Eighter -Noble Gathering-
26ther 〜紅き扉に関する怪 C〜
#5
エイボンに魅かれた伝説の画家・真原紅人が描き残した呪式絵画……赫紅赭絳(
それは、域外神(をこの世界に呼び出す鍵であり扉……
そして、その絵に魅入られ、とある鑑識は過初叨素(をこの世界に呼び出してしまった……
白拍子かんな「はっ!」
過初叨素(「フンッ!」
ガギンッ
緊迫した空気が流れ……そして、両雄は一足飛びにかかる。
過初叨素(「フン、二尺七寸(では……短いのではなかったのか!?」
かんな「……長ければ強い……というわけではありません」
バチュインッ
過初叨素(「ぬっ!?」
力で過初叨素(を弾き飛ばすかんな
茜瑙哭((そして、これは彼女の間合いであって、私の間合いではない……)
かんな「龍咬舞刃(」
キュインッ
過初叨素(を弾き飛ばし、更に間髪いれずに応龍(に変幻する光の龍を解き放つかんな
過初叨素(「フンッ!昴世の晶壊(!」
キュキインッ
バキャアアッ
梓與鷹(「な……にぃ!?」
しかし、光の龍は過初叨素(に触れる前に突如その前方に出現したクリスタルの中に閉じ込められ破砕される。
上(総介「……なるほどな……あれが怒愛座(世界の神の力か……」
與鷹(「総……」
いやいや、感心している場合じゃないだろ!と與鷹(だが……しかし、今はかんなと過初叨素(との死合を見守る
しか術は無い。
過初叨素(「お前は我の妾となる女……殺したくは無いのだがな……」
かんな「誰が貴方の……」
そんな風に手加減していると、足元を掬われますよとかんなは続ける。
過初叨素(「お前が我の足元を掬う前に……我が貴様の心に巣食って見せるわ!……昴世の獄口(」
ゴギュアアアアッ
かんなに向かって黒き禍々しい霧が襲いかかる
かんな「鳳鸞舞刃(!」
ズゴアアアアアッ
だが、平安を齎す炎の鳳凰が黒き霧を全て焼き尽くす。
ズゴアアアアッ
更に、過初叨素(の元に鳳凰は迫る
過初叨素(「フン!」
ザガシャアアッ
ボシュウアアアッ
しかし、迫りくる鳳凰をレンの硝子で叩き斬り、消し去る過初叨素(。
山咲桜(やはり……相手は域外神(……しかも、逕庭神(……強い……)
総介(……ああ、人を歯牙にもかけない規格外の神……だが、奴はかんなを妾にしたいがために、全力で
死合えない……)
……そして、それを知っていて茜瑙哭(も自らの美学(=相手が全力で死合えないことをいいことにこっちは
全力で叩き潰すことを良きとしない)のため、力をセーブして死合っている。
……この死合は……死合にして遊戯なのだ……
#6
ザッ
チャキッ
過初叨素(「……」
かんな「……」
暫く技を放ち、相殺し、斬り合い……そして、互いに距離を置き、睨みあう両雄
かんな「……今日は、蒐葡貮繰(は来ないんですね……」
過初叨素(「あやつの手助けなど……本来我には不要!」
前回は、茜瑙哭(の殺気が過初叨素(を破壊しようとしていたからこそ、咄嗟に手助けをしたまでのこと……と
過初叨素(は続ける。
過初叨素(「おおおっ!」
かんな「はっ!」
ダダッ
ズガギインッ
ガガガガガッ
話し合い如きでは解決などしない……
かくて、両雄は再び激しい鍔迫り合いを繰り出す。
・
・・
・・・
暫く鍔迫り合いが続き……
過初叨素(「お前とダンスを踊るのも……楽しいが……そろそろ飽きてきた……」
かんな「……だったら、怒愛座(世界へお帰りください」
ダダダンッ
鍔迫り合いも終わり、両雄は再び距離を置き対峙する
過初叨素(「フッ……その時は、お前を持ち帰る!」
ズズズズズッ
過初叨素(の殺気が膨れ上がる……次の一撃でケリをつける算段だ……
かんな「……いえ、1人で帰ってくださいね……」
ゴゴゴゴゴゴッ
かんなも殺気を釣り上げ、神滅超越者(を構え直す。
一同「……」
そして、重苦しい空気が辺りを包み込む……
過初叨素(「オオオッ!昴世の夢散(」
ズギャオアアアアッ
かんなめがけて禍き剣閃が走る
かんな「麟廻舞刃(!」
ガギャオオオオオオンッ
地面を駆ける信義を司る麒麟が迫る剣閃を弾き飛ばし、そのまま過初叨素(に襲いかかる
過初叨素(「無駄だッ!」
ズギャアアアアアアッ
與鷹(「なっ!?」
しかし、過初叨素(はレンの硝子で迫る麒麟を斬り伏せる
過初叨素(「終わりだぁ!」
ダッ
トドメと言わんばかりに一足飛びにかかる過初叨素(
與鷹(「か……かんなぁ!?」
バチイイッ
だが、しかし、次の瞬間、突如として死合は終幕となる。
ビタリッ
かんなの眼前でレンの硝子がとまる
與鷹(「な……何だ!?」
過初叨素(「チッ……つくづく悪運の強い女だ……」
かんな「……運の女神ですから……」
スウウッ
そして、過初叨素(はまるで最初からそこにいなかったかの如く、霧散していく
與鷹(「な……何が……!?」
かんな「……域外神(を召喚できる絵と言え……完全なものではないということです」
#7
與鷹(「……どういう……?」
総介「あれを見ろ……」
総介に言われ、始めて気が付く……赫紅赭絳(には罅が入り無残にもボロボロになっていることに……
與鷹(「……なるほど……赫紅赭絳(の召喚能力の限界……ってことか!?」
かんな「……はい。そして、これでこの事件はおしまいです」
総介「……帰るぞ……」
與鷹(「え?……あ、ああ……」
かくて、一行はその場を後にする……
・
・・
・・・
辛うじて過初叨素(を退けたかんなだったが……かんなと過初叨素(の因縁はまだ始まったばかりである。
END
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