Eighter -Noble Gathering-
33rder 〜とぶらう紅き鳳凰の章 A〜



#0
元人交喙いすか……かつて、與鷹よたか、総介らとともに歴史の墓場について研究をしていた漢だが、ある事件をきっかけに
袂を別った漢でもある……まぁ、今では再び総介らとの仲は修復されたのだが……今回はそんな彼のお家事情。
なお、交喙いすかの家はトレジャーハンターの家系として有名であり……交喙いすかの父親、鷦鷯しょうりょうも
トレジャーハンターとして名を馳せていた……
※過去形なのは、すでに故人だからである……

#1
天四斗あまよと、Eighter本部
元人交喙いすか與鷹よたかはいるか?」
バムっと扉を開け勢いよくEighter本部に入り込む交喙いすか
一同「……」
その登場ぶりに思わず殴り込みにでもやってきたのかと一同は硬直する。
梓與鷹よたか「……騒々しいな、交喙いすか……」
交喙いすか「おう、與鷹よたか……お前に依頼だ!」
與鷹よたか「依頼?」
交喙いすか「そうだ!與鷹よたか……来週、俺の親父が十三回忌を迎えることは知っていよう」
與鷹よたか「いや、初耳なんだが……ってか、そうか、もう、そんな時期か……」
しみじみ呟く與鷹よたか。
百鬼あろえ「で、お父さんの十三回忌と依頼とどんな関係が?」
交喙いすか「ああ、それよ……俺の親父……元人鷦鷯しょうりょうってぇんだが、それは名の知れたトレジャーハンターだったのよ」
あろえ「……親子揃ってトレジャーハンターなんですか?」
確か、交喙いすかもトレジャーハンターだったはず……というのは以前、與鷹よたかから聞いた話である。
交喙いすか「まぁ、トレジャーハンターといえども、遺跡荒らしまがいなことをやっていた時期もある……そして、親父
 が死んでも、親父を怨む輩はまだいたりする……」
與鷹よたか「……つまり、十三回忌に攻撃を仕掛けてくるかもしれない……と?」
交喙いすか「ああ……」
だから、Eighterに十三回忌がつつがなく終了するように護衛を頼みたい……と交喙いすかは言い出す。
與鷹よたか「しかしなぁ……交喙いすか、そういうのは戦闘のプロに頼んだ方がいいんじゃないか?」
交喙いすか「何を言う……與鷹よたか……このEighterには運の女神がいるだろう」
白拍子かんな「と、いうことは、つまり、十三回忌を狙う輩が存在しないとバレることも分かっているという
 ことですね?」
交喙いすか「……」
かんなの発言に黙り込む交喙いすかであった
與鷹よたか「おいおい、交喙いすか、どういうことだよ?」
かんな「つまり、交喙いすかさんの本当の依頼は元人家にある蔵の整理を手伝ってほしいということなんです」
素直にそんなことを言っても一人でやれ!とかはねられるのがオチなので、交喙いすかは十三回忌(こちらは本当)
をダシに親父に怨みを持つ輩が狙っているなどとうそをついたのだ。
……まぁ、かんなに即バレるというところまでは考えが及んでいなかったようだが……
ちなみに、わだかまりが解けたとはいえ、総介に頼むのも何だし(総介は総介で真理の断片で交喙いすかの嘘
をすぐ見抜きそうだが……)故に、交喙いすか與鷹よたかのもとへやってきたのだ。

#2
與鷹よたか交喙いすか、お前には悪友がいなかったか……何とかとかいう」
あろえ「リーダー、何一つ思い出せてません……」
すかさず突っ込むあろえ
交喙いすか顎任燧石がくとう・すいしゃくか?……アイツはダメだ……」
與鷹よたか「そうそう、顎任燧石がくとう・すいしゃく……そんな名前だった……」
で、なんで駄目なんだ?と改めて問いかける與鷹よたか
交喙いすか「奴は金目のものがあるとコッソリとくすねていく癖があるからな……そんな奴に蔵の整理を任せられん」
大体アイツには前科があるからな……と交喙いすか
交喙いすか「気をつけろよ、與鷹よたか……アイツは何かをこっそりとくすねていくのが病的にうまい……その技のおかげで
 奴は高校時代学年次席だったんだ」
あろえ「……」
カンニングで成績を確保していたにしても、カンニングだけで学年次席なるなんてとんでもないな……などと
思うあろえ。
交喙いすか「頼むぜ與鷹よたか……俺にはお前しかいない……ってわけじゃないんだけど……なぁ?」
與鷹よたか「あのなぁ、交喙いすか……」
変な泣きつきに與鷹よたかも困惑。
交喙いすか「じゃあ、こうしよう、蔵の中に何かトンでもないオーパーツが眠っていたら献上するから」
與鷹よたか「おし、乗った!」
こんな時オーパーツを引き合いに出されると即決で快諾するのが與鷹よたかの悪い癖である。
そして、交喙いすかはそれを見抜いている。
あろえ「リーダー……」
與鷹よたか「いや、まぁ、いいじゃないか……」
あろえに白い目で見られるも、オーパーツの前では霞んでしまう與鷹よたかであった。

かくて、與鷹よたか、かんな、つかさ交喙いすかは元人家へと向かうのであった。
※ちなみに、與鷹よたか、かんな、つかさ以外は蔵の整理を手伝いたくない……というか、報酬がオーパーツでは心が
 動かされないというか……ともかく、Eighterとしては與鷹よたかとかんなのみが出陣することに……

天四斗あまよと、元人家
交喙いすか「ここが俺ン家だ……」
そこは、豪邸……とまでは言わないが、旧家というには相応しい、塀に囲まれた大きな屋敷だった。
與鷹よたか「しかし、いつみても、お前の家はでかいよな……」
交喙いすか「まぁ、トレジャーハンターの家系だからな」
かんな「……」
トレジャーハンターの家系だから旧家であることは当然と言うのはなんだかおかしいのではないか……と
かんな。
交喙いすか「さ、早く行こうぜ……蔵は逃げも隠れもしないが、嘘はつくかもしれないぜ」
與鷹よたか「それ、斬新な台詞だな……」
とある鋼鉄の死神を繰るみつ編の兵士の台詞は『逃げも隠れもするが、嘘はいわねぇ』であり、交喙いすかの言った
台詞とは魔逆である。
……そして、蔵の整理が始まる……


続

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