Eighter -Midnight Howling-
52nder 〜淵に佇む百合剣者(セイバーリリィ) B〜



#3
 吉田淳也、第二の秘拳の秘密……それは同じ人物が姿を消し、別の場所からかわるがわる攻撃を仕掛けるという
ものだった!
※ちなみに、幻影膠転移陣ですが、幻影はミラージュ、膠はコロイド、転移はテレポートを意味します。與鷹(よたか)「あっ!そうか、俺が感じた違和感は、これだったのか!」
 ポンと腕を叩きながら與鷹(よたか)が呟く。
元人交喙(いすか)「あぁ?なんだよ、違和感って……」
與鷹(よたか)「いいからよく見てみろよ、あいつら……確かに服装は同じだが……」
交喙(いすか)「ん〜〜?」
 同じ服装をしていても、違う部分はある……それは個人差とかそういうものではなく、もっと明確に分かること
だ!
吉田淳也達「うっ、これは!?」
 淳也達は自分たちの服装の袖やズボンなどを見る。
 ……誰一人として同じダメージを受けている淳也はいなかった。まぁ、当然といえば当然である。
 総介はここを見て淳也が複数いると見抜いたのだ!
交喙(いすか)「つまり、どういうことだよ?」
山咲(やまざき)桜「質量を持った残像のようなものかと……」
淳也達「フフフ、怖かろう……」
※いや、そのセリフを言うのはそっちじゃなくて敵の方だ
與鷹(よたか)(簡単に言えばオーパーツの力で分身しているってことだな)
交喙(いすか)(なるほど、そいつは分かりやすい……)
総介「ネタは割れたが、まだやるのか?」
淳也達「愚問だな……貴様らを殺すことを条件に俺は脱走できたのだからな!」
交喙(いすか)「いや、誰にだよ?」
 もっともな突っ込みだ
與鷹(よたか)「まさか、子供に依頼されたのでは?」
淳也達「……」
 與鷹(よたか)の呟きに黙り込む淳也達。それは肯定しているも同義だ。
與鷹(よたか)(やはり、奴らのバックには場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)、その中位存在が暗躍しているということか……)
 だったら、尚更こ奴を倒さなければならない!

淳也「ハッ!……だが、貴様ら、それで勝ったつもりか!あぁ!」
 まだ無傷の方の淳也が叫びだす。
※なお、この後も分身はいっぱい出てくるのでここからは無傷の淳也を1番目として順次ナンバリングしていこう
 かと思ったけどやっぱやめるわ……(じゃ、何だったんだよ!)
交喙(いすか)「どういうこったよ?」
淳也「我が破壊の極致でも破壊できず……俺達の秘密も見破られた……二つの想定外の出来事があったが、だが、
それだけだ!」
淳也「貴様らに」
淳也「俺が……」
淳也達「俺達が倒せるか!」
與鷹(よたか)「なっ、何だと!?」
 ゾロゾロと姿を現す淳也の分身体……その数合計20!
交喙(いすか)「ずええぇ……こんなにいるのかよ!」
淳也達「どうだ!俺達を相手に、これでも勝てると言えるか?……戦いは数だよ!」
與鷹(よたか)「クッ……」
 確かに、これは厳しいか……
 こちらの戦力は総介、與鷹(よたか)交喙(いすか)、それにかんな……一人五人相手にしないといけない計算だ

#4
総介「與鷹(よたか)、お前は下がっていろ」
與鷹(よたか)「総!?」
 グっと拳を握りしめて戦闘準備に入ろうとした矢先、総介に止められる。
桜「相手が相手だけに徒手空拳分が悪すぎるかと……」
與鷹(よたか)「うっ……それは、まぁ、確かに……」
 固有振動を突いて全てを破壊する拳の持ち主に徒手空拳で挑むのは無謀の極みといっても過言ではない。
 與鷹(よたか)はこの死合に参加しないのが正解だ
與鷹(よたか)の使う双狼拳(そうろうけん)には敵の攻撃を全て回避してカウンターを繰り出す奥義もあるので全く戦えないってわけでも
 ないのだけれど……
*「オ〜〜ッホッホッホッホッホ、確かに、戦いは数よねぇ!」
一同「そ、その声は……」
 と、そこへ、高笑いと共に参上する一人の女性……こんな登場の仕方をするのは一人しかいない!
 そう、白拍子三姉妹の長姉、かなりだ!
 そして、かなり一人が現れたわけではない、その傍らには、どうして私がこんな目に……的な感じで涙を流すか
れんと、ふわぁ〜と欠伸(あくび)を噛み殺す(けい)の姿もあった。
 (けい)は面白半分でついてきて、かれんは強制的にここに連行されたのが一目でわかる。
白拍子かなり「さぁ!これで一人頭四人になったわね!」
 ズビシィっと鉄扇の形状にしてある真殺影刃(しんさつえいじん)を突きつけてかなりは言う
白拍子かれん「ちょっと、姉さん、こっちの戦力は六人なんだから一人頭四人ってのはおかし……」
 ズドゲシッ
かれん「げふぅ!?」
 かれんが言い終える前にかなりの鉄拳、もとい、鉄扇が飛ぶ。
 確かに、よく考えると與鷹(よたか)を抜きにするとこちらの戦力は総介、交喙(いすか)(けい)、かんな、かれん、かなりの六人にな
るはずだ……
かなり「いいこと、よく聞きなさい、そこのおバカなお嬢さん。相手は物体の固有振動をついて全てを破壊する超
振動拳の使い手なのよ、そんな技を受けたら私の大事な真殺影刃(しんさつえいじん)が粉々に砕け散るじゃないの!」
かれん「ええ!?それ、神器じゃなかったの!?」
一同(驚くところはそこかよ!)
かなり「いいえ、神器よ?」
かれん「だったら壊れないでしょうが!」
 魂の叫びだった
かなり「あのねぇ……」
 はぁと出来の悪い子を見るかのようにため息をつくかなり
かなり「今日は気分がのらないからパス!……とこの真殺影刃(しんさつえいじん)はおっしゃっているわ」
かれん「嘘つけぇ!」
 どう考えても気分が乗らないのはアンタの方でしょうが!と盛大な突っ込みをするかれん。
 ……どうでもいいけど、死合わないのだろうか……


続

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