#0
この事件は『チ』情の縺れによっておきた事件……なぜ『チ』がカタカナなのかは……
いや、それこそが今回の事件の重要なキーワードである。

#1
東京都、某所
警官「ガイ者は小杉啓（29）……死因は背中の包丁か……」
事件を聞きつけ、駆けつけた警視庁の一行は早速捜査を始める。
警官「そして、もう1人のガイ者、三森寄乃（25）……全身殴打で意識不明……」
警官「中川警部……近所の人の証言によりますと、突如口論する声が聞こえ、その後、悲鳴やら叫び声、更に
　何かを殴ったり指したりする音が聞こえたそうで……」
中川邦武（ほうむ）「フム。つまり、漢が女と口論となり、女性を全身殴打。女性は最後の力を振り絞り、
　正当防衛で、彼を殺した……そういうことか！？」
警官「いえ、違います」
邦武（ほうむ）「おい！」
自分の名推理があまりに決まっていて怖いと思っていた中川警部……しかし、揚げ足を取られがっくりする。
邦武（ほうむ）「おいおい、どういうことなんだ！？」
一行も、今の中川警部は珍しく決まっていたのに……と……
ざわめく中で、もしや、決まっていたのは推理じゃなく、クスリ！？などと妄想しだす無能警官も出だす。
警官「事件のあった後、部屋から飛び出していく漢を見かけたとの証言もあり……」
警官一同「それを早く言え！！！」
一同、渾身の突っ込みであった。
警官「つまり、その漢が最重要参考人であると……」
邦武（ほうむ）「よし、直ちにその漢の身柄を拘束せよ！ぬかるなよ……そいつは小杉啓を刺殺したうえに三森寄乃を
　タコ殴りにした凶悪犯だ！」
警官一同「ハッ！」
ドタバタッ
かくて、一行はその場を走り去っていく。
※まだ犯人と決まったわけじゃないのにこの決めつけよう……やはり、クスリにキマっていた……といのは
　間違いではないのかもしれない……

その頃……

東京都、未確認飛行日本銀行・神田支店
銀行員「はい、こちらになります……」
＊「……これで……最後か……」
銀行の貸金庫にあったディスクを受け取る漢……彼の名前は大野共郎……まだ、情報が出回っていないが、
先ほどの殺人、傷害事件の現場から逃げ去った漢とはこいつのことである。
大野共郎「あ、すいません。この他に預かったものはありませんでしょうか？」
銀行員「いえ、それだけですよ」
共郎「ありがとうございます」
念のために確認を行い、何もないことを知ると、共郎はニッコリと微笑み、銀行を後にする。
共郎（……家にあったデータも削除した……銀行の貸し金庫にあったこのデータも廃棄すれば……俺は晴れて
　自由の身だ！！）
ほっと胸をなでおろす共郎であった。

#2
共郎「うぉおおっしゃあああ！！！」
一同「はっ！？」
ビクッ
突如、ガッツポーズをとり叫びだす共郎にその場に居合わせた一行はビックリ仰天
共郎「あ、いや……アハハハハ……」
一体彼に何があったのか……

と、まぁ、それは一旦置いといて……事件から1週間経過し、ようやく意識不明だった寄乃氏の意識も回復した
……
東京都、某病院
警官「三森さん、一体何があったんです？」
三森寄乃「いきなり（い）漢（おろこ）の人（ちと）が襲ってき（ち）たの」
警官「は……はぁ……」
邦武（ほうむ）（随分稚拙な喋り方だな……）
寄乃「彼（かえ）は！？……彼（かえ）は！？」
警官「……」
警官「……残念ですが……発見されたときは……既に……」
寄乃「そんな……共郎……う……ううぅぅ……」
彼の訃報に泣き崩れる寄乃
警官「……あの、中川警部……ガイ者って……小杉啓じゃありませんでしたっけ？」
邦武（ほうむ）「んむ！？」
警官「……あの、共郎さんというのは！？」
寄乃「彼氏だよ（らお）。小杉さ（しゃ）んの友達（ともらち）なの」
邦武（ほうむ）「……何いぃ！？」
警官「寄乃さん……でしたら……その共郎さんはまだ死んでいるとは限りません」
警官「失礼しました。てっきり……小杉氏のことかと……」
寄乃「小杉さ（しゃ）んは私（あたち）を護ってくれた（や）の……」
バムッ
と、そこへ……
警官「中川警部……事件後、部屋から飛び出していったという漢……やっとみつかりました」
共郎「……」
そして警官に連れられて登場するのは共郎……
寄乃「共郎……」
警官「何だって！？この人が！？」
警官「……なぜ、事件現場から逃げ出したんだ？」
共郎「……気が動転していたんだ……気がついたら……街の中を走っていた……どうしてだか……分からない
　……」
警官「……そ、そうか……」
警官「……共郎さん……犯人について……ですが……」
共郎「心当たりはありません。私が部屋に入ったとき、既に小杉は……包丁が刺さっている状態でしたし……」
警官「そうか……」
と、そのとき……
ビィ〜〜〜〜ッ！ビィ〜〜〜〜ッ！！
突如警報が鳴り響く
邦武（ほうむ）「な……何だ！？何が！？」
警官「マ……マズイ……ヤツが……来るぞ！！」
……ひょっとして総介探知機ですか！？……またフザけた機械を作ったものですねぇ……
バレたら……破壊されますよ……


続