#7
　リキッドタイガー幹部末席に名を連ねる漢。その名は社谷萬寺(やしろや・まんでら)。柄に核のハザードシンボルが描かれ、刃には
バーニアが付いた無茶苦茶な槍、バーニングスピアで朧(おぼろ)に襲い掛かる。
梓與鷹(よたか)「朧(おぼろ)、大丈夫か？」
雨水朧(うすい・おぼろ)「あ痛ぁ……な、なんとか……」
　バーニングスピアも無茶苦茶だけど、ジェット噴射による激突で吹き飛ばされて壁に激突しても無事な朧(おぼろ)も大概
だよ。
上(かみ)総介「チッ、あまり悠長にしてられないな……」
　その時、総介は何かを察知する。それは、かつて真理に触れて、生きて帰ってきた総介だからこそわかる気配…
…あるいは未来と言っても過言ではない。
総介「ここはあいつに任せて俺たちは先へ進むぞ」
梓與鷹(よたか)「え？総？」
白拍子かんな「そうですね、急がないと、間に合わないかもしれません」
　かんなも神妙な面持ちでそう呟く。
與鷹(よたか)「どういう？」
総介「今は話している暇はない！」
　そういって総介は與鷹(よたか)の腕を引っ張り駆け出す
山咲(やまざき)桜「今は警部の指示に従ってください」
與鷹(よたか)「お、おい……」
朧(おぼろ)「え？ちょっと、みんなどこ行くのよ！」
社谷萬寺(やしろや・まんでら)「行かせてなるものか！」
　ガツンッ
朧(おぼろ)「ああ、もう……」
　襲い来る萬寺(まんでら)のバーニングスピアを八咫鉾(やしむ)で受け止める朧(おぼろ)。
かんな「朧(おぼろ)さん、ここは任せます」
朧(おぼろ)「ええい、もう、なんか知らんけど分かったわ！」
　半ばやけくそである。
かんな「あと、それから相手の槍、破壊しないようにお願いしますね」
　最悪放射能汚染の恐れが……と、恐ろしいことを言い残し去っていく一行
朧(おぼろ)「ちょ、ちょっと核爆発に巻き込まれたくないから逃げたんじゃないでしょうね！」
萬寺(まんでら)「核爆発！？愚かな、ボルツァーマトムは極めてクリーンで安全な核兵器よ！」
朧(おぼろ)「何の根拠があってそんなことが言えるのよぉ！」
　最早、それは狂信に近い。
　なお、かんなが朧(おぼろ)に忠告したのは、朧(おぼろ)の実力ならば最悪、バーニングスピアを破壊できてしまうからである。
　もっとも、破壊できないとしても、念のために忠告はしただろうが……
萬寺(まんでら)「くそっ、早くこいつを斃して追いかけないと出港に……」
朧(おぼろ)「出航？」
萬寺(まんでら)「おっと」
　口が滑った……と萬寺(まんでら)。
萬寺(まんでら)「貴様を殺せば死人に口なし……うおおお！撃鑓襲貫(げきそうしゅうかん)・後焼(ごしょう)」
朧(おぼろ)「だったらこっちは、旋抉黎杭打刳撃(スクリュー・パイルドライバー)！」
　ズドオオンッ
　バーニア噴射を利用して一気に間合いを詰める萬寺(まんでら)。抉りで生じた渦によって相手を吹き飛ばす朧(おぼろ)。
　もう、槍で行う必要ないよね？ってな死合である。
萬寺(まんでら)「ぐおおおお！？」
　バキバキバキッ
　そして、この死合を制したのは、朧(おぼろ)！
　渦状の太刀風にバーニングスピアが巻き込まれ、そして、柄が砕かれていく
朧(おぼろ)「やりぃ！これが私のドリルハリケーンの威力よ！」
　ガツンと鐓(いしづき)で地面を叩き、ぶいっと得意げにブイサインで決めポーズ。
※槍で『やりぃ！』って別にダジャレではありません……きっと……

