Eighter -Noble Gathering-
47ther 〜急襲する闇の軍勢 A〜



#0
砕華さいか……それは殺人や窃盗、武器密輸のついでに売春を行う外道くのいち集団……
そして、殺人、窃盗、武器密輸の他に、現代に続く忍びの里の撃滅をも目的に動く集団……
忍びの里の未来はともかく、殺人や窃盗、武器密輸のついでに売春も行うその集団を野放しにしておくわけにも
いかず、総介は立ち上がった……

#1
新潟県、軒猿のきざるの里
ここに派遣された助っ人とは赫眼かくがん同盟の直江万夏まなつであった……
直江万夏まなつと言えば、その先祖は直江山城守兼続やましろのかみ・かねつぐ……彼は上杉謙信、景勝かげかつの腹心とも言うべき存在……と、言うか
謙信の実の息子……だからこそ、上杉の忍軍、軒猿のきざるの助っ人として派遣されるのは当然でもあると言えた……
※ちなみに、これも総介の采配です。
軒猿のきざる「お久しぶりでございます……」
直江万夏まなつ「……ええ、そうねぇ……」
軒猿のきざる「あなたの姉上も元気でやっていますか?」
万夏まなつ「まぁ、元気というか何と言うか……」
万夏まなつの姉……それは一体いかなる人物なのか……しかし、今回の話とは関係がないので割愛させていただきます
万夏まなつ「そんなことよりも、今は迫る砕華さいかの魔手からここを護ることを考えるわよ」
軒猿のきざる「……そうですな……」
万夏まなつ「……と、言っている傍から、お客さんの来訪ね」
軒猿のきざる「ぬ?」
万夏まなつが告げると同時に、砕華さいか、颯爽登場
*「……砕華さいかがくのいち、三位さんみのそめる、颯爽登場!」
万夏まなつ「出たわね!外道くのいち集団……」
三位さんみのそめる「外道で結構……挨拶がわりに、受け取りなさい!」
ガガガガガガガッ
そめるの号令と同時に一斉射撃
万夏まなつ馮風劔ひょうふうけん」
ゴヒュウウッ
しかし、迫る銃弾を横薙ぎによって生じさせた太刀風で叩き落とす
万夏まなつ「行くわよ……」
軒猿のきざる「おおぅ!」
軒猿のきざるとは他の忍びを狩ることに長けた忍びである……故に迫る忍びに対しては容赦がない……
最も、この現代、他の忍びなど滅多にお目にかかれないので忍びを狩る技術も格段に落ちてしまっているのだが
……
まぁ、万夏まなつだけを矢面に立たせるわけにもいかないから先陣を切って襲いかかっているのでもあるが……
三位さんみのそめる「……ちっ……やるじゃない……でも、まだ甘いのよっ」
カッ
軒猿のきざる「なっ?」
ズドオオオオオンッ
砕華さいかの陣地に足を踏み入れた途端、爆発に巻き込まれる軒猿のきざる
万夏まなつ「地雷?」
三位さんみのそめる「もう、たまんない♪」
同情の余地はねぇな……とでも言われそうな感じでそめるが恍惚の表情を浮かべて呟く……
しかし、一体、いつの間に地雷を埋め込んだと言うのか……

#2
万夏まなつ「地雷ですって?……」
軒猿のきざる「卑怯な手を……」
三位さんみのそめる「死合に卑怯も何もないわよ……ただ、勝つか負けるかがあるだけ……そして、アンタ達は負ける
 運命にあるのよ……」
万夏まなつ(でも、一体あいつらはいつ地雷を仕掛けたと言うの?)
万夏まなつ砕華さいかの殺気をいち早く察知した……それは砕華さいかが殺気を隠すことが得意ではないということの表れでもある
……
しかし、そんな砕華さいかが、地雷を仕掛けたと思しき際は何の気配も見せなかった……
三位さんみのそめる「さぁ!全軍突撃よ!」
砕華さいかくのいち「おお〜〜」
軒猿のきざる「地雷原を突撃させるなどと……」
砕華さいかのいる陣地は既に地雷原……にも関わらず砕華さいかはそれを恐れず突撃し、銃撃を繰り出す……
忍びは死を前提に作戦を立てる……と言うが……しかし、砕華さいかは死を恐れず立ち向かってきているようには
見えない
軒猿のきざる(あるいは、もはや、地雷はない……?)
軒猿のきざる(……確かに、それも考えられる……)
だが、考えている時間もない……すぐ目の前に砕華さいかが迫ってきているのだ……
軒猿のきざる「行くぞ!」
カカッ
ズグゥウ〜〜〜ン
万夏まなつ「え?」
……しかし、あっちからやってくる砕華さいかは地雷に引っかからず、こっちから立ち向かう軒猿のきざるは地雷にひっかかり
爆滅……
まるで地雷が敵味方を識別しているかのようだ……
三位さんみのそめる「あはははは……」
ダダダンダンダンダンッ
笑いながら銃撃を繰り出すそめる……
万夏まなつ「くっ……」
その銃弾を村雨蘭丸で切り払いつつも、そめるを睨みつける万夏まなつ
万夏まなつ「まさか、敵味方識別型の地雷でもあるっているの?……そんなの聞いたことがないわよ!」
……あるいはオーパーツを駆使すれば、そのようなことが実現可能かもしれない……
だが、しかし、砕華さいかがオーパーツを駆使していると言うのならば、総介が真理の断片が見せる未来でそれを予知
したはずだ……
それが無かったと言うことは……まぁ、総介が意地悪してなければ、オーパーツは関係ないということになる
万夏まなつ(……ん?)
と、その時、万夏まなつは遥か後方に何か光るものを見つける……
万夏まなつ(……あれは……)
それは、ライフルのスコープであった……
万夏まなつ(あんなところにも援軍……まさか!)
そのとき、万夏まなつに閃きが走る……
敵味方識別型の地雷の秘密……なぜ砕華さいかは地雷にひっかからず、こちらは地雷にひっかかるのか……
万夏まなつ「狙撃?」
三位さんみのそめる「なっ?」
ぼそりと呟く万夏まなつに対しこの驚きよう……それはこの地雷の秘密が看破された……ということに他ならない……
しかし、駆け抜ける味方に当てないように、そして、軒猿のきざるには当てるように狙撃を行うなどと、並の腕前では
ない……
このまま万夏まなつはどう反撃を行うのか……


続

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