Eighter -Noble Gathering-
26ther 〜紅き扉に関する怪 B〜



#3
天四斗あまよとで突如起こった謎の殺人事件……その事件には伝説の画家、真原紅人しんはら・べにとが関与していた……と言うのだが
果たして、その真原紅人しんはら・べにととは一体どんな人物なのか!?
天四斗あまよと、某所
梓與鷹よたか「……真原紅人しんはら・べにと……日本のエイボン」
天四斗あまよと警察署に向かいつつ、與鷹よたかは呟く
山咲やまざき桜「警部……エイボンと言うのは……?」
白拍子かんな「エイボン……古代の魔導師です」
桜の問いにかんなが答える
かんな「彼はネクロノミコンに欠落している部分をまとめ、『象牙の書レイバーイオニス』として遺した人物です」
桜「いえ、それは……確かに、分かりますが……」
クゥトルー神話を知っている者なら……その名は分かる……と桜。しかし、クゥトルー神話を知っているから
こそ、彼は実在しない人物なのでは……と
かみ総介「……確かに、エイボンはこの世界にはいない……しかし、彼は実在した漢だ……それが何を意味
 するのか、分かるはずだ……」
與鷹よたか「……歴史の墓場の住人ってことか!?」
総介「ああ、そうだ……」
與鷹よたか「……で、そのエイボンの英知に触発され、真原紅人しんはら・べにととやらが赫紅赭絳かがやくくれないこうしゃってな絵を描いた……と」
総介「呪式絵画……赫紅赭絳かがやくくれないこうしゃ……」
かんな「それは、この世界に域外神アウターゴッドを召喚する鍵」
與鷹よたか「な……だんと!?」
域外神アウターゴッド……それは神として規格外の力を持ち、人の存在を歯牙にもかけない神のことを指す。
主に、黶鬥甦アザトース世界の邪神がそれに相当する……
桜「……警部……真原紅人しんはら・べにとがエイボンの後継者を名乗り、域外神アウターゴッドを召喚する絵を描いたのだとしたら……
 呼び出されるのは……」
総介「……」
桜の問いかけにに沈黙する総介……
エイボンは鬥址偶襾ツァトゥグアを崇拝していた……ならば……彼に触発された真原紅人しんはら・べにともまた……
・
・・
・・・
<富山、富山県警
ガタァ〜〜ンッ
警官「かっ……かかかっかみ警部ぅう!?」
突如登場した総介に、心に疾しいことがある無能警官は思わず持っていた書類を落とし、キョドりだす。
総介「今は貴様らに構っている暇はない……赫紅赭絳かがやくくれないこうしゃはどこだ!?」
警官「はい!?……」
かんな「キャンバス一面を紅く塗りたくったあの絵です!」
警官「あ……ああ……あの絵なら……」
警官「大変です!」
ドタバタッ
警官「どうした!?」
と、そこへ警官が1人慌てて駆けつける
総介「クソッ!遅かったか!」
忌々しげな表情を見せる総介
與鷹よたか「……一応聞いてみるが……何が……あったんだ?」
警官「……え!?あ……はい……実はですね……鑑識の1人が……例の絵を見た途端何やら狂った様な
 勢いでその絵を強奪して逃げてしまったんですよ……」

#4
かんな(リーダー……)
與鷹よたか(ああ……どうやら、赫紅赭絳かがやくくれないこうしゃの魔力に心を奪われてしまったようだな……)
警官「かみ警部……ど、どうしましょう!?」
総介「もう、いい……お前らは持ち場へ戻れ!」
オロオロしながら総介に相談すると、総介は冷たく言い放つ。
一同「へ!?」
総介「聞こえなかったのか!?」
一同「い、イエッサ!!」
ドタバタドタバタッ
総介の鶴の一声により、無能警官は蜘蛛の子を散らしたかのごとく去っていく
総介「……さて、急ぐぞ……」
與鷹よたか「あ、ああ……」
タタッ
かくて、一行は絵を盗んで失踪した鑑識の家へと急ぐ。
総介(クソッ……)
かんな(……)
しかし、その時、既に総介は真理の断片が示す残酷な真実を悟った……かんなもまた、超運で何が起こったか
悟っていた……
そう……もう、既に手遅れ……だと……絵に魅入られ、絵を奪い、失踪した鑑識は……その絵より、
過初叨素ヨグ=ソトースを召喚してしまった……と……
だが、放っておくわけにもいかない……
・
・・
・・・
天四斗あまよと、墓所
ザッ
與鷹よたか「……ここ……か!?」
ズウウ〜〜〜ンッ
異様な邪気と静寂に満ちたその屋敷……それこそが、赫紅赭絳かがやくくれないこうしゃに魅入られ、盗み、失踪した鑑識……
シュオオオッ
かんな「……」
かんなも無言で茜瑙哭セドナ覚醒し、神滅超越者ラグナロクエクセルを構える。
過初叨素ヨグ=ソトース「わざわざそちらから逢いに来てくれるとは……とうとう我の妾になってくれる決心でもついたの
 かな……」
與鷹よたか過初叨素ヨグ=ソトース……!?」
そこに現れたるは……鬥址偶襾ツァトゥグアなどではなく……過初叨素ヨグ=ソトース!
かんな「……早速ですが、お帰り願います」
過初叨素ヨグ=ソトース「フン、断る……我を勝手に呼び出しておいて……用がないから帰れだと!?身勝手にも程が
 あるな……」
茜瑙哭セドナ(身勝手か……域外神アウターゴッドであるお前がそれを言う等と……)
域外神アウターゴッドは呼べば来ると言うものではない……そういう意味では域外神アウターゴッドもまた、身勝手な神である。
それなのに、自分のことを棚に上げて、身勝手と言う過初叨素ヨグ=ソトース茜瑙哭セドナは呆れてみるのであった
かんな「……では、強制的に帰ってもらいますよ……」
過初叨素ヨグ=ソトース「面白いッ!」
スッ
過初叨素ヨグ=ソトースもまた、空間を歪めてレンの硝子を召喚
與鷹よたか「……やっぱ、こうなるのか……」
かくて、死合は始まる


続

前の話へ 戻る 次の話へ