Eighter -Midnight Howling-
56ther 〜色欲が堕つるとき(ラスト・オブ・ザ・ラスト) C〜



#5
 場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)の中位存在、上位存在との決戦。
 歴史の墓場の各地で死合が続く中、アスモデウスと死合い、途中まで優位に立っていたかなりは突如死合をかん
なに譲る。
 一見無責任に見えるこの行為だが……実は……いや、やっぱり結局無責任な行為なのかもしれない。
※をい、そこはなんかこう深い意味があるとかじゃないのかよ
アスモデウス「《キツネザルの使徒》!今日が貴様の命日だよ!」
白拍子かんな「それはこちらのセリフです」
 怒りに満ち満ちているアスモデウスと対照的に冷静沈着なかんな。
 怒りに我を忘れた結果勝てる試合も勝てないこともあるが……
アスモデウス「消えろ!狩血憎麟(しゅちにくりん)!」
 ドドンッ
 左右の後背よりの白炎(バック・トゥ・ザ・ファイア)でX字を描くように斬り降ろすと同時に赤い剣閃と白い衝撃波がひとつずつかんなに襲い
掛かる。
かんな「龍咬舞刃(りゅうこうぶじん)」
 キィンッ
 一閃と同時に剣気で具現化された、応龍(おうりゅう)に変幻する光の龍が解き放たれる。
アスモデウス「な、んだと!?」
 赤と白の斬撃と応龍(おうりゅう)が激突し、相殺される。
 かなりと数の勝負を行っていたときと違って今回ならば、このような結果になることも、まぁ、ありえるのでは
ないか……と思われるかもしれないが違う。
 アスモデウスは今、冥王の心臓を駆使してパワーアップを果たしている。
 故にその攻撃は先ほどと比べ物にならない程の威力に跳ね上がっているはずだ。
 にも関わらず、かんなはそれを打ち消した。これを驚愕と言わずして何と言おうか!
白拍子かなり「オ〜〜〜ホッホッホッホッホ、言ったでしょ、かんなはウチの切り札だと!」
 そして、その切り札を斬る時は今だ!とわが物顔で宣言するかなり。
アスモデウス「なめるな、人間(パーツ)風情がッ!狩血憎麟(しゅちにくりん)!」
 今度は赤い剣閃二つと白い衝撃波ひとつ
かんな「そっちこそ、あまりこちらをなめないでください。鳳鸞舞刃(ほうらんぶじん)!」
 ドカンッ
 横薙ぎ一閃と同時に剣気で具現化された鳳凰が襲い掛かり、再びアスモデウスの攻撃を打ち消す
アスモデウス「そんな馬鹿な!?」
 アスモデウスらが知りえぬことだが、これがマナウスでの修行の成果である。
 かんなの光に燦然と輝く茜瑙哭(セドナ)の紋章、そして厳かなる神氣。今のかんなは冥王の心臓でパワーアップしている
アスモデウスと互角に渡り合える!
梓與鷹(よたか)(凄まじいパワーだ……しかし、かんなはあんな力を使って大丈夫なのか?)
 でもって、死合を見守ることしかできない與鷹(よたか)は、かんなの身を案じる事しかできないのだった……
 余りの不甲斐なさに涙が出てきちゃう……

#6
アスモデウス「こんなこと、ありえない……」
 こちとら冥王の心臓でパワーアップしてるんだぞ、と言わんばかりのアスモデウスだ。
かなり「ありえないことが起こるから人生は面白いのよ」
 いや、今はそんなこと言っている場合じゃないと思うが……
アスモデウス「認められるか!貴様ら人間(パーツ)は我ら場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)に消費されるが宿命」
かなり「まずはその巫山戯(ふざけ)た幻想をぶち壊してあげるわ!」
與鷹(よたか)「をい」
 どこのイマ〇ンブレイカーだよ!と與鷹(よたか)は思わず心の中で突っ込む。
アスモデウス「……だが、そこまでだよ、人間(パーツ)!」
 二度も相殺されてちょっとテンパってしまったアスモデウスだが、少し冷静さを取り戻す。
 先ほどからかんなはアスモデウスの技を相殺しかしていない。このままいけば千日手の死合になってしまうのだ
ろうか……
 いや、そうはならない。なぜならかんなは人間であるから、場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)と違って疲弊する。
 長期戦となれば、かんなが不利となるのは明白なのだ。
※さらに言うと冥王の心臓であともう一段階パワーアップが可能です。
アスモデウス「お前の生命、ここで使い潰す!」
かんな「果たして、そんなことができるのでしょうか?」
アスモデウス「ほざけ!人間(パーツ)!」
 気合を入れ直してかんなを睨みつけるアスモデウス。
 だが、アスモデウスはひとつ勘違いをしていた。いや、かんなの姿をよく見ていなかったと言った方が正しいか
……
 かんなは確かにマナウスでの修行を経て強くなった。
 だが……だが、しかし、神滅超越者(ラグナロクエクセル)の刀身はまだ五尺ではない。それは、かんなもまだ力を温存してるというこ
とだ。
アスモデウス「狩血憎麟(しゅちにくりん)!」
かんな「龍咬舞刃(りゅうこうぶじん)鳳鸞舞刃(ほうらんぶじん)!」
 キュドガッ
 一つの白い衝撃波と九つの赤い剣閃を繰り出すアスモデウスと、応龍(おうりゅう)に変幻する光の龍と平安を(もたら)す鳳凰を解き
放つかんな。
 流石に手数では圧倒的にアスモデウスが有利!
 しかし、かんなは応龍(おうりゅう)と鳳凰を足止めに使い、アスモデウスめがけて一気に躍り出る。
かんな「終わりにしましょう!」
アスモデウス「甘いッ!」
 ガガッ
 上段から振り下ろされる神滅超越者(ラグナロクエクセル)を左右の後背よりの白炎(バック・トゥ・ザ・ファイア)を交差させて受け止めるアスモデウス。
かんな「甘いのは、そちらです!」
 ゴガアアアッ
 だが、かんなの勢いは止まらない。
アスモデウス「ぐ、ぐぬぅう……」
 ビキビキッ
 更に後背よりの白炎(バック・トゥ・ザ・ファイア)(ヒビ)が入る!
アスモデウス「馬鹿な!?」
 かんなの一刀はアスモデウスを打ち砕くことができるのか?!


続

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