#8
　一方、與鷹(よたか)らはと言うと……
與鷹(よたか)「何だありゃ？」
　洞窟の奥……そこはドックとなっており、もうじき艦が出港しそうな感じであった。
　そう、総介はこれを察知したのだ……
　この艦こそ、リキッドタイガーの母艦、空母・りゅうのいぶきである。
鴨川狂蔵(くるうぞう)「侵入者が来てるぞ、出港準備急げ！」
一同「イエス、サー！」
　空母・りゅうのいぶき……操舵手は狂蔵(くるうぞう)の右腕、粂原芽理沙(めりさ)。ソナーはリキッドタイガーNo.3の畑中伽捨(きゃすてろ)。砲術
手は同じくNo.4の若狗葉磨(じゃっく・はま)が務める。
　そして、何を隠そう、この空母にこそボルツァーマトムが搭載されているのだ。
※見た目ジ〇ングに出てくる原子爆弾が空母に乗っているって最早ジパ〇グにしか思えないのはきっと気のせい
総介「驚くのは後にしろ！今はあの艦に乗り込むのが先決！」
與鷹(よたか)「お、おう……」
畑中伽捨(きゃすてろ)「はっ！？狂蔵(くるうぞう)……何かがやってきます！」
　ソナー、ヘッドホンから音を拾い皆に周知
狂蔵(くるうぞう)「チィ、侵入者の奴ら、もうここまで来たのか！？」
粂原芽理沙(めりさ)「萬寺(まんでら)のクソバカヤロウ、何やってんだ……」
伽捨(きゃすてろ)「そっちはそっちで交戦中……いや、既に終わってる！？」
狂蔵(くるうぞう)「クッ……出港する！ハッチ開け……いや、もはやそんな悠長なことはやってられん！」
　狂蔵(くるうぞう)の叫びにすぐさま行動を起こすのは砲術手の葉磨(はま)だ。
若狗葉磨(じゃっく・はま)「OK、任せろ！CU魚雷、一番から四番発射！」
　シュゴ〜〜〜ッ
與鷹(よたか)「魚雷！？」
　こっちに来るのか？と與鷹(よたか)
総介「いや、よく見ろ！」
　奴らが破壊するのはハッチだ！おそらくハッチを開けるのがまどろっこしいので魚雷で爆破するつもりだ。
　なお、そんなCU魚雷は核のハザードシンボルがついた見るからにアウトな魚雷であるが、その実は劣化ウラン弾
を魚雷に転用したものである。
與鷹(よたか)「マズい、奴ら出航してるぞ！」
　ここでどうでもいいかもしれませんが豆知識を一つ。出航と出港って何が違うの？
　出航というのは艦や飛行機が発つことを言い、出港は文字通り港から出ることを言う。……結局（艦としては）
同じなのでは？と思われがちだが、自衛隊によると客船などが定期敵に海に出る事を出航、軍艦が不定期に海に出
る事を出港というらしい。
　リキッドタイガーの連中は元自衛隊海軍の鼻つまみ者、銀鯱の残党軍。なればこそ、使うのは港の方の出港だ！
※本当、どうでもいいわ！
白拍子かんな「敢(いさむ)さん、あの鉄材を……」
某敢(それがし・いさむ)「承知、でござるよ！」
　近くに立てかけてある鉄材を指差すかんな。敢(いさむ)はかんなの意図を理解し一人走り出す
敢(いさむ)「きぇい！」
　ズバンッキンッ
　鉄材を止めてある鋼のロープを切断。自由になった鉄材はそのまま倒れ、艦と船着き場を結ぶ懸け橋となる。
総介「急げ！」
一同「ああ！」
　と、言うわけで一行はどうにか出向前の空母へ乗り込むことに成功する。
　ズドオオンンッ
　と、同時に魚雷がハッチを破壊。道が開く。

#9
伽捨(きゃすてろ)「う、ぐううう……侵入者、乗り込んだ模様……」
　魚雷が命中するちょっと前までヘッドホンに耳をかけていた伽捨(きゃすてろ)。
　おかげで鉄材が艦にぶつかる音を大音量で聞いてしまい頭がぐわんぐわんしている。
狂蔵(くるうぞう)「クソッ！」
　ドカンと壁に拳を叩き付ける狂蔵(くるうぞう)。
狂蔵(くるうぞう)「いいだろう、決着は艦の上でつける！」
一同「イエス、サー！」
　決戦の舞台は青ヶ島から八丈島までの間の航路……
　果たして、Eighterの面々はリキッドタイガーを撃滅できるのか！？


END