Eighter -Midnight Howling-
51ster 〜淵に佇む特級剣者(セイバーエクストラ) D〜



#7
 吉田淳也 VS 元人交喙(いすか)
 総介が来るまでに一体何があったのか!?
吉田淳也「クソがッ!」
 ズドオンッ
 当たり散らすかの如く近くの壁に人差し指と中指を突き出した二本拳を叩き付け爆砕する淳也。
淳也(何故だ……)
 俺の拳で砕けないものなどない……
元人交喙(いすか)「来ないならこっちから行くぜ!九留紅霄(くどこうしょう)!」
 淳也が何をするか待っているほど交喙(いすか)も馬鹿ではない。間髪入れずに連撃を繰り出す。
淳也「うおおおお!振動爆砕桃掌(しんどうばくさいとうしょう)!」
 ガガガガガガガガガッ
 交喙(いすか)が繰り出す九連撃に対し淳也も拳を繰り出す。
淳也(何故だ、何故砕け散らん!)
 だが、淳也もいつまでも疑問を抱いているわけにもいかない。それに人が作り出し全てを爆砕する究極の拳だけ
が淳也の全てではない。
淳也「良かろう、ならば……」
 すうっと後方に下がると同時に突如姿が消える。それはあたかもそこには最初からいなかったが如く!
交喙(いすか)「な、何ィ!?」
淳也「フッ、死ねぇやぁ!振動爆砕真珠脚(しんどうばくさいしんじゅきゃく)!」
 ゴバッ
交喙(いすか)「うおおおっ……あ、脚技ぁ!?」
 次の瞬間、交喙(いすか)の背後より襲い来る淳也。
 超振動拳は何も手だけで繰り出す技ではない!脚で繰り出しても超振動拳だ!
※脚の場合は超振動拳ではなく、超振動脚なのではないか?なんて言わないで……
 ガキインッ
 すんでのところで振り返ると同時に金匙玉楊(きんしぎょくよう)で迫る脚を打ち返す。
淳也「チィッ」
 そしてまた後方に下がって姿をかき消す淳也。徹底したヒットアンドアウェイ戦法だ!
交喙(いすか)(危ねぇ……)
淳也「ハッ!」
交喙(いすか)「そっちか!」
 ガキンッ
 ギギィンッ
 ドガアンッ
 その後も交喙(いすか)の死角を狙って姿を現しては二本拳や脚を繰り出す淳也。
 その度に辛うじて振り返って金匙玉楊(きんしぎょくよう)で応戦する交喙(いすか)。
淳也「どうだ!これが俺の第二の秘拳!幻影膠転移陣(げんえいこうてんいじん)よぉ!!」
交喙(いすか)「くっそっ、なんだコイツ……」
 どうしてこうも死角を的確に突いて攻撃を仕掛けられる!?
 後手に回るしかない交喙(いすか)は徐々に押されていく。
 これが、総介らが到着するまでに交喙(いすか)が疲弊していた理由である。
淳也(だが、しぶとい奴だな……)
 追い詰めてはいるものの、淳也とて油断はできない状況だった。
※なお、交喙(いすか)が辛うじて反応できるのは淳也が拳を繰り出す際にウィィ〜〜ンというイヤらしい音が聞こえるため
 である。この振動音だけはどうしても消せない……それが超振動拳の弱点といえば弱点である。

