Eighter -Noble Gathering-
32nder 〜眠る蒼き獅子の章 B〜



#3
総介の持つ神器……蒼王の刃ブルーロード藍后の刄ブルーエンプレス……それは総介がある遺跡から持ち帰った神器であるらしい……
そして、その遺跡とはかつて威隻法腱が挑み、そして、探索しても解明することが敵わなかった遺跡……
そこには一体何があるというのか……

総介、昨羅さくらが青き回廊を突き進むと、やがて光に満ちた玉座の様な場所へと辿りつく
そこは、やはり、回廊と同じように青一面の小部屋……だが、回廊がまるで深海の如き深い青一面の壁だった
のに対し、この小部屋は天空であるかのような空色をした壁で造られていた。
そして、同時に、そこは、ひときわ神々しさを放っていた……先ほどから、何も感じられなかった昨羅さくらですら
この場所は神々しいと分かる……
かみ総介「ここは……」
更に、小部屋の中央……祭壇のような場所に突き刺さる蒼き剣……
総介「!!!!」
……その時、一瞬総介は宙に浮く腕を組んだ漢の幻影を見た気がした……しかし、そんな存在はどこにも
おらず……
総介(……い、今のは……一体……!?)
一瞬だが、自分の目を疑う総介……
山嵜昨羅やまざき・さくら「総介……?」
そして、そんな総介を怪訝そうに見る昨羅さくら……
総介「……」
昨羅さくら「大丈夫?」
総介「……ああ、大丈夫だ……」
昨羅さくら「……そんなことよりも、総介……どうするの?アレ……持ち帰る……?」
祭壇に輝くは2つの刀剣……それこそが今、総介が持つ2つの神器、蒼王の刃ブルーロード藍后の刄ブルーエンプレス
ぼ〜〜〜っと2つの神器を見つめる総介
昨羅さくら「ちょっと……聞いてる?……総介?」
総介「……え!?……ああ、そうだな……蒼王の刃ブルーロード藍后の刄ブルーエンプレス……をどうするか……か」
我に返った総介……ぽつりと知るはずのない神器の名前を口にする
昨羅さくら「え!?総介……?何……?」
総介「ん?何だ!?何か……おかしなことでも……?」
無意識のうちに呟いたその単語……
昨羅さくら「いや、だって……今……」
総介「……???」
まだ驚きのさなかにいる昨羅さくら
総介(……俺は、今……何を言った!?……博士の残した手記にも記されていない……あの兵器の名前を……
 喋った……のか!!?)
そして、無意識の中でそう喋った総介は……ただ困惑していた……
昨羅さくら「総介……」
総介「……ああ」
だが、いつまでも呆然としているわけにもいかず……総介は祭壇へと歩み寄る
そして、2つの神器を手に取ったその瞬間、宙に浮く腕を組んだ漢の幻影が……更に、声が聞こえた……
*(……は……れた……)
総介「……何!?」
バっと振り向くも、どこにも声の主は見当たらない。
昨羅さくら「どうしたの!?」
幻影に続いて幻聴……流石に総介も参ってしまう……
そして、そんな総介の態度に昨羅さくらも困惑し、おろおろとする
総介(……何だ……!?今……のは!?)
昨羅さくら「総介……」
総介「いや、何でもない……もしかすると……疲れているだけかも……しれん……」
昨羅さくら「大丈夫……?早く出た方が……」
総介「……ああ……そうだ……」
ガカアアッ
総介、昨羅さくら「くっ!!?」
だが、そのとき、祭壇が蒼く輝きだす
総介「何……だ!!?」
突如、激震が巻き起こる
昨羅さくら「この……地響きは……一体……!?」
総介「くっ……まさか、トラップか!?……迂闊だった……もっと調べてから入手すべきだった!!」
ガラガラと音を立てて崩壊していく祭壇……

#4
昨羅さくら「総介!」
総介「クッ!」
既に、入口が天井から落ちてきた瓦礫で塞がれてしまい、最早脱出は叶わない。
総介「くっ……昨羅さくら……すまん……お前をこんなことに巻き込んで……」
昨羅さくら「……何を言っているの?総介……私は……」
コオオオオオッ
総介「……今度は……何だ!?」
今度は総介が入手した2つの神器が蒼い輝きを放ち……
バシュウウンッ
総介、昨羅さくら「!!!!?」

総介「はっ!!?」
そして、総介が気がつくと……2人は遺跡の外に放り出されていた……
総介「ここは、遺跡の外か?」
昨羅さくら「ね、ねぇ、総介……」
昨羅さくらに言われるがまま、そちらを向くと……
総介「何?」
遺跡が歪みだし……やがて、最初からそこに遺跡が無かったかのように、跡形もなく消えてしまった。
昨羅さくら「ねぇ、総介……私達、一体どうやってあの遺跡から脱出できたの?」
総介「……分からん……」
あの時、一体何が起こったのか!?
なぜ、自分たちが無事に遺跡の外にいるのか……全てが分からない……
しかし、総介は……蒼王の刃ブルーロード藍后の刄ブルーエンプレスとを通じて、何が起きたのか……その一部始終を知ることが出来た
総介(博士……あなたの言った通り……この遺跡は……謎の遺跡でしたよ……)
空を見上げる総介……そして……
総介「帰るぞ……遺跡が消えてはもはや調査続行は不可能だ……」
昨羅さくら「……え?……あ、うん、そうね……そうよね……」
かくて、総介、昨羅さくらは、遺跡の謎を解明すること叶わず……そして、現実世界へと帰還するのであった

総介と昨羅さくらが現実世界へ戻った後、突如空間が歪みだす
*「……」
そして、先ほど総介が見た幻影と同じ存在がそこに出現する
*「……道は……示された……我が力……存分に使うが良い……我が名は―――」
ひとしきり語り終えるとその存在は遺跡と同じように、その場から消え失せるのであった。
……果たして、こやつは一体……


続

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