Eighter -Midnight Howling-
52nder 〜淵に佇む百合剣者 D〜
#7
人の破壊の極致、固有振動を退けられるは神の力。だが、油断してはいけない。神の力によって守られてない部
分に当たってしまえばそれは悲惨な結果となる。
天然蛍(「紅龍炎舞(!」
ゴゴウッ
深紅の炎の龍を作っては淳也に解き放つ蛍(
吉田淳也「振動爆砕桃掌(!」
淳也「振動爆砕真珠脚(!」
ズドバキャアアッ
だが、しかし、何という事でしょう!淳也の繰り出す超振動拳の前に、炎の龍は砕け散る。
蛍(「う〜〜ん、ダメみたい……」
やはり、放つ技の一つ一つにまで神氣を纏わせるのは人にとっては難しいということなのだろうか……
梓與鷹((くっ、なんてこった……奴らの攻撃を防ぐことは出来ても、奴らを倒すことはできないのか!?)
死合を見ることしかできない與鷹(は歯噛みしながらそんなことを考えていた。
山咲(桜(いいえ、そんなことはありませんよ)
白拍子かなり(ただ、覚悟があるか否かよ……)
與鷹((それは……)
何の覚悟か!?
淳也達「今度こそ砕け散るがいいわ!」
蛍(がぼけ〜っとしている隙をついて淳也達は一足飛びにかかる。
蛍(「じゃあ、仕方がないから直接斬るしかないね……」
ザムッ
淳也「う、うぎゃあああ!?」
が、次の瞬間、何のためらいもなく淳也を斬り捨てる蛍(。斬り捨てられた淳也はそのまま炎に包まれ、燃え尽き
て灰となる。
……炎の天然殺人機(という通り名は伊達ではない!
元人交喙(「ヘッ、やっぱり殺す(しか道(はないってか……」
上(総介「フン、分かり切っていたことだろうに……」
蛍(を見ながら交喙(、総介もそう漏らす。
淳也達「死合の最中によそ見とはいい度胸だなぁ、ええ!?」
油断大敵!といわんばかりに交喙(、総介めがけて超振動拳を叩き込む淳也達。
ズドムッ
ザグッ
淳也達「あぎゃああ!?」
交喙(、総介もまた、何のためらいもなく淳也を葬り去る。
淳也「ぬくく……この人殺しが!!」
一同「てめぇにだけは言われたくねぇよ!」
一同、魂の叫びだった。
一方、かんなとかれんは……特にかんなは淳也を殺すこととを躊躇っていた。
淳也達「おらおらぁ!砕け散れぇ!」
ガキンッ
白拍子かんな「……」
故にだろうか、技にキレがない。
かんなを相手に人間をけしかけるのは最大の一手である……と言っても過言ではない。
蛍(「でも、殺さないと、殺されるよ?」
白拍子かれん「こう考えたらいいのよ。『まっ、いいか。コイツは……死んでいい奴だから……』ってね」
ズバッ
淳也「ガハッ!」
免罪符を得たことで嬉々としてと淳也を切り捨てるかれん。なんて危ない奴なんだ……
※ってか、そのセリフは……
#8
交喙(「拳法家にとって死は死合の結果にすぎん!ってな言葉もある」
與鷹(「いや、お前もかんなも拳法家じゃないから……」
まぁ、交喙(はかんなを元気づける?……ためにそんなことを言い出したのかもしれないが……
淳也「フッ、貴様から先に地獄へ……いや、天国へ行くがいいわ!」
他の四人よりも先にかんなを始末すべき!そう考え、淳也達はかんなに殺到する。
淳也達「死ねぇあ!」
淳也「振動爆砕桃掌(!」
淳也「振動爆砕真珠脚(!」
かんな「危ないですよ?」
すっ
ズドンッ
淳也一行「ガハアッ!?」
前後左右から襲い来る淳也達。しかし、かんなは持ち前の超強運で難なく回避。
その結果、淳也同士は互いに激突し砕け散る。
淳也「なっ、同士討ち……だと!?」
與鷹(「……なるほど、人が生みだせし究極の破壊の一手……それを止められるものは何もないということか……」
確かに、敵同士が激突し、勝手に死ぬのであれば心は痛まない……わけじゃないけど……
※それでもかんなは心を痛める気がするけど……
淳也達「だが、同じ手がそう何度も通じると思うなよ!」
同士討ちしないように絶妙な位置から挟み込む淳也達。彼らは同一人物であるからこそできる息の合った芸当だ
ズバキャンッ
淳也達「ふがくぅ!?」
淳也達「ヒャケェ?!」
だが、しかし、かんなの超強運はそれすらも凌駕する。いや、常人がどんな手を使おうともかんなの超強運の前
には全てが無意味である……というべきか。
またしても淳也達は互いに激突し、勝手に砕け散るのであった。
淳也「馬鹿な!?」
20人いた淳也も残り10人!
交喙(「おっしゃ!このまま一気にカタをつけるぞ!」
もうひと頑張りだ!と気合を入れ直す交喙(。
淳也達「ほざけ!貴様らを必ず天国に送って殺るわ!」
叫ぶと同時に8人の淳也がかんな目掛けて襲い掛かる。
蛍(「あれ?」
そして、残りの2人は動かない。
交喙(「全く、懲りない連中だぜ」
淳也達「振動爆砕桃掌(!」
淳也達「振動爆砕真珠脚(!」
ウィィ〜〜〜ンッ
かんな「……」
すすすすっ
四方八方から襲い掛かる淳也……が、しかし、かんなはやはり、持ち前の超強運でこともなげに回避する。
交喙(「馬鹿め!これで奴らは自滅だ!」
淳也達「だが、甘いわぁ!」
ズドオオンンッ
四つの二本拳と四つの脚が激突……だが、しかし、今回は淳也達は爆砕しない。
交喙(「な、何だと!?」
#9
桜「なるほど、振動とはつまり、突き詰めれば音である……」
交喙(「はい!?」
與鷹(「ま、まさか……奴ら……」
桜の言葉にはっとする與鷹(。
音を打ち消すには逆位相の音をぶつければいい。そして、それは超振動拳においても同じと言える。
だが、言うは易し、行うは難しとはまさにこのことである。全く同じ振動の固有振動を激突させてその効果を相
殺するなどと通常は不可能に近い。
……そんなことができるのは、淳也達がオーパーツの力を駆使して作り上げられた同一存在であるからに他なら
ない。
淳也達「どうだ!これが俺の底力よ!」
ズシャアッ
淳也達「あ!?」
ドヤ顔でアピールする淳也達……だが、彼らは次の瞬間には総介の手により、斬り捨てられる。
淳也「キ、貴様ぁ……」
思わず激昂する淳也
総介「フッ、敵は斃せる時に倒す……」
交喙(「なるほど、傭兵の鉄則だな」
與鷹(「いや、お前、傭兵じゃないだろ……」
思わず突っ込んでしまう與鷹(
蛍(「ま、ともかく、残りは2人だよ〜」
淳也「クッ……」
果たしてこのまま淳也を滅殺することができるのか!?
END
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