Eighter -Midnight Howling-
45ther 〜とある横道(アストレイ)殪奪(ゲルプレイダー) A〜



#0
 リキッドタイガー、それは自衛隊海軍の鼻つまみ者、銀鯱(ぎんしゃち)の残党軍だ。
 奴らはドラゴンクロニクルをベースに全く別のシステムとして作り上げられたボルツァーマトムを駆使し復讐の
ために立ち上がった!
 Eighterの一行は銀鯱(ぎんしゃち)の時と同じように自衛隊海軍を後詰にリキッドタイガー壊滅に乗り出したのだった。

#1
 青ヶ島近辺の海上、空母・りゅうのいぶき
鴨川狂蔵(くるうぞう)「チッ、振り切れなかったってことか……」
若狗葉磨(じゃっく・はま)「どうする、狂蔵(くるうぞう)狂蔵(くるうぞう)「討って出るしかあるまい……!」
*「では、まず俺が行く」
 鞘に核のハザードシンボルが描かれたいかにもヤバイ幅広な軍刀を携えた漢がすくっと立ち上がる。この漢もま
たリキッドタイガー幹部の一人。名を丹代刳都(たしろ・くるつ)と言う。
 そのまま彼は甲板へ向かう。

 一方……
梓與鷹(よたか)「さて、これからどうするかだが……」
(かみ)総介「出てしまったものは仕方がない……このまま海上でケリをつけるしかあるまい」
與鷹(よたか)「まぁ、そうなるか……」
 と、言うかそれ以外に道はない……と、そんな折、刳都(くるつ)推参!
丹代刳都(たしろ・くるつ)「そうはさせんぞ!」
総介「フン、早速第一の刺客がお出ましってことか」
刳都(くるつ)「リキッドタイガーに盾突いたことを地獄で後悔させてやろう……」
 そう宣言すると鞘に核のハザードシンボルの付いたいかにもヤバげな幅広な軍刀見せつける。
刳都(くるつ)「この、Λ(ラムダ)クラフトブレードでな!」
 Λ(ラムダ)クラフトブレード……これもまたバーニングスピアのようなビックリドッキリメカなのだろうか!?
 一見すると幅広なだけの軍刀と変わらないような気もするが……
刳都(くるつ)「そこの侍気取り、来い!」
某敢(それがし・いさむ)「む、拙者でござるか?」
 誰がアイツの相手をするか……と相談しようとした矢先、(いさむ)を指名する刳都(くるつ)
刳都(くるつ)「てめぇ以外にどこに侍がいるってんだ!」
與鷹(よたか)(いや、まぁ、それはそうだけど……)
刳都(くるつ)「見たところ、貴様はどうやら抜刀術の使い手のようだな……ならば、俺と貴様、どちらが速いかひとつ勝負
といこうではないか」
(いさむ)「承知でござるよ!」
 そういって(いさむ)は明星幻爪に手をかける。
 両雄はそのままジリジリと間合いを詰める。緊迫した空気が張りつめ、一行は固唾を飲んで見守る。
(いさむ)刳都(くるつ)「……」
 そして、二人が一足一刀の間合いを超えた瞬間、双方抜刀
(いさむ)「きぃえい!」
刳都(くるつ)「フンッ」
 ガッ
一同「な、何だと!?」
 刳都(くるつ)の軍刀、その峰の部分からバーニア噴射……そのおかげで双方同じ瞬間に抜刀したにも関わらず、(いさむ)が出遅
れ、刳都(くるつ)の刃が(いさむ)が抜刀しかかった際のハバキに叩き付けられる。
刳都(くるつ)「見たか!これがΛ(ラムダ)クラフトブレードの実力よ!」
 アンタの実力じゃないんかい!と心の中で突っ込む一行。

#2
(いさむ)(だが、これは……どういうことでござる?)
 ジェット推進を味方につけた斬撃ならばもっと(いさむ)が圧されていてもおかしくはない。だが、実際には(いさむ)は持ちこ
たえているのだ。
刳都(くるつ)「フッ」
 このまま(いさむ)を押し切るかと思いきや、ひらりと飛び退って距離をとる刳都(くるつ)
(いさむ)「何の真似でござるか?」
刳都(くるつ)「今ので分かっただろう。こちらにボルツァーマトムの加護が、Λ(ラムダ)クラフトブレードがある限り、貴様らに勝
ち目はない!」
 いや、実力で勝負しろよ!と突っ込みたい與鷹(よたか)。
総介「ハッ、だからと言って大人しく投降するとでも思ったか?」
刳都(くるつ)「いいぜ、大いに抵抗しろ!その方が殺し甲斐がある!」
 くいくいと手招き。かかってこいやと挑発しているようだ。
 と、言うか(いさむ)そっちのけで話が進んでいく。
(いさむ)「と、ともかく、いざ、尋常に勝負!でござるよ」
 気をとりなおし、死合に臨む(いさむ)(いさむ)(奴は確かに拙者よりも抜刀のスピードは速いでござる……だが……)
 それだけで死合の勝敗が決まるわけではない。
 それに、言い訳がましいかもしれないが、先ほどの抜刀が(いさむ)にとっての最速というわけでもない。
(いさむ)「キィエイ!空熄翩舞(くうそくへんぶ)」
 ズダダンッ
 抜刀術からの二連続斬撃、さらにオマケで真空波の刃による三段構えを繰り出す。
刳都(くるつ)「無駄な足掻きよ!」
 だが、しかし、ふわり、ひらりとまるで重力を無視するかのような動きで回避してみせる刳都(くるつ)
與鷹(よたか)「なっ!?なんだあの動き……ジェット推進であんな動きができるわけがない」
刳都(くるつ)「ハッ!このΛ(ラムダ)クラフトブレードは力場を応用しているのだ!……バーニングスピアみたいなどこまでいって
も原始的な噴射に頼っている今までのスラスターとは反射速度、加速も天と地よっ!」
※光の翼かよ!
與鷹(よたか)「無茶苦茶だな……」
 だが、バーニア噴射ではないのであれば、先ほど(いさむ)が持ちこたえたのも頷けるというものだ。
與鷹(よたか)(いさむ)……」
 もし、無理と感じたならば下がっても……と言いかけたところで(いさむ)は首を横に振る
(いさむ)「拙者、まだいけるでござるよ」
與鷹(よたか)「そうか、でも、無理するなよ」
(いさむ)「承知、でござるよ!」
 グッと明星幻爪を強く握りしめる(いさむ)
刳都(くるつ)「勝てないと分かっていて、なおも歯向かうというか、愚かな……」
(いさむ)「それはどうでござろうか」
刳都(くるつ)「フン、ならば、貴様が勝てるなどというその幻想を、ぶち壊す!」
 果たして、(いさむ)にはどんな策があるというのか!?


続

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