Eighter -Midnight Howling-
55ther 〜色欲が錆びるとき(ラスト・オブ・ザ・ラスト) C〜



#5
 総介がクォヴァに冥王の心臓を使わせたその時、かなりと死合っていたアスモデウスはそれを察知した
アスモデウス「やっぱり、冥王の心臓はあまり使えないか……」
梓與鷹(よたか)「冥王の心臓?」
 聞きなれない単語に首を傾げる與鷹(よたか)。
白拍子かなり「それが何なのかはあとでキッチリ問い詰めればいいのよ」
 今はアスモデウスを叩く時!
 かなりは鎌の形状に変形させた真殺影刃(しんさつえいじん)で攻めに攻める。
かなり「オ〜〜ッホッホッホッホッホ、場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)の力はこの程度なの?!」
與鷹(よたか)「凄い、アスモデウスを圧している……」
 これがマナウスでの修行の成果か!?
 であれば、この死合、すぐにでもケリがつくのではないか!?
 いや、そういうわけでもなかった
アスモデウス「あまり調子に乗るなよ、人間(パーツ)如きがあッ!」
 バァンッ
かなり「あらん!?」
 左右の後背よりの白炎(バック・トゥ・ザ・ファイア)で鎌を弾き返すアスモデウス
アスモデウス「もう、遊びの時間は終わりだ!」
かなり「い〜え、まぁ〜〜だ遊びはこれからよ!」
 ぐるぐる鎌を振り回しながらかなりは言う。
アスモデウス「だったら永遠に遊んでな!」
 ずおおおっ
 右手の後背よりの白炎(バック・トゥ・ザ・ファイア)から紅いオーラが、左手の後背よりの白炎(バック・トゥ・ザ・ファイア)からは白いオーラが迸る。
アスモデウス「狩血憎麟(しゅちにくりん)!」
かなり「ふふん、三途河魂渡(しょうずかたまわたし)!」
 ドドドンッ
 薔薇を彷彿させる赤い剣閃と角を彷彿させる白い衝撃波がかなりを襲う。が、しかし、かなりは慌てず騒がず、
瞬時に3回の斬撃を繰り出しこれを消し飛ばす。
アスモデウス「なるほど、だったら……狩血憎麟(しゅちにくりん)!」
 先ほどと全く同じ技。だが、しかし、今回はひとつの白い衝撃波と二つの赤い剣閃という構成に変わっている
かなり「その程度で私に通用するとでも思って?四法印天葬輪(しほういんてんそうりん)!」
 ゴガガガガッッ
 一瞬4斬で再び消し飛ばして見せるかなり。
アスモデウス「狩血憎麟(しゅちにくりん)ッ!」
かなり「五蘊魔天玄劉(ごうんまてんげんりゅう)!」
 ズドドドドドッ
 今度は二つずつ白い衝撃波と赤い剣閃が飛ぶが、かなりは5回の斬撃でこれを撃滅してみせる。
アスモデウス「狩血憎麟(しゅちにくりん)!」
かなり「六波羅蜜裂空牙(ろくはらみつれっくうが)!」
 次は言わずもがな、二つの白い衝撃波と三つの赤い剣閃……かなりは瞬時に6斬で応戦。
 先ほどから両者ともに一個ずつ攻撃が増えているのが分かるだろうか?

