Eighter -Noble Gathering-
5ther 〜全てを超越する鍵 A〜



#0
ピッキング……それは物流業で商品を仕分けすること……ではなく、正規の鍵ではないもので鍵穴をこじ開け
家に侵入することである。
そして、今回はそんなピッキングに纏わるストーリー

#1
東京都、国際パラダイムセンター(通称IPC)
*「例の物は出来ているだろうな?」
*「ええ、こちらがパーフェクト・ピッキング・ピン……略してP3ピーキューブです」
*「フム……」
提示された万年筆のようなものを手に取る漢
*「このP3ピーキューブ……今ピッキング対策として売り出されているピッキング防止鍵だろうがなんだろうがたちどころ
 に開ける事のできる……ゲームで言う最後の鍵なのです」
ガチャリ……とピッキング防止鍵をいとも簡単に開けてみせる漢
*「素晴らしい……」
漢は満足してその最後の鍵、P3ピーキューブを手にIPCを後にした……
・
・・
・・・
数日後
天四斗あまよと、Eighter本部
雨水朧うすい・おぼろ「最近、ピッキングによる被害が多いわねぇ……」
百鬼あろえ「ピッキング防止鍵も飛ぶように売れているみたいですね」
これはひょっとしたら、ピッキング防止鍵製造会社のマッチポンプなんじゃないでしょうか!?などと言いだす
あろえ
一同「ンなまさか……」
一方……
天四斗あまよと、某所
街の中を歩く漢が1人……
*「くそっ……ウチもやられたぜ……」
*「アンタもか……」
*「ああ……最近……ピッキング犯罪がこうも増えて……」
*「くそっ、今度からドアロックをして家を出ようか……」
*「おいおい、ドアロックは在宅中なら施錠可能だが……外出する際にはかけられないだろ」
*「いや、あるトリックを使えば……」
※それは仮に施錠できたとしても、今度は部屋に入れなくなります
*「……フフ……フフフ……甘い、甘い!甘すぎる……食べたとたん血糖値が5万に跳ね上がるくらいに
 甘いぞ!これだから素人は……」
と、会話に割り込んでくるは……先ほど街を歩いていた漢その人……
*「ああ!?何だ……アンタ!?」
彼の名前は櫻屠鹿玖おうと・ろっく……防犯に命をかける漢として、天四斗あまよとで有名な漢だ……
櫻屠鹿玖おうと・ろっく「いいか、たとえドアロックをかけていたとしてもピッキング犯人が小型のチェーンソーを持ち歩いて
 いたら意味が無い」
一同「そんなピッキング犯いねぇよ!」
*「……ってか……アンタ……櫻屠鹿玖おうと・ろっく!?」
*「何!?……防犯に生命をかけるあの!?」
鹿玖ろっく「フフフ……」
自分が誰であるのか……どんな人物であるのか、ようやく知れ渡り鹿玖ろっくも笑みをこぼす

#2
鹿玖ろっく「その点ウチはピッ金う防止鍵を5つも付けてあるからな……まぁ、本当はこれだけでも不安要素はある
 んだが……これだけあれば大丈夫だろう……」
*「流石、半端ない……」
*(だけど、そんなお前のところに好き好んで入る泥棒もいないと思うが……)
鹿玖ろっく「しかし、所詮ピッキング防止鍵も人間が作った代物……気を抜くと……やられるぞ……」
*「……ここでニュースです。先ほど入りました情報によりますと、ピッキング防止鍵をしていた家にて、
 ピッキングによる窃盗事件が発生、捜査に当たった警察はピッキング防止鍵を創った会社に対して不備は
 なかったのかなどの調査を……」
と、突如街角の家電製品店の商品のTVがトンでもないニュースを流す
鹿玖ろっく「……」
一同「……」
*「ウソだろ……ピッキング防止鍵を!?」
鹿玖ろっく「……フッ……科学の進歩にともない、泥棒の進歩も日進月歩しているってことだ……」
*「いやいや、格好つけて言っている場合じゃないだろ……」
プルルルル……
と、そんな折、携帯が鳴りだす
鹿玖ろっく「はい、もしもし……」
*(なぁ……これって……)
*(ああ……凄く嫌な予感が……)
奇しくも、その予感は的中することに……
鹿玖ろっく「ンなぁにぃ!!!?」
ピッキング防止鍵が5つもついているとはいえ、先ほどのニュースの前には無意味……
*「しかし……いたんだな……あいつの家に忍び込む泥棒が……」
*「え!?……あ、ああ……」
いや、突っ込むところはそこなのか!?と1人
鹿玖ろっく「バカな……5つのピッキング防止鍵だけじゃあ足りなかったと言うのか!?」
一同「いや、それでも十分すぎると思うぞ……」
鹿玖ろっく「……すまんな……諸君……俺はこれから戻って防犯設備の見直しをしなければならん……」
ダダダダッ
電話を終えると鹿玖ろっくは脱兎のごとくその場を後にする
*「……」
*「続いて、次のニュースですが……」
残された一行に、家電製品店の商品のTVのニュースが虚しく響く……
*「お、俺も……ちょっと帰ってピッキングの被害に逢ってないか……調べてみようか……」
*「お、俺も……」
ダダダッ
その後も……ピッキング防止鍵を破るピッキングの事件は後を絶たなかった……
ピッキング防止鍵の製造会社も……その機構を考え出した人物も……この事態に慌ただしく対処を求められ
右往左往することとなる……


続

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