Eighter -Noble Gathering-
30ther 〜柳生なる剣の系譜 C〜



#5
かく眼同盟に、柳生兵子ひょうこを斃すべく、柳生七吟なぎん現る!
……かくして柳生兵庫助の子孫 VS 柳生七郎左兵衛の子孫の死合が始まったのだが……どうにも寡黙なる
麗人・兵子ひょうこが優勢のようで……
ゴゴゴゴゴゴゴッ
熱気ともとれる殺気が七吟なぎんを襲う
伊達宗美「この殺気……ただ事じゃないな……」
島友近ゆこん「ええ……そうですわね……」
確かに、今までの死合は遊んでいたにすぎない程の殺気を出す七吟なぎん。
しかし、対する兵子ひょうこは未だ顔色一つ変えない
柳生兵子ひょうこ「……」
柳生七吟なぎん「フッ……死ねい!!漆拾しちじゅう式・超魔爆炎覇ちょうまばくえんは!」
ゴアッ
炎の殺気を纏ったまま突撃する七吟なぎん
一同「ええぇ〜〜〜!?」
宗美らが驚くのも無理はない……今までは辛うじて生身の人間でも繰り出せる技だったからよかったものの、
ここにきて普通の人間にはまねできない技を繰り出してきたからだ……
柳生兵子ひょうこ「……」
スッ
しかし、それでも、兵子ひょうこは動じず刀を構え直す
兵子ひょうこ燕飛廻えんびえ!」
ザバガガッ
踊るようなステップで迫る七吟なぎんを4回斬りつける
七吟なぎん「ば……バカなああ!!!!?」
ドシャアアアッ
一同「うそぉおお!!?」
そして、呆気なく敗れ去る七吟なぎんの技……更に兵子ひょうこに吹き飛ばされ、壁に激突する……
七吟なぎん「ぐっ……ぐぐ……」
宗美「……」
友近ゆこん「……そろそろつまらなくなってきましたわね」
宗美「……ああ、そうだな……兵子ひょうこ、とっととやっちまえぇ!!」
兵子ひょうこ「……」
無言の兵子ひょうこ……沈黙はエンペラー皇帝……と言うことである。
※皇帝じゃなく、肯定です。
七吟なぎん「ぐ……ぐぐぐ……バカな……」
兵子ひょうこ「……そろそろお終いにしましょう……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ
静かなる麗人の殺気が増す……
七吟なぎん「なっ!?……うっ……」
バッ
ザザッ
その豹変ぶり……いや、あくまで無表情なので正確には変わっては無いのだが……ともかく、兵子ひょうこの底の知れ
ない寒気に咄嗟に距離を取る七吟なぎん
友近ゆこん(どうやら、この死合……兵子ひょうこの勝ちですわね……)
宗美(ああ……そうだな……)
既に戦意を喪失しかけている七吟なぎんと、ここからが本番の兵子ひょうこ……その両者の死合の結果など……最早火を見る
より明らかである。
七吟なぎん「ふっ……ふざけるな!!次の技こそ貴様には破れん!!はああああ!!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ
虚勢を張り、何とか殺気を高める七吟なぎん
宗美(ふん、今更何を出そうが兵子ひょうこの勝ちだよ、これは……)
七吟なぎん「うおおおお!!!!弐佰拾壱にひゃくじゅういち式・朱雀!」
ゴガアアアッ
そして、火の鳥をかたどった剣気が兵子ひょうこに迫る

#6
兵子ひょうこ「……斬釘截鉄ざんていせってつ!」
ズバスッ
気を纏わせた刃にてあらゆるものを斬り裂く兵子ひょうこの剣……
宗美、友近ゆこん「決まっ……」
ドゴガギャアアアアアアッ
一同「!!!!?」
決まったと思った瞬間……兵子ひょうこ七吟なぎんによって弾き飛ばされる
ザザザッ
兵子ひょうこ「く……うう……」
七吟なぎん「ハハハ……ハァ〜〜〜〜ッハッハッハ!これこそ柳生真陰流の真髄!!時間すら止める神の風よぉ!」
すくっ
兵子ひょうこ「……」
七吟なぎん「ハッ……今の技を喰らってまだ立てるとは……やるな……」
兵子ひょうこ「……あなたの朱雀が本物で……万全な状態だったならば……危なかった……」
七吟なぎん「は!?」
兵子ひょうこ「……朱雀……破れたり……」
バシュッ
七吟なぎん「ごう!!?な!?」
ザザザザッ
突如裂傷と共に、弾き飛ぶ七吟なぎん
七吟なぎん「ぬ……ぬぅぬぬ……ぐぐぐ……な……ならば……次は……次こそは……貴様を!」
ドドドドドドドッ
両者の殺気が辺り一面を包み込む……
友近ゆこん(まだやる気ですわよ……あの人……)
宗美(もう、勝負は見えているのにな……)
しかし、それにしても、兵子ひょうこってこんなに強かったんだな……と宗美。今度死合ってみようかな……などと
内心呟く
七吟なぎん弐佰拾伍にひゃくじゅうご式・黄龍こうりゅう!!」
ドギャウオッ
四神が同時に解き放たれ、さらに黄龍こうりゅうまでもが空から舞い降りる
兵子ひょうこ「……斬魔無限位ざんまむげんい!」
ひゅおっ
七吟なぎん「な……何と!!?」
四神を受け流す兵子ひょうこ……さらに迫る黄龍こうりゅうをも軽くあしらい間合いを詰める。
唖然としている七吟なぎん兵子ひょうこが迫る
七吟なぎん「ぬ……ぬあああああ!!!」
ドギャイイイイッ
何とか兵子ひょうこの刃を受ける七吟なぎん
ベキバキボキゲキッ
七吟なぎん「ご……ごおおおおあああああ!!!!?」
が、しかし、兵子ひょうこの刃を……膂力を受け斬れずに七吟なぎんは吹き飛ぶ。
当然、彼の持つ刀も砕け散る……
七吟なぎん「ご……ごげふぅう!!?」
※これぞ『我が全身全霊……破れたり』!!?
兵子ひょうこ「……お終い」
ビシッ
そのまま白雷を突き付ける兵子ひょうこ
七吟なぎん「……柳生真陰流が……な……なぜ!!?」
地に伏した七吟なぎんが呟く……
宗美「決まっているだろ……他人の万物で極楽巡りしようとするからそうなるんだ……」
友近ゆこん「それを言うなら『他人の念仏で極楽参り』ですわ」
宗美「細かいことは気にするなって……」
七吟なぎん「……」
がくり……
かくて、逆恨みっぽい彼の復讐劇はここで終わった……


END

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