しかし、けいの纏った炎が鎧の代わりとなり、炎双刃の刃を通さない
けい「無駄無駄……」
藤次「……そうくると思ったぜ……」
ババッ
そのままけいから距離を置く藤次
藤次「そこで、コレの出番だ!呼び醒ます記憶の籠手サモン・メモリアル」
そう言ってどこからともなく取りだした漆黒の手甲をはめる藤次
藤次「火龍双刃かりゅうそうじんッ!」
ゴゴウッ
かい「なっ!?」
それは、けいの使う流派……ほむら一刀流の技……炎を纏いし攻撃力、防御力を増加させる秘術……
けいの師匠が殺された今、ほむら一刀流を扱えるのはけいしかいないはず……
かい(……まぁ、けいのことだから、兄弟子とか弟弟子とか忘れているとかそういうオチな気がするけど……)
……しかし、かいの思わくに反して、藤次はほむら一刀流の使い手でもなければ、水炎みなほむら聖十郎の弟子でもない……
全ては、藤次が装着した籠手……それはオーパーツ……万物に宿る記憶を呼び覚まし、そして、自分のものに
するという呼び醒ます記憶の籠手サモン・メモリアルの能力のおかげなのだ……
そして、けいと共に数々の修羅場をかいくぐってきた炎双刃に刻まれた記憶が今、藤次の手にあると言うことは、
藤次はけいと同等の技を持っているということでもあるのだ……
藤次「死ね!けい炎飛龍斬ほむらひりゅうざんッ」
ゴギャアアッ
炎で作った龍がけいに襲いかかる
かいけい!」
けい「……だから、無駄だって……」
炎の龍に呑みこまれた……かに思えたけいだったが……しかし、傷一つ負うことなく生還する……
そう、けいほむら一刀流の正当後継者……故に自分の……ほむら一刀流の技でダメージを負うほど馬鹿ではない……
藤次「その余裕……いつまでもつかな……紅龍炎舞こうりゅうえんぶッ」
ズゴオオオオオッ
深紅の炎で龍を4匹作り、けいに襲わせる藤次
けい「……残〜念」
……だが、しかし、炎の龍を軽く回避し、間合いを詰めるけいの姿がそこにあった……
藤次「……チッ……さすが、けい……巫山戯ふざけていてもほむら一刀流の後継者……と、いうことか……」
けい「無駄なことはやめてとっととそれ、返してね……返してくれないんなら、それ、あげるから、早く帰らせて」
藤次「……貴様が帰るのは無にだ!ハアアッ!蒼鳳炎舞そうほうえんぶッ!」
ズドゴアアアッ
今度は至近距離から4匹の青き炎の鳳を解き放つ藤次
けい「……ふぅ、危ない危ない……」
かいけい……」
しかし、既の所で回避して、距離を置くけい
かい(行ける……この死合……けいに分がある……)
藤次「……」
果たして、それは本当なのか……


続

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