Eighter -Noble Gathering-
23rder 〜翳光えいこうに消えた雷神 A〜



#0
柄共炒で突如起こった神隠し、Eighterは神隠しにあった娘、奈切なきり美加を救うべく、黶鬥甦アザトースアザトース世界へ
とやってきた……
かくて、そこで、雷の邪神、蠻或讎瑙バアル・アダドとの死合が始まったのだが……

#1
黶鬥甦アザトースアザトース世界、皆朱の聖域ヴァーミリオン・サンクチュアリ
蠻或讎瑙バアル・アダド「ハッ……何を……」
ドンッ
一応蠻或讎瑙バアル・アダドも空を見上げると……そこには、1柱の神が座していた……
蠻或讎瑙バアル・アダド「貴様ぁあああ!!!」
大鋒を片手に、天に座していたのは蠻或讎瑙バアル・アダドの仇敵……『光』の破壊神……左眼は前髪で隠れ……やけに
長い眉が特徴の、髷を結ったその存在は……静かに大地に降り立つ。
蠻或讎瑙バアル・アダド「やっと……やっと、現れたか……貴様を滅し、我が恨みを晴らさん!」
ビシィッ
蛇鋒を突き付け、蠻或讎瑙バアル・アダドが叫ぶ
*「……」
しかし、『光』の破壊神は蠻或讎瑙バアル・アダドに見向きもせず、ただ、奈切なきり美加の方を見つめている
蠻或讎瑙バアル・アダド「貴様……何無視してやがるんだ!」
バウッ
茜瑙哭セドナ逢喇且雫アフラ・マズダ!)
逢喇且雫アフラ・マズダ「はっ!?」
ザガアンッ
ダダンッ
茜瑙哭セドナの叫びに我に帰る逢喇且雫アフラ・マズダは、そのまま退くのだが、しかし、一歩遅く、持っていた大鋒の刃が斬り裂か
れる
逢喇且雫アフラ・マズダ「……」
蠻或讎瑙バアル・アダド「無様だなぁ……」
逢喇且雫アフラ・マズダ「フン……」
ビシッ
しかし、対して気にしたそぶりも見せず、かけた大鋒を突き付ける逢喇且雫アフラ・マズダ
逢喇且雫アフラ・マズダ「無様な姿を晒すのは貴様の方だ……」
蠻或讎瑙バアル・アダド「ほざけぇ!欠けた刃で何が出来る!!覇天鎚りゅうはてんつい」
ドギュオアアアッ
ズギャアアアアッ
蛇矛を振り回し、逢喇且雫アフラ・マズダ目掛けて雷を纏った刃を振り下ろす
逢喇且雫アフラ・マズダ「フン」
キュオアアンッ
蠻或讎瑙バアル・アダド「がはあっ!?」
欠けた刃の大鋒を横に薙ぎ払う逢喇且雫アフラ・マズダ……光が走り、迫る蠻或讎瑙バアル・アダドを弾き飛ばす
蠻或讎瑙バアル・アダド「ぐっ……がっ!?」
逢喇且雫アフラ・マズダの持つ大鋒……欠けた刃は消え失せ、代わりに光の刃が出現していた
逢喇且雫アフラ・マズダ「言ったはずだ……無様な姿を晒すのは貴様だと……」
蠻或讎瑙バアル・アダド「な……めおってぇ!!!」
バヒュオッ
蠻或讎瑙バアル・アダド「消えされ!」
逢喇且雫アフラ・マズダ「フン」
ガガッ
ギギギュインッ
キュゴアアアアッ
チュドオオオオオッ
光と雷が高速でぶつかり、火花が飛び交う
上総介「神と神との死合だ……滅多に見れるものではない……」
梓與鷹「……総……?」
確かに、逢喇且雫アフラ・マズダ蠻或讎瑙バアル・アダドとの死合は凄まじく、文字通り、光と雷とがぶつかり合い、暴れ狂っている様に
しか見えない
與鷹「……しかし……だな……」
そして、そんな中で、與鷹はふと想う……蠻或讎瑙バアル・アダド黶鬥甦アザトースアザトース世界の邪神、逢喇且雫アフラ・マズダ浚澄羽帝サラスヴァティー世界の破壊神
……世界の違う2柱の神が……いかなる理由で因縁が始まったと言うのか……

#2
……ここで話は遡る……
今より数百年前……江戸のとある荘厳なる神社に……光の巫女と呼ばれる存在がいた……
ザッ
*「貴様が……光の巫女……か!?」
とある邪悪な妖気が漂いし場所に、彼女はやってきた……
*「……こんな小娘に……我らが眷属が屠られたなどと……俄かには信じがたいものだな……」
光の巫女を一瞥し、闇を纏いし漢は呟く。
*「気をつけよ・・そやつには……神がついている」
*「ハッ……」
神がついていようといまいと、一気に畳み込めば問題ない……闇を纏いし漢は百鬼夜行に指示し、一斉に光の
巫女に襲いかかる……のだが……
逢喇且雫アフラ・マズダ「―――様……」
*「……」
しかし、その傍らに、光の破壊神、逢喇且雫アフラ・マズダがいた……
キュインッ
ズバアアアアッ
*「が……がああ!!!?」
……勝負は一瞬……光の破壊神……神の力の前に、有象無象の妖怪では歯が立たないのである……
・
・・
・・・
数多の百鬼夜行を退け、そして……ある時、光の巫女の元に……それは出現した。
チュゴオオオオオオンッ
*「……ここが……神に愛されし世界……だと!?……フン……下らん……」
蛇矛を片手に現れたるその存在こそ、蠻或讎瑙バアル・アダド……
*「まぁ、よかろう……この世界にて、血染めの覇道を行くもまた、一興……」
*「そのようなことは……させませんよ」
蠻或讎瑙バアル・アダド「何だ……!?」
逢喇且雫アフラ・マズダ「……―――様……彼の者は……神……である……」
*「ええ、分かっています……」
逢喇且雫アフラ・マズダ「下がっておいでください。―――様……」
*「……」
ザッ
蠻或讎瑙バアル・アダド「小娘の尻に敷かれるなどと……神の恥よの……」
逢喇且雫アフラ・マズダ「……なんとでもいえ……」
ビシッ
大鋒を突き付け逢喇且雫アフラ・マズダが叫ぶ
逢喇且雫アフラ・マズダ「我は……強いぞ!?」
蠻或讎瑙バアル・アダド「ハッ……」
キュゴガキンッ
キュラキュラキュラキュラッ
蠻或讎瑙バアル・アダド「な……にぃ!?」
……気付けば大鋒に自分の蛇矛を弾き飛ばされていた蠻或讎瑙バアル・アダド……
蠻或讎瑙バアル・アダド(こ……こいつは……)
直ちに逢喇且雫アフラ・マズダへの侮りを捨てる蠻或讎瑙バアル・アダド……
逢喇且雫アフラ・マズダ「……油断していると……簡単に死ぬぞ?」
蠻或讎瑙バアル・アダド「……よかろう……殺す!」
バリバリバリバリッ
逢喇且雫アフラ・マズダ「貴様が……この我を!?」
ズズズズズズッ
一触即発の両雄……この時、光の破壊神と雷の鬼神とに因縁が生まれたのだった……


続

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