#6
與鷹(よたか)「お、おいおい……」
 なんだ、この無茶苦茶な死合は……と思わず與鷹(よたか)が突っ込みを入れる。
アスモデウス「狩血憎麟(しゅちにくりん)狩血憎麟(しゅちにくりん)!」
かなり「七清浄薨衝(しちしょうじょうこうしょう)八正道刹無(はっしょうどうせつむ)!」
 ドドドドドドドッ
 ドドドドドドドドッ
 なおも増える攻撃。アスモデウスが6つ混合パターンの斬撃を繰り出せば、かなりは7斬でこれに応戦し、アスモ
デウスが7つ混合パターンの斬撃を繰り出せばかなりは8斬でこれに応戦する。
 このままどこまで数字が増えるのか、見ものである
※そんな見ものは嫌だ!
かなり「そろそろ飽きてきたわね」
アスモデウス「それはこっちのセリフだよ!」
 膠着する戦況。このままでは埒が明かない。
 ならば、それを打開するには……一気に数を増やす位?
※そんな単純な……
 かなりとアスモデウス、両者は突如睨み合ったまま微動だにしなくなる。
 気を練って次の一撃の機会を窺っているのだ。
與鷹(よたか)(くっ、空気が重い……)
 あまりの圧に押しつぶされそうになる與鷹(よたか)。
アスモデウス「はああっ!」
かなり「オ〜〜〜ッホッホッホッホッホ!」
 そして、両雄の気が最大限に練りあがり、その時は訪れた。
※ってか、高笑いってかなり、遊んでない!?
アスモデウス「これでどうだ?狩血憎麟(しゅちにくりん)!」
かなり「終わりよ!十四誹謗死点衝(じゅうしひぼうしてんしょう)!」
 ズガガガガガガガガガガガガガガッ
 アスモデウスが放つは一つの白い衝撃波と九つの赤い剣閃の複合パターン。
 対してかなりは、一瞬のうちに14斬というトンでもない一撃だった。
アスモデウス「な、なぁ!?」
 10 VS 14……その結果は火を見るよりも明らかだ!
 そして、アスモデウスの両腕は斬り飛ばされる。
アスモデウス「があああ!?」
かなり「オ〜〜ッホッホッホッホッホ!言ったでしょう?かなりに逆らいしものには"死"を……と」
 いつの間にか真殺影刃(しんさつえいじん)を鎌から扇子の形状に戻して高笑いを繰り出すかなり。
白拍子かんな「かなり姉さん……」
 その時、かんなはあることを持ち前の超運で察知し、かなりに呼びかける
かなり「大丈夫よ〜、かんな」
與鷹(よたか)「何……が?」
 一体かんなは何を?と與鷹(よたか)が首を傾げた次の瞬間、それは起こった。
アスモデウス「上位命令だ、よこせ!」
 ズオオオオオオッ
 突如、アスモデウスの気が禍々しく膨れ上がる。
與鷹(よたか)「なっ!?これは……」
 更に斬り飛ばされた両腕が逆再生でもするかのようにアスモデウスに戻っていき、傷一つ残らず元通りになる。

#7
アスモデウス「人間(パーツ)如きがッ!なめるなよ!ハデステリトリーをバースト!」
 冥王の心臓の使用権を無理やり奪い取るアスモデウス。これはアスモデウスがクォヴァらよりも上位の存在だか
らこそできる芸当だ。
かなり「さぁ、かんな、あなたの出番よ?」
 今こそ、切り札を斬る時!とかなりはかんなを引っ張っていく。
與鷹(よたか)「お、おい……」
 焚きつけるだけ焚きつけて肝心なところはかんな任せかよ……と思わず心の中で毒づくと、ギロリとかなりに睨
みつけられる。
與鷹(よたか)「い、いや、何でも……」
 もう、こうなったら與鷹(よたか)は目を背けてかなりに従う他ない。
アスモデウス「《キツネザルの使徒》……貴様ら全員ブチ殺す!」
かなり「そう、だったら、まずはウチの切り札、かんなをどうにかしてみなさいな」
アスモデウス「いや、まずは貴様から血祭だ!」
 かなり目掛けてとびかかろうとしたその矢先、神滅超越者(ラグナロクエクセル)が眼前に突きつけられる
かんな「あなたの相手はたった今から私です」
 神々しくかんなの額に輝くのは茜瑙哭(セドナ)の紋章。
アスモデウス「ならば、貴様から先に地獄へ送って殺る!」
 そして、死合はかんなにバトンタッチされる。
 一見無責任に見えるけど、かなりなりに何か計算しているんだよ……きっと……知らんけど……


END

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