Eighter -Midnight Howling-
47ther 〜巫剣(ふけん)走る試作剣者(セイバーオルタ) B〜



#3
 ある日Eighter本部にやってきたのはフードを目深に被った気配のない怪しさ100%の漢。
 その名はラージックーギミ……かつて劔に次元喪衣(ソーディアン・ディムクロス)と共に姿を(くら)ました顕明連(けんみょうれん)が設立した要人警護組織、アル
スのメンバーだ。
ラージックーギミ「果し合いに応じたロックスケルトンは敗れ、クリンゲフィシュに奪われた……」
 それがつい先日の話だという。
百鬼あろえ「要人警護を目的とする組織のメンバーが外部に助っ人を頼むのってどうなのかしら」
一同「……」
 そこは最もな突っ込みどころだ。
ラージックーギミ「だが、忘れたとは言わせんぞ、お前たちは我らが御ь(ごとうしゅ)様を傷つけたという事を!」
 唐突に話を変えるラージックーギミ。御ь(ごとうしゅ)と言うのはやはり、Code-ALSのことでスウィートプラントでの戦い
で負傷?した事を指しているのか!?
(かみ)総介「だが、それは貴様らの方にも落ち度があるはずだ」
梓與鷹(よたか)「総」
 と、その時、Eighter本部に新たな客が……というか総介が現る。
 こちらとしては降りかかる火の粉を払っただけの事……そして、総介は続ける。
総介「助けてやる代わりに、貴様らが隠し持つ劔に次元喪衣(ソーディアン・ディムクロス)を引き渡してもらおうか」
ラージックーギミ「ソーディアン……ディムクロス!?……何の話だ?」
 何も知らないかのようなラージックーギミ。いや、事実、何も知らされていないのだろう。
山咲(やまざき)桜(警部、何も知らされていないのでしょうか?)
総介(おそらくは、な……)
総介「知らないのならば、いい」
 これ以上は無意味と判断し、話を斬り上げる総介。
與鷹(よたか)「と、言うか、どうして総がここに?」
 それはさておき、與鷹(よたか)はずっと黙っていた疑問を今ここで尋ねる。
 いや、言わなくてもなんとなくわかる。
 今までの経験からすると依頼が発生し、総介がやってくると必ずと言っていいほど背後には場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)が
関与している。
※総介は一体どうやって嗅ぎ付けてくるのかも謎ですが……
総介「俺達に助けを求むということは、何か挑戦状でも届いたということか?」
 勝手にEighterの総意としてEighterメンバーでもないはずの総介が取り仕切る。
ラージックーギミ「そうではない。……が、御ь(ごとうしゅ)様に相談したところ、ここに助けを求めよ、ということになっ
た」
 だからこうしてやってきた!とラージックーギミは言う。
総介「まぁ、助けることは(やぶさ)かではないが……」
あろえ、雨水朧(うすい・おぼろ)(いや、勝手に依頼を受けないでほしいんだけどなぁ……)
 そんなことを心の中で呟く。いや実際には叫びたいのだが、総介を相手にそんなことができる度胸はない。
 ともあれ、半ば勝手に総介が請け負ったこの依頼、Eighterとしても動くしかなくなってしまった。
総介「で、貴様らはそのクリンゲフィシュとやらについてどこまで知っている?」
ラージックーギミ「あ、あぁ、それは……」
 クリンゲフィシュの構成員などはこの際どうでもいいが、奴らがどこを拠点にしているのか位は知っておきたい
総介であった。
※まぁ、最終的にはレムリアで一発検索可能ですが……

#4
 石川県、某所
 富山から倶利伽羅峠を超えた先……その近くにそれはあった。羅聖院と言う名の寺院……いや、教会か。
與鷹(よたか)「何だココ?」
 『殿』ではなく『院』!?と與鷹(よたか)が心の中で驚きの声を上げる。
 いや、アンタ、それ漫画の読みすぎだよ……
與鷹(よたか)「本当にここがクリンゲフィシュのアジトなのか?」
白拍子かんな「はい、レムリアで検索したので間違いはないかと」
 なら間違いない。
※いや、そんなんでいいのか!?
*「こんなところまでやってくるとは、貴様ら組織の手の者か?」
一同「なっ、誰だ!?」
 そのとき、突如謎の声……声の方を向くとそこには気配のない謎の存在が腕組みして大木に寄りかかっていた。
やはりと言うべきか彼はフードを目深に被っており表情その他は窺えない。
*「ここより先、貴様らにとっては地獄より辛い道」
総介「フン、ならば俺は貴様に地獄を見せる漢だ!」
 いや、何を張り合っているのか……
*「よかろう……ならば……」
 と、そいつはもっていた大太刀を抜き放つ。
ラージックーギミ「な、まさか、お前は……ロックスケルトン!?」
 その大太刀の長さは四尺二寸!……それはクリンゲフィシュの手の者に敗北し、奪われたロックスケルトンと同
じであった。
*「ロックスケルトン?……否ッ!俺はクラッゲンプッシュ!」
ラージックーギミ「クラッゲンプッシュ!?」
 だが、どう考えても奴はロックスケルトンにしか見えない(とラージックーギミは思う)
クラッゲンプッシュ「退かぬならば、斬る!」
ラージックーギミ「ま、待ってくれ!」
 お前がロックスケルトンならば、殺し合う道理はない。まずは話し合いを……とラージックーギミは前に出るが
かんなはそれを止める。
かんな「駄目です……あれは確かにロックスケルトンですが、既にクリンゲフィシュに操られています」
ラージックーギミ「くっ、なんてこった……」
與鷹(よたか)(こんな時になんだが、ロックスケルトンというのは……)
 こんなときだが、素朴な疑問を投げかける與鷹(よたか)。
かんな(Rockは岩……そしてSkeletonは……)
総介(骨ではない。スケルトンバッグの意味だ!)
 すかさず総介が割り込んでくる。
與鷹(よたか)(と言うことは……)
かんな(ええ……)
 岩透(いわとおし)……それは武蔵坊弁慶が()いていたとされる四尺二寸の大太刀だ!
 そして、クラッゲンプッシュとはCrag and Push。……Cragは『岩』、andは『と』、Pushは『押し』である。
一同「……」
 無茶苦茶な当て字である。
 ともかく、クラッゲンプッシュとは死合わなければならない運命(さだめ)なのか!?
 そぉ〜のぉ〜血ぃ〜のぉ〜運命(さだめ)ぇ〜♪
※ちょ、待て!

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