Eighter -Noble Gathering-
38ther 〜異の原潜は新海へ B〜



#3
黒き潟と行動を共にしていた特攻野郎と千鳥の正体はSRAPのかみ総介とその秘書、山咲やまざき桜であった……
そして、夏寒なつかんリョーラ匹いる不正政府高官のは艦隊もろともICPOに接収され……
総介は悠々と帰路へつく……
かみ総介「……ほぅ、逮捕してほしいのか?」
山並界次、立浪たつなみ宇美「ンなわけはない!」
総介「フン、だろうな……」
誰もかれも、好き好んで逮捕してほしいなどと思わない……
まぁ、中には冬の寒い中、公園で寝泊まりをするのがイヤなので軽犯罪を実施して刑務所という暖房、ご飯完備
の施設へ入りたがる浮浪者はいるが……
大和玻璃やまと・はり「……いいのかしら?……私達は……」
山咲やまざき桜「皆まで言わなくて結構ですよ……大和やまと財閥のお嬢様……いえ、元でしたね……」
界次、宇美「なっ?」
総介「どうしてそれを知っているか?……フン、そんなもの、俺がSRAPだからだ!」
一同「……」
ちっとも納得のいかない答えだったが、しかし、納得せざるを得ない答えであった。
そんな中、総介はさらにシャンバラを操作する
界次「お、おい、今度は何をしようってんだ?」
総介「後始末だ……」
宇美「後始末?」
総介はシャンバラにインストールした疑似ツェルツラをアンインストールしているのだ……
そして、その後、何事も無かったかのように黒き潟は日本へと戻り、総介、桜もまた、何事も無かったかのように
黒き潟を後にするのであった
一同「……」
残された3人はただ、呆然と事の成り行きを見守ることしかできなかった……

その頃……

天四斗あまよと、Eighter本部
梓與鷹よたか「……ははぁ、なるほど……」
かんな、エルから事の顛末を聞き、ようやく総介が何をしにここへやってきたのかを知る與鷹よたかであった。
與鷹よたか「つまり、今ニュースで流れているのがまさにそれってわけか」
白拍子かんな「はい、そうです」
……TVでは裏金を使って私腹を肥やしていた政府高官が一斉摘発される……というニュースが流れていた。
裏金で私腹を肥やしていた政府高官がなぜかマラッカ海峡にてIPCOに逮捕、接収されるというニュース……
警察の介入を恐れて逃亡していたところを往生してしまい、そこへ運悪くICPOが駆けつけてご用となった……
と報道されているが、実際は違うのだ……
*「まさに、『裏金のフセイバレル』といった事件であります」
更にそのあとこのレポーターは1人2役で『へへっ、ナイスな展開じゃないか!』、『……貴方、最低です!』
などと続ける
一同「……」
そんなことを堂々と言ってのけたこのレポーターは……後にとある漫画家コンビを崇拝するファンの集団に
ボコボコにされたりしたのだが、しかし、それは別の話である。

#4
あれから1週間後……
日本、某所
界次「結局、あの場に居合わせた連中は全員逮捕できたんだが、そのバックにいた政府高官は財産全て
 引き落としてトンズラだってさ……」
新聞を片手にそんなことを言う界次
玻璃はり「……腐った世界ね……全く……」
宇美「でも、そんな腐ったヤツらがいるからこうやって、私たちの生活が成り立っているんだけどね……」
玻璃はり「……」
そんな宇美の発言に黙り込む玻璃はり……
界次「しかしよぉ……あいつがまさかSRAPだったとは……びっくりだな……」
宇美「ええ、そうね」
そして、総介のことを思い出す2人
あれからも裏金、表に出せない宝石を狙って潜水海賊を行っていた黒き潟だが……総介が彼らを逮捕しにくる
ことはなかった……
若干びくびくしていたのだったが……杞憂だったのか……
玻璃はり「『特攻野郎』の時点で……気付けたかもしれなかったけど……まさか……だったわね……」
※特攻野郎……それはとある世界の不器用な傭兵……かみ総介とは『そうすけ』繋がりである。
宇美「でもさ……最近、不正の摘発があちこちで発覚してしまって、こっちとしては商売があがったりだよね」
界次「う〜〜ん、嬉しくもあるが、哀しくもあるんだな……」
世界から裏金が無くなるのは喜ばしいことではあるが、それを狙って動くこちらとしては住みにくい世の中に
なったとも言える
*「心配はいらん」
一同「!!!!」
と、その時、突如声が……
その声に覚えがある……というか、忘れられるはずもなかった黒き潟は思わず目配せをする
界次、宇美「かっ……かかかっ……」
玻璃はり「……ついに、私達にも年貢の納め時が来たってところかしら?」
玻璃はりただ1人のみ、覚悟を決めていた模様……
桜「いえ、そうではありませんよ」
界次「え?どういうこと?」
総介「お前たちを雇う」
界次「雇……」
総介の発言に意味が分からない
総介「そもそも、お前たちの持つ潜水艦……アレに組み込んである代物はこちらで管理しなくてはならない代物
 だ……本来ならばシャンバラだけをこちらに引き渡して貰いたいところだが……」
界次「それは……」
シャンバラこそ、潜水海賊の要……あれなくしては、潜水海賊はなりたたない……
総介「それでは困るのだろう?」
玻璃はり「……そういうこと……つまり、シャンバラを自分の監視下に置くという名目で雇うってわけ?」
総介「そう捉えてもらって結構だ……こちらとしても、空間をコントロールする力を持つシャンバラがあると
 何かと助かるからな……」

#5
玻璃はり「だそうだけど、どうするの?」
界次、宇美「……」
黒き潟の実働メンバーは界次、宇美の2人だが、玻璃はりはその相談役の様な位置づけになっている……
界次「まぁ、確かに、このままアンタに怯えつつ仕事をするよりも、アンタに雇ってもらって堂々と仕事をする
 ほうがいいってことは確かだな……」
総介「フン」
界次「おし!黒き潟の新たな旅出に乾杯だ!」
宇美、玻璃はり「お〜〜〜」
……こうして、黒き潟の新たな旅路がはじまったのであった


END

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