Eighter -Noble Gathering-
19ther 〜奏でるは死の組曲パルティータ B〜



#3
若き天才音楽家、禾口加貝英良わくか・かえら……彼が起こした殺人事件……そのトリックには……
オーパーツが……!?
梓與鷹よたか「まさか……絶対音は……」
與鷹よたかも……その本質に気が付く……
かみ総介「ああ……相手を振動させて音を出す……つまり、振動の限度を超えたならば……電子レンジの
 要領でボッ……だ」
與鷹よたか「……やはり……か……」
想像通りとはいえ、流石に驚きを隠せない與鷹よたか……
総介「おそらく指揮棒がサウンドブースターなんだろう……ペンは剣より強しとは言うが……」
與鷹よたか「……いや、でも総……」
総介「何だ?」
と、ここで、與鷹よたかは重要なことに触れる……
與鷹よたか「絶対音の正体が分かっても……対処法が分かったわけじゃない。……いや、むしろ防ぐ手立ての無い
 絶対音を相手にどう立ち向かうというんだ?」
見ることは出来ない……そして、聞くことは出来るが、それは死を意味する……そんなものを相手に一体
どう対応するというのか……
総介「……音の特性は……」
與鷹よたか「はい?」
それにかまわず総介は言う。
総介「音の特性として……同じ音を同じ速さと逆の位相をもってしてをつけることによってその音は相殺
 され、聞こえなくなる」
與鷹よたか「……なる……って待て待て総……つまりそれは1度は絶対音を聞かなきゃならないということじゃ
 ないか……絶対音は1度聞いたら終わりなんだぞ……つまり、その方法は不可能だ!」
結局無理じゃないか……と與鷹よたか……だが、総介は更に続ける……
総介「ああ……普通の人間ならばな……」
與鷹よたか「総……?普通の?……って?」
総介「……だが、見もせず、聞きもせず、正確に逆位相の同じ音を作り出せる人間なら……あるいは……」
與鷹よたか「そんな人間……なるほど……」
そんな人間などいるわけがない……と思いつつ、與鷹よたかは身近に彼女がいたことを思い出す。
そう、運の女神こと、かんな(かなりもそうですが)ならば……そんな芸当は容易い……
総介「……そうと決まれば早速かんなと合流して……出向くぞ……」
與鷹よたか「いや、その必要はない……」
かんなは運の女神……すべての物事を持ち前の超強運で察知できる……だからこそ、連絡を取らずとも
必要とならば、やってくる……と與鷹よたか
総介「フン……」
かんなのことをよく知っているものだ……と総介は感心するのであった……

#4
白拍子かんな「では……行きましょうか……」
與鷹よたか「ああ……」
かくて、かんなと合流し、一行は禾口加貝英良わくか・かえらのもとへと行く。
・
・・
・・・
東京都、貝英良かえら邸
総介「禾口加貝英良わくか・かえらだな?」
警察手帳を見せ、総介は貝英良かえらの家に上がり込む
禾口加貝英良わくか・かえら「……ほぉう……警部さんですか?」
ズカズカと家の中にやってくる総介に一瞬だけ嫌な顔をしつつも、穏便に事を済まそう……と貝英良かえら
総介「少しお話を……」
貝英良かえら「ええ、どうぞどうぞ、おあがりください」
表面上は笑顔で、総介ら一行を奥のスタジオへと案内する貝英良かえら
山咲やまざき桜(警部……)
総介(フン……心配はいらん……)
隙あれば……いつでも焼き殺す……といった具合なのか……しかし、ここには運の女神、かんながいる
貝英良かえら「で、何でしたかな?」
スタジオにある椅子に座りつつ貝英良かえら
総介「……場歯路嬰ばっは・じぇい殺人事件のことだ……」
貝英良かえら「ああ……しかし、あの件でしたら……私は既にシロのハズですよ……?」
総介「フン普通のサツならいざ知らず、この私の眼をごまかすことは出来んぞ……お前が犯人だってことは
 分かっているんだ!」
貝英良かえら「……ほう、これままた……その根拠は何です!?……刑事のカンですか!?そんなもので逮捕
 されるなんてたまったもんじゃありませんよ」
あくまでも微笑みながら語る貝英良かえら
與鷹よたか「……アンタは、ふとしたきっかけで、絶対音を手に入れた……」
貝英良かえら「絶対音!?……」
かんな「……たとえ、真空中でも響く音……その原理は……簡単に言うと相手を振動させて音を奏でると
 いうもの……」
貝英良かえら「それが……何か!?」
総介「フン……相手を振動させて音を伝える……つまり、その振動数を極限まで上げれば……」
貝英良かえら「ハッ……何を言うかと思えば……大体そんな非科学的なこと……どうやって……」
総介「これは現代科学とは関係ない」
與鷹よたか「……オーパーツ……超隔壁技術オーバーテクノロジーが絡んでいるんでね……」
貝英良かえら「……ハハハハハ……これは参りましたな……まさか警部どのがそんなオカルトめいたものを
 信じているなんて……」
かんな「……絶対音を引き出すオーパーツ……九大オーパーツCPが1つ……エリュシオン……棚の上に
 ある一見オブジェに見えるそれが……本体です」
OCTUのディスプレイを見ながら棚の上のオブジェを指差して語るかんな
貝英良かえら「……ぬう?」
貝英良かえらの表情が変わった……はたして……それは……


続

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