Eighter -Midnight Howling-
45ther 〜とある横道(アストレイ)殪奪(ゲルプレイダー) B〜



#3
 Λ(ラムダ)クラフトブレード……それはボルツァーマトムの力を駆使した無茶苦茶な兵器。それに対する(いさむ)に勝機はある
のか!?
某敢(それがし・いさむ)「ハアッ!双荒掻舞(そうこうそうぶ)!」
 ダダンッ
 十文字斬りを放つ(いさむ)だが、やはり、ひらりと(かわ)されてしまう。
丹代刳都(たしろ・くるつ)「無駄だ!」
(いさむ)「キィエエッ!穿刃咬舞(せんじんこうぶ)!」
 続いて突くと同時に刳る(いさむ)。
 が、しかし、それも重力を無視した動きで上空に逃れ、そのまま(いさむ)の背後を取る。
刳都(くるつ)「そろそろ死ね!飛炎空牙(ひえんくうが)!」
 ゴアッ
 力場を応用した超加速で斬撃を叩き込む。
(いさむ)「くっ」
 ザザザザザザザッ
刳都(くるつ)「な、何ぃ!?」
 滑るように甲板を移動し迫る凶刃を回避する(いさむ)※いや、(いさむ)草鞋(わらじ)なので実際に甲板の上を滑っているのですが……(むし)草鞋(わらじ)で甲板の上を滑らず移動できる(いさむ)の方
 が凄くないですか?
刳都(くるつ)「馬鹿な、ありえねぇだろ!」
(いさむ)「キエエッ!」
 驚愕……それが一瞬の隙となる。そして、その一瞬の隙を逃す(いさむ)ではない。再び甲板の上を滑るように移動し、
刳都(くるつ)の背後を取るとそのまま斬撃を繰り出す。
刳都(くるつ)「なめるなァ!」
 ザムッ
 バク転して回避……重力を無視して距離を取ろうとした……が、しかし、明星幻爪(みょうじょうげんそう)刳都(くるつ)を掠める。
刳都(くるつ)「何だと!?」
 刳都(くるつ)がいかに常軌を逸した速さで行動しようとも、(いさむ)にはそれを見ることができた。
 それは、(いさむ)が真なる剣聖と呼ばれる所以……それは心眼を超えた心眼、神眼の力!
(いさむ)「オオオッ!旋翳翩舞(せんえいへんぶ)!」
 抜刀し、勢いそのままに回転し斬撃を叩き込む。
刳都(くるつ)「うごごごごごっ!?」
 直撃を受けて吹き飛ぶ刳都(くるつ)。が、なんとか力場を応用して体勢を立て直す。
(かみ)総介「フッ、勝負あったな……」
 静かに呟く総介。
刳都(くるつ)「ふ、巫山戯(ふざけ)るなぁ!」
 ゴアアアッ
 怒りと共に天高く舞い上がる刳都(くるつ)。先ほどの総介の言葉が刳都(くるつ)の逆鱗に触れたようだ。
刳都(くるつ)「いだろう、貴様らにΛ(ラムダ)クラフトブレードの……ボルツァーマトム最大の力を見せてやるわ!」
 そのまま天空でΛ(ラムダ)クラフトブレードを最上段に構える刳都(くるつ)※いや、お前の実力を見せろよ!
刳都(くるつ)「消えろ!飛炎襲鏈牙(ひえんしゅうれんが)!」
(いさむ)「アアアッ!駆元紅天舞(くげんこうてんぶ)!」
 ドゴアッ
 力場を最大限に利用し、一気に間合いを詰める刳都(くるつ)刳都(くるつ)()ったぁ!)
 刳都(くるつ)は見た、いや、感じた。(いさむ)は俺の動きを見て、その先を見て、前もって動いているのだと……それが神眼の
真骨頂であると察知した。ならば、人智を超えたスピードで迫れば、奴に反応させる暇すら与えなければ俺が勝つ
のは必至!

#4
 刳都(くるつ)が勝利を確信した次の瞬間、刳都(くるつ)の腹に明星幻爪(みょうじょうげんそう)(の峰)が叩き込まれる
※刃ではなく、峰なのは峰打ちを叩き込んだため。(いや、わかるよ……)
刳都(くるつ)「げふぉあっ?!」
 俺のスピードに対応できるはずがない……なのになぜ!?
 ボチャンッ
 刳都(くるつ)はそんなことを思い浮かべながら海へと墜落するのであった。
 なお、(いさむ)が勝てたのは駆元紅天舞(くげんこうてんぶ)という技が次元を駆け相手を切り裂くという月陽歳刑(つきかげさいぎょう)流・奥義であったからこ
そである。
 まさしく次元が違う戦いだったのだ。
(いさむ)「手ごわい相手でござった……」
総介「まずは一人……か」
梓與鷹(よたか)「それにしても、こんなのがまだいるってのかよ……」
 こんなの、というか、ボルツァーマトムの加護を受けたビックリドッキリメカ
山咲(やまざき)桜「網谷ゼルシフォム……希代の狂科学者(マッドサイエンティスト)……」
総介「フン、それだけなものかよ」
與鷹(よたか)「……やっぱりオーパーツなのか」
 薄々わかっていたことだが、一応聞いてみる與鷹(よたか)
総介「ああ……」
白拍子かんな「原子の冥王(アトミック・プルートゥ)……それがボルツァーマトムに組み込まれているオーパーツです」
 総介はそれを回収するためにもここへ来た。
 まぁ、総介が絡んでいる時点でオーパーツが関与しているのはほぼ確定だったわけだが……
與鷹(よたか)「じゃ、そのオーパーツが奴らにあんな無茶苦茶な挙動を?」
かんな「はい。原子の冥王(アトミック・プルートゥ)は、通信障害や物質を浮遊させる特殊な粒子フィールドを形成する場違いな白き遺物(ポジティヴ・オーパーツ)で
す」
 OCTU(久しぶりに出てきたな、これ……)を操作して情報を開示するかんな
総介「その特殊な粒子ってのがΛ(ラムダ)粒子」
 そうか、奴らの武器、Λ(ラムダ)クラフトなんとかってのはΛ(ラムダ)粒子を駆使しているからというわけか!と與鷹(よたか)。
かんな「はい、Λ(ラムダ)クラフト……それはΛ(ラムダ)粒子を用いて物体を浮上させる力場を発生させる装置のことです」
Λ(ラムダ)粒子、Λ(ラムダ)クラフト……なんだかミノ〇スキー粒子、ミ〇フスキークラフトのオマージュに見えるって?……そ
 こには突っ込んではいけない!
與鷹(よたか)(それにしても、網谷ゼルシフォム……奴は一体何者なんだ!?)

 と、その時、甲板に新たな人物が参上する
*「刳都(くるつ)を斃すとは、やるじゃねぇか!」
一同「なっ、誰だ!?」
 一行の視線の先には、大きなハルバードを携えたリキッドタイガー幹部と思しき漢が立っていた。
*「次は俺が相手だ!」
 ハルバードでEighter一行をズビシっと突き刺し叫ぶ漢。
 こいつの持つハルバードもΛ(ラムダ)クラフトブレードと同等の力を持つ得物に違いない。


続

前の話へ 戻る 次の話へ