Eighter -Midnight Howling-
55ther 〜色欲が錆びるとき(ラスト・オブ・ザ・ラスト) B〜



#3
 かれん、(けい)とクディミ、ルアドの死合は一旦置いといて、総介、交喙(いすか)らの方へ……
元人交喙(いすか)「ケッ、つくづく厄介な奴らだぜ」
歯付サヤ「ほめ言葉として受け取っておこうかしら?」
交喙(いすか)「ついでにコレも受け取れや!衝錐紅嘴(しょうすいくし)!」
 紅いオーラを纏った金匙玉楊(きんしぎょくよう)を突き出して突進。相手を空間毎刳り取る必殺の技だ!
サヤ「鋩隕鋩蝕(ぼういんぼうしょく)!」
 しかし、サヤには全く通じない!
 サヤが放った一撃……その剣閃に触れるや否や紅きオーラがかき消されてしまい、交喙(いすか)の技が無効化されてしま
うのだ。
サヤ「お前の力はその程度なのかしら?」
 所詮、人間(パーツ)如きが我ら場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)に盾突こうなんて無理な話なのだから
※通用するか、しないかには個人差があります。例えば與鷹にとっては無理ゲー、交喙(いすか)だと苦戦するみたいな
山咲(やまざき)桜(これは少々厳しいですね……)
 死合を観戦しているだけの桜はそんなことを想う。
 今の戦力差を鑑みると7対3……3の方が交喙(いすか)だ。
 もし、交喙(いすか)が敗北するようなことがあれば、総介が相手になるのか……あるいは、最悪の場合……
桜(考えていても仕方ありませんね)
 今はただ、願うだけだ。
(かみ)総介「おい、交喙(いすか)!」
 その時、クォヴァと死合っている総介が唐突に声を上げる
交喙(いすか)「あぁ?!」
 見ると総介は炎に包まれている。そんな状態で声をかけるとはなかなか……
総介「あんまり奴に技を喰らわすなよ?糧にされるだけだぞ」
泥諏(でぃす)クォヴァ「試合の最中に仲間に声をかけるなんて余裕らしいね」
 そんな総介の隙を見逃すクォヴァではなく、恫喝する妬み(ジェラシー・アイスクリーム)が総介に襲い掛かる
……が、これをアッサリと左手の藍后の刄(ブルーエンプレス)で受ける。
交喙(いすか)「ケッ、てめえはてめぇの敵をどうにかしやがれってんだ!」
総介「忠告はしたからな」
 そう言い残すと総介は再びクォヴァとの死合に集中するのだった
交喙(いすか)「五月蠅ぇ!」
 ドカンと地面に金匙玉楊(きんしぎょくよう)を叩き付ける
サヤ「そろそろ打つ手なしなのかしら?」
 だったら、死んでもらおうか?とサヤが不敵な笑みを浮かべる
交喙(いすか)「ハッ、俺はまだ死ぬわけにはいかねぇんだよ!」
交喙(いすか)(喰らわす?糧になる?……)
 総介に対しては喧嘩腰であっても、一応は奴が言った言葉の意味を考える交喙(いすか)。そして、一つの答えにたどり着
く
交喙(いすか)「クソッ、巫山戯(ふざけ)やがって……」
サヤ「死ぬ覚悟は決まったのかしら?」
交喙(いすか)「てめぇの方こそな!」
 奥義などを使用せずに、どこまでサヤに通用するか……それがこの死合の肝となる。

#4
 一方、総介とクォヴァは……
総介「(けい)が居れば……いや、ないものをねだってもしょうがないのは分かっているが……」
 炎属性の攻撃で回復する性質(タチ)(けい)は炎属性で攻撃するクォヴァにとって最悪な位相性が悪い。
 だからこそ、クォヴァの前に(けい)はいないのだが……
総介「これならどうだ!影蒼入滅(えいそうにゅうめつ)!」
 ビシリッ
クォヴァ「うっ!?」
 影縛りを行う総介。動きが止まったクォヴァめがけて一足飛びにかかり、上段から一気に蒼王の刃(ブルーロード)を振り下ろす
クォヴァ「なんてな。凛葬鋩怨(りんそうぼうおん)!」
 ボッ
 たとえ動きが封じられていても、結果は同じ。再び炎に包まれる総介。
クォヴァ「動きを封じさえすればどうにかなるなんて思っていたらしいね」
 でも……と続ける前に、総介は歩みを止めない。
総介「言ったはずだ、これしきで俺をどうにかできると思うな!と」
クォヴァ「このバケモノ!」
 総介の気迫に気圧され身が竦むクォヴァ。
 そんなクォヴァに総介の一閃が入る。
 ドガッ
クォヴァ「く、くおおおっ!」
 両手を駆使して蒼王の刃(ブルーロード)を受け止めるクォヴァ
総介「フンッ」
 ズドッ
クォヴァ「があっ!?」
 すると総介は藍后の刄(ブルーエンプレス)でクォヴァを突き刺す
クォヴァ「き、貴様ッ!」
総介「あまり俺達を、人間をなめるな!場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)!」
 そのまま押し通す総介。吹き飛ばされるクォヴァ。そして、そのはずみで総介を包んでいた炎も消える。
総介「ハッ!」
 更にこのまま終わりではない。総介は更に一歩踏み込み、今度は両方の刀で斬撃を叩き込む
クォヴァ「シェオルフィールド!」
 ガキンッ
 だが、総介の斬撃は展開された障壁によって防がれる。
クォヴァ「おのれ、《キツネザルの使徒》!」
 忌々し気に総介を睨み付けるクォヴァ
 このシェオルフィールドは場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)の中位存在が作り上げたシステム、冥王の心臓の能力のひとつだ。
 冥王の心臓から供給されるエネルギーを駆使すれば通常の数倍のパワーを得ることができるのだが、使用できる
のは一度に一人までという致命的な制約を持つ。
総介「俺の矛と貴様の盾、どちらが上か能力比べということか……いいだろう、受けてたつ!」
クォヴァ「ぬううっ」
 まだ、Eighter一行らにはこの弱点は露見していないかもしれないが、クォヴァを抑え込んでいる間、他が冥王
の心臓を使うことは出来ない
 つまり、今こそ(総介以外は)攻めどころというわけだ。
※最も、それが分かる奴はかんな、かなりしかいませんが……

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