Eighter -Noble Gathering-
24ther 〜堕ちた剣鬼を狩れ A〜



#0
冥時みょうじ萌……孤高の剣鬼として裏の世界に名を馳せた彼女だったが……しかし、今、彼女は変化してしまった
そして、それを許せないモノが……闇より蠢く。

#1
東京都、某所
*「……孤高の剣鬼は既に堕ちた……」
*「奴は剣聖に心奪われ人を斬らなくなった……」
暗黒街アンダーグラウンドにて、定期的に行われている裏の世界の会合……
そして、その会合にて、萌の抹殺の議題が上がったのだ
*「人を斬らない人斬りは人斬りにあたわず……」
*「よって……狩るべきである……」
*「……しかし、仮にも剣鬼……奴を狩れる手練れなどそうはいるか?」
ここにきて、誰も姉のなえのことに触れないのは、姉では歯が立たないと思っているからなのだろうか。
いや、確かに、非情の剣鬼こと、冥時萎みょうじ・なえでは、萌に勝つことは難しい。
*「……任せろ……剣鬼が最強ならばこちらは無敵を繰り出すまでよ……」
そして、暫く沈黙が続いた後、1人の漢が堂々と叫ぶ
*「ほぉう?ならば……お手並み拝見といこうではないか……」
*「ああ……」
・
・・
・・・
そのころの萌はというと……
天四斗あまよと、修羅の門
冥時みょうじ萌「……風が強くなってきたな……」
今日も1人、修羅の門に佇む萌。と、次の瞬間、振り向きもせずに殺気を飛ばしつつ叫ぶ
萌「……さて、そこの奴……俺に何の用だ?」
振り向かずに一喝する萌
*「ハハハハハ……さすがは孤高の剣鬼……」
ザッ
物陰より現れたる1人の漢
*「裏の定期会合で決まったことがあってな……それをお前に伝えに来たのよ……」
萌「……俺を殺すとでも?」
まだ、振り向きもせず、萌はそう呟く
*「ああ、そういうこった……悪鬼の如く人を斬り、羅刹の如く人を殺す剣鬼……孤高の剣鬼とまで謳われた
 お前が今では人を殺さないと来た……失望したよ……裏の世界の一同はな……」
だからこそ、貴様はもはや裏の世界の顔役などではない!と告げる
萌「ならば、構わん。俺は裏の世界を去るだけだ……」
*「いいや、貴様はこの世を去ってもらうぜ……裏で無敵と称されるこの俺……百井ももい銀牙と、妖刀・宸扼紅桜しんやくべにざくら
 ……そして魄刃銀剣はくじんぎんけんの手によってなぁ……」
スラッ
抜刀し、構える百井ももい
萌「フン……」
殺気と刃を向けられれば嫌でも死合うしかない。萌も、振り向き、銀牙を睨みつける。

#2
百井ももい銀牙「なぁ……孤高の剣鬼よぉ……最強と無敵ってのはどっちが強いんだろうなぁ……?」
緊迫した空気の中、銀牙がポツリと呟く。
萌「最強も無敵も同義……どちらかが勝っていることはありえん……いや、むしろ……その2つは……
 1つにしてこそ真……」
銀牙「まぁお喋りの時間はお終いだ……死ね!孤高の剣鬼ッ!」
ドッ
一足飛びかかり横薙ぎを繰り出す銀牙……
萌「ふん」
ギギンッ
それを四屠しとの陣で受ける萌
萌「……死んでも知らんぞ……」
銀牙「笑止ッ!剣聖に腑抜けにされた剣鬼貴様の剣など温過ぎるわ!!」
ドオオンッ
萌を圧し切り弾き飛ばす
萌「ぐ……く!!?」
まさか、押し切られるとは思わず、一瞬戸惑う。
そして、死合の最中では、その一瞬が命取りとなる。
銀牙「絶望に踊れ!!魔翳殲空斬まえいせんくうざん!!」
ドッ
禍々しき黒き剣閃が萌に襲い掛かる
萌「四屠斬空破しとざんくうはッ!」
ドギャイッ
すかさず萌も剣閃を持ってして応戦。
萌(ぬ!?……こいつも……魔眼使いか!!?)
銀牙「ダァ〜〜〜〜ッハッハッハ!!!やはりな……冥時みょうじ!この死合、貴様に勝ち目は無い!!」
ギンッ
すぐさま飛び込み、萌に斬りかかる銀牙
萌「ふざけるな!」
銀牙「人を斬り殺さなくなった貴様に勝機など無い!!」
ガガガガガガガガガガガガッ
そして、激しい鍔迫り合いが繰り広げられる……だが……明らかに萌が圧され気味だ
萌(くっ……)
銀牙「裏を去るとかぬかしたな……ハハハハ!!今更貴様が表で生活できると思ってんのか!!?貴様のからだに
 ……刃に……心に付いた血の臭いを拭えると思うな!!貴様は裏から1歩たりとも出る事はかなわぬ!」
萌「黙れ!!!」
ゴギャインッ
渾身のダブルX字斬撃で銀牙を弾き飛ばす萌
銀牙「おおう!!?」
ザザザッ
距離を取り、体勢を立て直す銀牙
萌「……裏を去るとは言ったが表に出るとは言っていない……この意味……貴様に分かるか!!?」
銀牙「ハッ……何をどっちつかずなことを……笑わせる……貴様にそんな信念を貫き通せるか!!
 血塗られた貴様の剣の道……最早貴様に光明などないわッ!」
バヒュッ
また間合いを詰める銀牙
銀牙「ハッ!魔翳残空破まえいざんくうは」
バババババババッ
萌「な……にぃ!!?」
無数の残像が残され、本体が消える
銀牙「遅いわっ!!」
ゴギャアアアアアッ
萌「ぐ……ぐうう……」
ザガガガガガガガガガッ
咄嗟にガードしたにも関わらず弾き飛ばされる萌
銀牙「ハッハッハッハッハ!!!無様だなぁ……ええ、冥時みょうじぃ!!」
……最強 VS 無敵……苦戦を強いられる萌だが……勝機はあるのか!?


続

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