#3
流水二刀流を極めんとするもの……抉繍鍼（けっしゅう・しん）！……蛍（けい）と死合うべくやってきたのだが……どうも蛍（けい）は
乗り気じゃないらしい……だが、鍼（しん）にそれは通用しない……
天然蛍（あましか・けい）「……はぁ……」
どうしてっもやらなきゃだめ？……と蛍（けい）
抉繍鍼（けっしゅう・しん）「ため息ついているんじゃねぇぞ！……この紅流（あかきながれ）と蒼淀（あおきよどみ）でお前を討つ！！」
蛍（けい）「……んじゃ、行くよ〜〜〜じゃんけん……」
ドゴッ
と蛍（けい）がじゃんけんで勝負を決しようとした矢先、蹴り飛ばされる
鍼（しん）「んなモンでケリつけようとすんな！！」
蛍（けい）「……いちいち注文が多いなぁ……もう……」
突込魁（とつこみ・かい）「あのねぇ、蛍（けい）……」
流石に魁（かい）も呆れて者も言えない
鍼（しん）「お前からも言ってやってくれ……俺と死合うように……」
魁（かい）「え！？私！？」
鍼（しん）「お前以外に誰がいる！！」
魁（かい）「……いや、まぁ、そうだけど……」
と、いうわけで、しぶしぶ魁（かい）は蛍（けい）を説得してみることに……
魁（かい）「……蛍（けい）……ふざけてないで死合ってあげなってば……」
ゆさゆさと揺さぶりながら語る魁（かい）
蛍（けい）「ふぁ〜〜〜〜……おはよう……魁（かい）……」
すると、蛍（けい）は再び欠伸と共に挨拶を行う
魁（かい）「は！？」
蛍（けい）「何？死合って欲しいの？……」
魁（かい）、鍼（しん）「おのれは……今まで寝ていたんかい！！！」
ドゴンッ
ダブルの突っ込み炸裂
蛍（けい）「あ〜〜、もう……痛いなぁ……」
魁（かい）、鍼（しん）（夢遊病者かよ！）
鍼（しん）「……なぁ……ひょっとして、また紹介とかしないといけないのか……？」
蛍（けい）「……ひょっとしてまた死合わなきゃいけないの！？」
ズビシッ
魁（かい）「アンタは『また』じゃないだろうが！！」
魁（かい）の的確な突っ込みが炸裂する。
・
・・
・・・
そして、気を取り直し……
鍼（しん）「……天然蛍（あましか・けい）！！」
蛍（けい）「……あ〜〜〜……う〜〜〜ん……死合えばいいんでしょ……死合えば……」
チャキッ
やる気なさげに近くに立てかけてあった炎双刃（えんそうじん）を手に取り構える蛍（けい）。
鍼（しん）（……んな嫌々そうに……）
蛍（けい）「はっ！？」
ゴアッ
しかし、死合うとなるとすぐさま鍼（しん）の間合いを侵食する
鍼（しん）「おおっとぉ！」
ガギンッ
蛍（けい）「ふぅん……やるね……」
鍼（しん）「フン……不意打ち如きでは俺は斃せん」
蛍（けい）「……そっかぁ……不意打ちじゃあ……駄目かぁ……」
バババッ
かくて、両雄は再び距離を置き……緊迫した空気が……
・
・・
・・・
魁（かい）「……流れないよね……蛍（けい）が相手だと……」
蛍（けい）が相手だと、どうも、緊迫感に欠けるのだが……それが蛍（けい）マジックである……

#4
ジリジリ……
蛍（けい）「……」
鍼（しん）「……」
その後、ちょっとだけ緊迫した空気が流れ……
鍼（しん）「水龍飛刃（すいりゅうひじん）！」
蛍（けい）「炎飛龍斬（ほむらひりゅうざん）！」
ゴジュアアアアアッ
炎と水で作られた龍がぶつかり合い、相殺する
蛍（けい）「へぇ〜〜〜」
ぼへ〜〜っとしまりのない顔で間の抜けた声を出す蛍（けい）
鍼（しん）（強い……結構強めの技を出したのに相殺とは……出来る……さすがは歪んだアイツを斃しただけの
　ことはある！）
蛍（けい）「どうやら死合うにたる相手みたいだね……」
ボボボボボボッ
キリっと表情を変え、炎で自らを包み込む蛍（けい）
鍼（しん）「俺の力をあまり、過小評価して欲しくないな……」
鍼（しん）（ってか、コイツ……今まで本気じゃなかったんかい！）
シュオアアアアアアッ
むっとしつつも水が鍼（しん）を覆う
魁（かい）「な……何だ……！？この……重い空気……は……！？」
今までになく緊迫した空気が流れ……
蛍（けい）、鍼（しん）「ハッ！」
ドジュアアアアッ
炎と水がぶつかり合い、辺りに水蒸気が広がる
魁（かい）（くっ……見えない……）
鍼（しん）「おおあああ！！水龍爆殺（すいりゅうばくつさつ）！」
蛍（けい）「はああああ！！紅龍炎舞（こうりゅうえんぶ）！」
ドドンドンッ
4つの紅き炎の龍と爆発を巻き起こす水の龍とがぶつかり合う
ガカアアアッ
ゴドギュオオアアアアアンッ
ダダンダンッ
そのまますれ違って着地、距離を保つ
シュオオオオ
爆煙が晴れ……
蛍（けい）「互角か……」
鍼（しん）「フン……どうだかな……」
蛍（けい）「……でも俺には勝てないな……」
鍼（しん）「お前は自分を過大評価しすぎだ！」
ドッ
そのまま一足飛び掛かる2人……
蛍（けい）、鍼（しん）「はああああ！！！」
ドガガガガガガガガガッ
そして、そのまま鍔迫り合いへと移行する
魁（かい）（……すごい……戦いだ……蛍（けい）も……鍼（しん）も……）
鍼（しん）（以前師匠は俺に匹敵する力を持つのはこいつだけだと言った……確かに……それは認めよう……
　だが……コイツが俺より強いとは思えん……）
蛍（けい）（う〜〜〜ん、思ったよりやるなぁ……あ〜〜〜、このままじゃあ負けちゃうかもなぁ……はぁ〜〜〜
　負けるのヤだなぁ〜〜）
鍼（しん）、蛍（けい）「う……うおおおおおおおお！！！！」
ギギンギンギンギンギギギンッ
ジュオオオオオオッ
鎬を削る……白熱するバトル……両者から迸る水と炎は相殺しあい、蒸気があたりに立ち込める……
鍼（しん）と蛍（けい）……はたして勝利の女神はどちらに微笑むのだろうか！？
※そして、蛍（けい）は勝利の女神って誰？とボケないように……（いや、だから……）


続