Eighter -Noble Gathering-
16ther ~もう一人の水使い C~
#5
蛍とどっちが上なのか……死合にやってきた剣客……鍼……そして鎬を削る両者のバトルが展開されて
いるのだが……果たして、勝利の女神はどちらに微笑むのか!?
抉繍鍼「はっ!」
天然蛍「うおおお!!」
バヒュアアアアッ
2人とも鍔迫り合いを止め距離を取る
蛍「これはどうかな?蒼鳳炎舞!」
ドドドドドッ
蒼き炎の鳳凰が四方から襲い掛かる
鍼「ふん……なめるなよ!水鳳雨陣!」
ジュオオオオオオオッ
無数の水の鳳凰が炎をかき消す
ジリッ
蛍、鍼「……」
互いに技を放ち、相殺……そして、そのまま両雄は微動だにしない……
突込魁(すごい……ここまで本気な蛍は……久しぶりだ……)
魁も蛍の死合い振りに心を動かされる……
・
・・
・・・
そのまま暫し、時間が流れ……・
鍼「……ここいらでそろそろ決めようか……」
蛍「うん……そうだね……」
ゴゴゴゴゴッ
殺気と水、炎が増し……
鍼「おおおおっ!水刃双剣、赫水超脈!」
ゴギャギャギャギャギャギャギャッ
紅き水を纏ってさらにパワーアップする鍼
蛍「はあああっ!火龍双刃、炎黒鎧爪」
ボボボボボボッ
対する蛍も黒い炎を纏ってさらにパワーアップ!
魁「くっ……」
息苦しい魁……炎と水……同じ師匠を持ち、しかし、互いに正反対な剣を使う蛍と鍼の死合も……早々に
最終局面……その張り詰めた空気に、魁も固唾をのんで見守る
魁(……次で……決まる……のか!?)
つう……
張り詰めた空気に……冷や汗が頬を伝う魁……
ぽたりっ
そして、その一滴が地面に落ちた瞬間、両雄は動く
鍼「水虎紅雨!」
蛍「黒炎虎舞!」
ゴギャアアアッ
黒き炎の虎と水の虎とがぶつかり合う
蛍、鍼「まだだ……まだ……ここからだ!!!」
バアッシュッ
虎同士は相殺死合い、消滅し……なおも2人の攻撃は終わらない……いや、寧ろここからが死合の本番にして
要である……
鍼「うぉぉおおおぉッ!!虚溶絶水陣ッ!」
蛍「はぁぁあああぁッ!!虚熔滅炎陣ッ!」
ドゴアアアアアアッ
虚ろの水で出来た鳳凰が……無の水で出来た麒麟が……無の炎で出来た龍と虚ろの炎で出来た虎とぶつかり
あう
魁(決まった……の!!?)
勝敗の行方は……魁もその場で立ち尽くし、事の成り行きを見守る
#6
鍼、蛍「これで終わりだあああ!!!」
ガカアアアアアアッ
しかし、まだ、死合は終わらない……奥義と奥義とがぶつかり合い……そして、相殺されていく……
ドジュオアアアアアアアッ
魁「……そ……相殺……!?」
ゴアアアッ
ビタアアアッ
鍼の双剣が蛍に、蛍の双身刀が鍼に突きつけられる
・
・・
・・・
そのまま両雄一歩も退かず……いや、一歩も動けない……と言った方が正しいのか……
鍼「……ヘッ……互角か……」
蛍「うん……そうみたい……だね……」
すすっ
そのまま両雄は刃を退き、刀を納める
魁「終わった……の!?」
蛍「うん、終わった~~」
と、いつもの蛍はぼけぼけ~っと魁の元へ……
鍼(……互角……だと!?ふざけるな……ヤツは……まだ……何か隠してやがった……ヤツは
……最後の最後で手を抜きやがった……くそっ……ふざけやがって……)
一方の鍼はなんだかこの死合結果に釈然としない様子である。
鍼「……天然……お前の強さは本物のようだな……」
蛍「そりゃどうも……」
鍼「……だからな……次に逢う時は……必ずお前を斃す!!それまでに腕を落とすなよ!!」
と、言い残し、その場を去ろうとすると……蛍がボケを返す
蛍「うん、大丈夫。斬られない限り落とさないと思うから……」
鍼「だから、そういう意味の『落とす』じゃねぇし!!」
ビシイッと突っ込みが入る
蛍「じゃ、またね~~~ゆんゆん……」
鍼「だぁ~~~~~なんでそうなるんだああああ!!!」
ズドゴオアアアンッ
超絶な突っ込みを入れる鍼……そして、死合ですらこうもいかなかったのに、遠く彼方へ吹き飛ばされる蛍
魁「……はぁ・・蛍ぃ……」
魁も魁でがっくりとうなだれる
鍼「……アンタも大変だな……あんなヤツと一緒で……」
魁「え……あ……う……ん」
鍼「……じゃ、俺はここいらで……」
すたすたと歩いて行く鍼
ビタリ
魁「うん!?」
ヅカヅカヅカヅカヅカッ
が、途中で止まったかと思うといきなり引き返してくる
鍼「あいつのことだ、絶対俺との再戦のことを忘れているに違いない……だから、アンタが代わりに覚えて
おいてくれ……」
魁「は……はぁ……」
鍼「じゃな!今度こそ!!!」
スタスタスタスタ……
今度こそ、鍼は去っていく
魁「……はっ……蛍……アイツどこまで飛ばされたんだ!?……蛍ぃ~~~!!」
すぐさま蛍を探しに行く魁
・
・・
・・・
鍼「師匠……炎のヤツは本当に……強かったぜ……」
……鍼 VS 蛍……2人の宿命は……まだ始まったばかりだが……再戦は……未定である。
END
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