#8
 と、いうことがあり、今に至る。
(かみ)総介「フン……貴様はそこで休んでいろ!」
淳也「ヘッ、次は貴様が相手をするというか……」
総介「あぁ、そうだ……」
 そう宣言し総介は蒼王の刃(ブルーロード)を抜く。
総介「一つ言っておく……貴様の拳でも俺の剣は砕けん」
淳也「ほざけぇ!我が拳に破壊できぬものはねぇ!」
 いや、さっき交喙(いすか)の神器破壊できなかったじゃん……なんて突っ込んではいけない。
※なお、総介の持つ蒼王の刃(ブルーロード)は神器でない……だが、異世界の神が一柱、鬥址偶襾(ツァトゥグア)の加護を受けた刀である。故に
 人の破壊の極致たる固有振動では破壊できません。
淳也「振動爆砕桃掌(しんどうばくさいとうしょう)!」
 ズガキィンッ
淳也「ン何ィ!?」
 交喙(いすか)金匙玉楊(きんしぎょくよう)に続いて二度目の破壊できない代物。立て続けにこんなことが起こり、淳也は驚きが隠せない
淳也「貴様ッ」
総介「言ったはずだ、貴様の拳では俺の剣は砕けん!と」
淳也「なぁ〜らぁ〜ばぁ〜」
 ふおっ
 怒りを露わに、一度退く淳也。
淳也「幻影膠転移陣(げんえいこうてんいじん)で砕け散るがいいわ!」
 ウィィイ〜〜ンッ
 総介の死角を突いて出現と同時に二本拳を繰り出す淳也。
與鷹(よたか)「な、何だと!?」
 ガキンッ
 総介もまた、イヤらしい振動音を頼りに振り向くと迫る二本拳に蒼王の刃(ブルーロード)を叩き付ける。
交喙(いすか)「俺もアレに……」
 あの技の謎は解けなかった……だから追い詰められた……と交喙(いすか)與鷹(よたか)(確かに、奴のあの技は……まるで転移しているようにしか見えない……)
淳也「ハッハァ〜〜!どうだ!これが俺の真の力よぉ!」
 ドドドドドドドドッ
 的確に執拗に総介の死角から攻撃を繰り出してはヒットアンドアウェイを繰り返す淳也。
山咲(やまざき)桜「……」
 そんな死合をただじっと見つめる桜。
桜「あっ……」
総介「フンッ、なるほどな……」
 交喙(いすか)と同様にこのままでは推し負ける……かに思えたが、総介は違った。
※そもそも交喙(いすか)と違ってあまり疲弊してない気がする……
総介「それが貴様の切り札……いや、与えられた力ということか……」
淳也「黙れ!手も足も出ない貴様に何ができる!」
総介「フン……」
 特に反論することもなく、総介は左手に藍后の刄(ブルーエンプレス)を構える。
淳也「二刀流!?ハッ!何をしようが俺の破壊の奥義に太刀打ちできると思うな!」
 淳也も手足を駆使した攻撃を繰り出す。(むし)ろ、淳也の方が手数が多いかもしれない……
 攻防は白熱する

與鷹(よたか)(な、何だ?!今、何か怪訝(おか)しなことがあったような……)
 その時、死合を見ていた與鷹(よたか)は奇妙なひっかかりを覚える。
 しかし、それが何なのかわからない……だが、こう、なんかもやもやとする。気になって仕方がないのだ。
 この違和感は一体何か!?

#9
 歴史の墓場、某所
 そこは、場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)の中位存在が屯する空間……
 そして、彼らは吉田淳也の巻き起こした騒動を最初から見てた。
歯付サヤ「アレが今回の適合者なのかしら?」
未来邇(みらりに)ルアド「そう……あの人間(パーツ)は百年に一度の逸材なんだな……」
 随分と誇らしげだ。
泥諏(でぃす)クォヴァ「世間を騒がせた凶悪犯らしいね……」
 でも、それだけにしか見えないが……とも続けるクォヴァ
手寸(てぃすぬ)クディミ「いいや、アレを探すのには甚く苦労したんすよ」
ルアド「さらに留置所から脱走させるのにも一苦労あったんだな」
 全ては《キツネザルの使徒》を滅殺するために!
サヤ「そこまでする必要はあったのかしら?」
 だが、淳也が場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)の適合者だと分かったからこそ、弁護士の新畑勇四郎を唆してまで脱走させたの
だ。
 さて、奴の使う幻影膠転移陣(げんえいこうてんいじん)の秘密とは一体何か!?そして、今回使われた場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)とは何なのか!?


END

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