Eighter -Noble Gathering-
32nder 〜眠る蒼き獅子の章 C〜



#5
総介の持つ神器……蒼王の刃ブルーロード藍后の刄ブルーエンプレス……それは総介がある遺跡から持ち帰った神器であるらしい……
総介、昨羅さくらは遺跡の深奥へと進み、そして、神器を手に入れたのだが……その時、その小部屋が崩落する……
出入り口も塞がれ、万事休すかと思われたのだが……しかし、気がつけば総介、昨羅さくらは遺跡の外に放り出され
遺跡もまた、忽然と姿を消したのだった……

かみ総介「と、まぁ、そう言うわけだ」
そして、回想を終える総介
梓與鷹よたか「なっ……」
総介の話を聞いて驚愕するのは與鷹よたかである。
こんなことならあの時、師匠の申し出を断ってでも遺跡の探索に行くんだった……と後悔しだす。
與鷹よたか「あ」
だが、その時、與鷹よたかに閃きが……
與鷹よたか「総……もう一回行ってみようぜ、その遺跡に!」
総介「……残念ながら、無理だ」
與鷹よたか「どうして?」
白拍子かんな「カオスプレートが消えたから……ですね?」
総介「ああ、そうだ……」
かんなが会話に割り込み、そして、頷く総介。
與鷹よたか「消えた……どうして?」
山咲やまざき桜「はい。警部が帰還した際、転移に使ったカオスプレートもまた、忽然と姿を消していた……とのこと
 です」
與鷹よたか「……」
だから、その後、俺達がその遺跡へ行くことが出来なかったのか……と、與鷹よたかもまた、思い出す。
総介「それに、そのことは、博士の残した手記にも記されていた……」
その遺跡へ転移した際、カオスプレートは流転してしまう……と
與鷹よたか「じゃ、俺達を待って日を改めればよかったんじゃないか?」
総介「いや、それも出来なかった……博士の手記によれば、そのカオスプレートは一定期間使用しない場合でも
 再び流転してしまうと……」
與鷹よたか「……」
だからこそ、総介は與鷹よたか交喙いすかの都合のいい日に改めてその遺跡を探索することなく、昨羅さくらと2人で遺跡の探索
に出向かざるを得なかったのだ。
ルシャーティー・エィユゥミス「なかなか面白い話をしていますね」

と、そこに空間スクリーンが出現し、ルシャーティーが会話に割り込んでくる。
ルシャーティー「5日と56時間と36分22秒ぶりですね」
與鷹よたか「ルシャ……何か知っていたりするのか?」
ルシャーティー「はい、おそらく、それは『獅子の眠る蒼窟そうくつ』ではないかと……」
総介「……獅子の眠る蒼窟そうくつ……?」
かんな「獅子の眠る蒼窟そうくつ……これですね」
かんなもアトランティスを操作して獅子の眠る蒼窟そうくつの情報を引き出す。
與鷹よたか「流転する遺跡……?」
獅子の眠る蒼窟そうくつ……それは歴史の墓場にあって、各地を彷徨う移動遺跡。
そして、そこは異世界の神を祭った神殿でもある

#6
與鷹よたか「その異世界の神ってのは……」
ルシャーティー、総介「鬥址偶襾ツァトゥグア……」
與鷹よたか「え?」
ルシャと総介が見事にハモった……
総介「ああ、そうだ……確かに、俺はあの時、あの遺跡で鬥址偶襾ツァトゥグアに出合った……」
頭を抱えながら総介が呟く。
與鷹よたか「総……」
かんな「鬥址偶襾ツァトゥグア……怒愛座世界の神の1柱。『万古ばんこの時空を淀みし天空そらの獅子』を持つ神
 で怒愛座世界の中で一番ぐうたらな神である……」
與鷹よたかが総介の異変に気を取られている間に、かんなが鬥址偶襾ツァトゥグアに関して検索し、その情報を読み上げる。
ルシャーティー「崩落する遺跡の中から脱出できたのも、おそらく、鬥址偶襾ツァトゥグアの力のおかげでしょう」
與鷹よたか「何だって?」
だとすれば、それは、鬥址偶襾ツァトゥグアが総介に力を貸している……という意味である。
かんな「……はい、そうです……彼は鬥址偶襾ツァトゥグアの加護を受けています……」
與鷹よたか「なんてこった!かんなより先に神の加護を受けている奴がこんな身近にいたなんんて……」
だからこそ、総介はかつて、真理の神殿に足を踏み入れた際も、知識の闇に食われず、生還することが出来た
のである。
それだけではない、これまでにも総介は鬥址偶襾ツァトゥグアの加護を受けて生きてきた……
もしかしたら総介がSRAPになれたのも、鬥址偶襾ツァトゥグアの加護のおかげかもしれない……
※いやいや、そこは総介の実力でしょう

與鷹よたか「と、いうことは、総介が望めばその獅子の眠る蒼窟そうくつへの道は開かれるってことにならないか?」
桜「……それは、まぁ、確かにそうかもしれませんが……」
総介「何だ、與鷹よたか、お前は、そんなに獅子の眠る蒼窟そうくつに興味があるのか?」
與鷹よたか「いや、まぁ、なんというか……」
総介「……フン、だが、あそこは常人が行っても何も得られない遺跡だぞ?」
一同「え?」
その先ほどの総介の声は総介のものとは思えない威圧を放っていた……それは、例えるならば、まるで、神……
総介を加護する鬥址偶襾ツァトゥグアが舞い降りて代わりに喋ったかのような感じであった。
※ちなみに、一同は威圧を受けてたじろぎましたが、茜瑙哭セドナの加護を受けているかんなはなんともありません
 でした
かんな「……もし、獅子の眠る蒼窟そうくつを探索したいと言うのなら……方法がないわけでもないですが……」
それは、與鷹よたかの為に茜瑙哭セドナの力を使うと言う意味である。
茜瑙哭セドナ鬥址偶襾ツァトゥグアはそれぞれ違う異世界の神ではあるが、しかし、神の力であれば、歴史の墓場に漂う遺跡を
呼び出すことなど造作もない
與鷹よたか「いや、いいんだ……」
かんな「……そうですか……」

#7
総介「さてと……そろそろ行くか、山咲やまざき」
桜「はい、警部」
與鷹よたか「ん?総、もう行くのか?」
総介「……ああ」
事件が俺を呼んでいる……いや、正確には事件に対し解決に導けない無能な警官が(実際には総介が来ること
を敬遠しているのだが)呼んでいる。
……と、言うわけで、総介はEighter本部を後にするのであった。


END

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