Eighter -Midnight Howling-
51ster ~淵に佇む特級剣者 B~
#3
総介がEighter本部へやってきてから暫くの後、新たなる客人が参上する
*「邪魔するで~」
梓與鷹「ええと、依頼人ですか?」
*「ちょ~マテ!ここは『邪魔するなら帰りぃ!』言うて帰ろうとしてちゃうちゃう!ってなる流れやろが!」
一同「いや、吉本新喜劇じゃないんだから……」
大体そういうのは数人でやってきて、あの~、お連れの方は本当に帰ったんですけど……とかいうシーンじゃな
いかね?
*「よし、ほな、もう一回やるで」
上総介「馬鹿なことをやってないでとっとと用件を言え!」
*「なんや……とぉ?!」
カっとなって総介を睨み付けようとするが総介の剣幕に恐れをなして折れる男性
*「う、うむ……わ、ワイは刈忍奔侍、MyThRIrのモンや」
與鷹「MyThRIr……ってことはやっぱり、脱走した吉田淳也のことですか?」
刈忍奔侍「何や、話は早いやないかい。ほな、早速、大阪へ来てもらおうか!」
與鷹「いや、まだ依頼を受けるって言ったわけじゃないんだけど……」
奔侍「奴が逃げてからもう一週間も経っとる……や、ゆぅのに一行に手がかり一つ見つからへん。どないなっとる
んや!」
いや、アンタらの捜査の方がどないやねん!って突っ込みたい。
奔侍「そこで、アンタらの出番っちゅ~わけや」
一同(まさかの丸投げ……MyThRIrは大阪の治安を維持してるんじゃなかったのか!?)
一同、心の中で盛大に突っ込む。
総介「まぁいいだろう」
與鷹「お、おい。総……」
いきなり勝手に依頼を受ける総介にビックリ仰天。
ってか、Eighterのメンバーでもないのに勝手に依頼を受けるのはどういうことなのか……
まぁ、文句を言ってもしょうがないので一行はそのまま大阪へと足を運ぶのであった。
大阪、富田林市、数条矢法律事務所
※数条の矢……それ、すなわちarrowsである。間違っても一つの法ではない。
新畑勇四郎「依頼でしょうか?」
一行はまず弁護士の元を訪ねる。するといけしゃあしゃあと問題の新畑勇四郎が顔を出す。
奔侍「おぅ!てんめぇ、この度はよくもまぁ、やらかしてくれたもんよのぉ!」
ガン飛ばしながら奔侍が勇四郎に詰め寄る。
勇四郎「な、何だアンタら……」
山咲桜「ここは警部に任せてください」
今にも掴んでかかりそうな奔侍を宥めて桜が言う。
総介「貴様が新畑勇四郎だな」
勇四郎「ああ、俺がそうだが……」
総介「貴様は数日の前の日曜日、吉田淳也の元に接見に行ったな?」
勇四郎「え?……あ、あぁ……ああああ!!あ、ああっと!確かに接見に行ったが、それが何か?」
與鷹(明らかに怪しい挙動なんだが……)
目が泳いでいるとかそういうレベルではない位に不審だ。
#4
総介「フッ、やはりな……貴様接見には行ってないな」
勇四郎「ななななっ、ななっ何を根拠に」
アンタの態度が全てを物語ってるんだよ!と心の中で突っ込む一行。
奔侍「はっ、ようわかったで!」
その時、奔侍はあることに気づく。
奔侍「てんめぇ、接見に行ってへんやろ……ほんまは接見やのぅてソープランドに行っとったんやろ」
勇四郎「ななななっ、なっ、何を根拠に!?」
奔侍「ハッ!ソープランドに行ったことを『せっけん』に行ったっちゅ~しょ~もないダジャレが通用するとでも
思てるんかぁ!?」
一同「をい……」
※『せっけん』違い……
與鷹「じゃ、接見に行った弁護士ってのは誰なんだ?」
桜「吉田淳也を逃がすためだけに用意された替え玉……と考えるのが妥当でしょう……」
勇四郎「私の事はどうだっていいだろう。そんなことよりも逃げてしまった凶悪犯をなんとかするのがアンタ達の
役目じゃないのかね?」
奔侍「そいつは今、米軍と協力して三千人体勢でやっとるわ。つまり、奴がトッ捕まるんも時間の問題やっちゅ~
こっちゃ」
アンタは何もやってないんじゃないか……なんて考えてはいけない。
と、その時、奔侍の懐から携帯の着信が鳴る。
奔侍「おう、ワイや、どないしたん……な、何ぃい!?」
電話の相手から聞いた情報を得て突然血相を変える奔侍。
総介「フッ、どうやら悪い形で発見することができたようだな……」
與鷹「悪い形ってどういう……ま、まさか!?」
その時、総介の発言を桜が補足する
桜「逮捕しようとした方が壊滅したと、そういう連絡ですね」
奔侍「あ、ああ……」
與鷹「あ、そっちか……」
吉田淳也は婦女暴行や強盗を繰り返してきた凶悪犯。であるならば……と與鷹は考えていたが、どうやら違った
らしい。
奔侍「くっ、ぬかったで……奴ぁ数多の婦女子に暴行を加えて会得した超振動拳の使い手やっちゅ~ことを……」
ドカンと近くのテーブルに拳を叩き付ける奔侍。
與鷹「どういうことだよ、それ」
思わず突っ込んでしまう與鷹
奔侍「奴は人差し指と中指を突き出した二本拳で相手を突くぅ同時に、相手が女ならば絶妙な振動で昇天させ、そ
れ以外ならば固有振動をもって別の意味で昇天させるんや!」
與鷹「無茶苦茶だな……」
総介「行くぞ、山咲」
桜「はい、警部」
そんな折、総介は颯爽と数条矢法律事務所を出ていく。
與鷹「お、おい、総……」
しかし、今から行ったところで間に合うのだろうか?
続
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