Eighter -Noble Gathering-
38ther 〜異の原潜は新海へ A〜



#0
潜水海賊、黒き潟……それが狙うのは政府の裏金や表沙汰に出来ない宝石類……かくて、裏金の道を進む政府高官
らは結託し、黒き潟を抹殺せんと立ち上がったのだが……
黒の潟にはかみ総介と山咲やまざき桜が関わっているようで……

#1
マラッカ海峡、海上
*「……え?」
夏寒なつかんリョーラ「どうし……」
言いかけてリョーラも固まる……レーダーに映った物が信じられないのだ……
そして、それは海中の黒の潟とて同じ
大和玻璃やまと・はり「え?何これ……」
潜水艦・マウンタンドに迫る魚雷という魚雷、その全てがピタリと動きを止めているのだ……
もし、海中をカメラで撮影したならば、魚雷のスクリューが空回りしている映像が撮れただろう……
山並界次「何が起こったんだ?」
界次も驚きを隠せない……
水中で魚雷がぴたりと止まることなど有り得ない……もし、水中で魚雷が停止したとしても、魚雷の自重で海底
へ沈むはずだ……
しかし、全ての魚雷はまるで見えない壁に激突したかのごとく、海中でぴたりと動きを止めている
特攻野郎「今、あの魚雷群はこの区域に入る権限を失っている……だから、どうあがいてもこの区域に入ること
 は出来ん」
立浪たつなみ宇美「へ?」
そんなことを言われても一体どういうことなのかさっぱり分からない……
……あらゆる存在へのパーミッションの変更……それが九大オーパーツCPがひとつ、ツェルツラの持つ特殊な
能力である。
そして、総介はかんなに頼みこんでこれの簡易版を作成してもらったのだ……
勿論、侵入する権限も失わせているが、魚雷の爆発の実行権も失わせてある
特攻野郎「これは返す!」
と、次の瞬間、魚雷はぐりんと180°回転し、海上目掛けて突き進む

*「サー・リョーラ!魚雷がこっちへ戻ってきます」
リョーラ「馬鹿な!」
推力を完全に失った艦隊では、この魚雷の嵐に成す術もない。
死を覚悟した一行だったが、しかし、次の瞬間、海中から空へ飛び出した魚雷は別の魚雷とぶつかり爆発を
巻き起こす
ズグアアアアアッ
一同「おおおお……」
そして、艦隊は全ての魚雷を失った……
*「サー・リョーラ……」
皆の焦燥が募る
リョーラ(馬鹿な……奴らは……バケモノか?……それとも、神か……)
*「サー・リョーラ……」
リョーラ「今度は何だ?」
*「敵が、浮上します」
リョーラ「何だと?」

界次「ちょ、アンタ、何勝手に浮上してんだ?」
特攻野郎「決まっている……勝利の凱旋だ!」
宇美「いや、凱旋って……」
この潜水艦は私達のものなんだから、勝手に操縦しないでよ!と2人……
そんな中彼を信じてください……と冷静に呟くのは千鳥だ

#2
*「サー・リョーラ……」
リョーラ「無傷……だと?」
予想はしていたが、しかし、本当に無傷のまま浮上してきたことに改めて驚きを隠せないリョーラ
と、その時、マウンタンドのハッチが開き、中より、特攻野郎と千鳥が参上する
*「野郎!ふざけやがって!」
魚雷は全て討ち尽くしたとはいえ、まだ機銃位はある。
乗組員は一斉に甲板に走り、機銃を構える
*「それで勝利の凱旋のつもりか!……だが、甘いわ!蜂の巣」
リョーラ「やめい!」
キィンッ
リョーラ、渾身の叫び……メガホンを通じて全艦隊に響き渡るその声に、一行も驚きの表情でリョーラを見つめる
*「サー・リョーラ……」
今が絶好のチャンスですよ?と首を傾げるのだが……しかし、見ると、リョーラは冷や汗が止まらない様子だ
*「サー・リョーラ……?」
リョーラ「馬鹿な……なぜ……なぜ奴が……なぜSRAPがこの場にいる!?」
*「SRAP?」
咄嗟に一行も潜水艦・マウンタンドに立つ男を見る……
何を隠そう、特攻野郎とはかみ総介、千鳥とは山咲やまざき桜のことだったのだ!
※別にもう隠してはいませんが
かみ総介「俺のことを知っているのなら、話は早いな……SRAPの権限だ……お前ら全員逮捕する!!」
界次「SRAP!?」
それに驚きを隠せないのは黒き潟の方である
玻璃はり(SRAP……!?じゃ……じゃあ……この人が……世界でただ1人……大統領でさえ即決で逮捕できる……)
宇美(ってことは、もしかして、私達も場合によっては逮捕されるんじゃ……)
冷や汗が止まらないのは黒き潟も同じであった
と、そんな折、ヘリの音が聞こえる
総介「フム、いいタイミングだな……」
*「何だ?」
*「サー・リョーラ……ICPOです!」
リョーラ「な、何だと!?」
*「サー・リョーラ……我々は……トンでもない漢を敵に回していたのですね……」
リョーラ「ぐ……うぐぐ……」
ガクリ……と一行はその場に頽れる……
かくて官僚たちの夏……もとい夏寒なつかんリョーラの艦隊は終わった
※先に『官僚たちの夏』などと言い出したのは『夏寒なつかんリョーラ』の名前の元ネタがそれであるからである。
総介「行くぞ、山咲やまざき山咲やまざき桜「はい、警部」
そう言って総介、桜は再び潜水艦・マウンタンドへと入って行く
界次「え?行くって……」
総介「日本へ戻る」
宇美「あ、そう……」
と、言うわけで黒き潟は日本へと戻るのだが……
一同「……」
特攻野郎と千鳥がSRAPのかみ総介とその秘書であることを知り思い沈黙が続く
玻璃はり「……私達は逮捕しないの?」
界次、宇美「玻璃はりッ!」
そして、ぽつりと問いかける玻璃はり……それに対し総介はどう答えるのか?


続

前の話へ 戻る 次の話へ