Eighter -Noble Gathering-
19ther 〜奏でるは死の組曲パルティータ A〜



#0
これは、1人の歪んだ音楽家の奏でる……いびつ不協和音ハーモニーに纏わるエピソード……
その漢は……たとえ真空中でも響き渡る絶対音を入手したことから全てが始まった……

#1
東京都、某所
*「何だと!?キサマ!もう一度言ってみろ!!!」
とある邸宅にて……2人の音楽家が激しく口論を繰り広げる……
*「……ああ、何度でも言ってやる……馬歯路嬰ばっは・じぇい君……君の奏でる音楽は雑音でしか無い」
馬歯路嬰ばっは・じぇい禾口加貝英良わくか・かえら……貴様!」
片や上から目線でものを言う若手の音楽家……片やこれまで実績のある古参の音楽家……
路嬰じぇい「ふざけるなよ!!貝英良かえら……たかだか1曲……組曲42式 運命が売れたからってのぼせ上がるのも
 大概にしろ!!」
禾口加貝英良わくか・かえら「お前の最新作……『風牙』の如くとっとと音楽界から逃げ出したらどうだ……」
路嬰じぇい「貴様はぁ……」
路嬰じぇいの最新作『風牙』とは分類上『遁走曲』に値する……貝英良かえらはそのことを皮肉って喋っているのだ
貝英良かえら「まぁ、いい……今からこの俺が……直々に、貴様に真の音楽とやらを見せてやろう……」
路嬰じぇい「ハッ……」
バカバカしい……貴様ごときに何が出来る!?……と路嬰じぇい
貝英良かえら「最も、貴様には見えんだろうがな……物理的にもだ!」
路嬰じぇい「音楽が見える……!?……寝言は寝て言え!」
ヒュンッ
ヒュオオオッ
そういうなり指揮棒を振りかざす貝英良かえら
貝英良かえら「そうだな……遺言寝言永眠て言え!」
ボッ
路嬰じぇい「う……うごおおおおお!!!?」
と、その時、突如路嬰じぇいが炎に包まれる
貝英良かえら「アッハッハッハッハ!!見たか!聞いたか!……これぞ神の影!『絶対なる音』!!我が真髄!!」
ゴオオオオオオッ
その間にも、路嬰じぇいは消し炭と化し……そして……息絶える
・
・・
・・・
数時間後……
警官「中川警部……ガイ者は馬歯路嬰ばっは・じぇい……あの風牙の作者で有名なあの路嬰じぇい氏ですよ!!」
中川邦武ほうむ「そんなことは分かっている」
警官「死因は焼死……」
邦武ほうむ「それも、見れば分かる……しかし……酷い焼け方だ……」
警官「……死に方としては最も苦しい方法……だったか……」
※しかも万一生きながらえたら重度の火傷とともに生きなくてはならないという……
邦武ほうむ「で、容疑者は……」
警官「はい。禾口加貝英良わくか・かえら……組曲42式、運命でデビューした若き音楽家です」
邦武ほうむ「ふぅむ……音楽家ねぇ……」
音楽家同士のいざこざで……殺人事件に発展したのか……と思う中川警部……

#2
警官「……ですが、中川警部……ヤツはライターはおろかマッチ1本たりとも持っていないんですよ」
そう、事件の最大の謎はそこにある……
邦武ほうむ「しかし……両者の仲が悪かったのは事実……」
警官「……ええ……それは、確かに……」
警官「ですが、中川警部……動機はあっても証拠がなくては逮捕できませんよ……」
邦武ほうむ「くそっ!!!」
忌々しげにつぶやく中川警部であった……
・
・・
・・・
その後、重要参考人として警察に同行した貝英良かえらだが……証拠不十分として釈放されたのであった……
一方……天四斗あまよとでは……
天四斗あまよと、バー・牡牛座六つ星星群プレアデス
かみ総介「……禾口加貝英良わくか・かえらの事件……」
梓與鷹よたか「ん?……あの音楽家の殺人事件がどうした?」
総介「俺にはどうも貝英良かえらが犯人でしか思えん」
與鷹よたか「その根拠は?」
総介「……俺の刑事としての勘……いや、違うな……真理の神殿の断片の記憶による未来……」
與鷹よたか「おいおい……総……仮にそうだとしよう……ヤツは火にまつわるものを一切持っていなかったん
 だぞ……どうやって火をつける?」
総介「……それは可能だ……」
與鷹よたか「まさか発火布とか言うんじゃないだろうな?」
総介「……お前はアニメの見すぎだ……」
與鷹よたか「おいおい……総……」
総介「……絶対音……って知っているか?」
與鷹よたか「うん?……絶対音?……」
考え込む與鷹よたかに総介は告げる
総介「その音は真空中でも響き渡る『神の影』故に絶対音」
*「ヒック……喋る、つぶやく、ささやく、語る、叫ぶ……あらゆる形式の言語兵器の中で最も強力なのが歌う兵器
 ……ファイアーボンバーこそその要……」
突如語る謎の漢……は無視して……
※ってかなんで陽気な未亡人メリィ・ウィドウの宴にマクロス7なんだ!?
與鷹よたか「そうか!思い出した……威隻法腱博士の書いた本のどこかに書いてあった……でも……それと
 これとどういう関係が?」
総介「……では問おう。真空中でも相手に音を伝えるにはどうすればいい?」
與鷹よたか「は!?……いや、そんなこと言われても……」
総介「答えは簡単だ。音を伝えたい相手そのものを振動させるのだ」
與鷹よたか「相手を振動……?ま……まさか……」
総介「ああ、そうだ……その通りだ……」
……さてさて……総介と與鷹よたかは一体何に気がついたのか!?絶対音、その本質とは一体!?


続

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