Eighter -Midnight Howling-
44ther 〜とある横道(アストレイ)蒼厄(ブラウカラミティ) B〜



#3
 銀鯱(ぎんしゃち)……それはまだ完全には壊滅に至っていなかった?!……その残党軍はリキッドタイガーを名乗り、青ヶ島
近辺の海を荒らしまわっていたのだ!
 だが、奴らの目的はそれだけではあるまい……
(かみ)総介「話を続けていいか?」
 シーゼロが青ヶ島で海賊をやっているリキッドタイガーが銀鯱(ぎんしゃち)残党軍だったと知り驚愕している中、総介が言う
北郷南留(みなと)「ええ、お願いするわ」
山咲(やまざき)桜「リキッドタイガーは青ヶ島を根城に海賊行為を行ってきましたが、奴らの目的は八丈島の奪還です」
 でも、やっぱり話を続けるのは総介じゃなくて桜なんですよね。
シーゼロ「八丈島の奪還?……海軍戦略研究所か!」
 八丈島と聞いてハッとするシーゼロ。
南留(みなと)「ええ、その通りよ」
シーゼロ「しかし、高々海賊軍に後れを取るような自衛隊海軍(われわれ)ではないでしょう?」
総介「まぁ、そう思うのも無理はない……」
シーゼロ「どういうことだ、それは?」
 我らを侮辱する気か?とカっとなるシーゼロ。そんな彼女を前に南留(みなと)はポツリと呟く
南留(みなと)「ドラゴンクロニクル……」
シーゼロ「それは……銀鯱(ぎんしゃち)壊滅の際に破壊したはずでは?」
桜「ええ、ですが、リキッドタイガーはその断片情報からシステムを復元……いえ、再構築しました」
シーゼロ「まさか、そんなことが可能なのか?」
 まぁ、可能だったからこそ、今こうなっているわけなのだが……
総介「で、だ、今回は最初からお前たちに後詰を任せるためにここに来たってわけだ」
シーゼロ「……」
 確かに前回も後詰だったが、今回もか……と心の中で思うシーゼロ
南留(みなと)「ええと、そういうことだから、今回もよろしくお願いするわね」
シーゼロ「はっ!了解であります!」
 色々思うところはあっても、軍令に背いてはいけないのが軍人のつらいところなの……
総介「では、詳細は後程送る……行くぞ、山咲(やまざき)!」
桜「はい、警部」
 伝えたいことは全て伝えた……と、言うわけで総介は桜を引き連れその場を後にするのであった。

シーゼロ「それにしても、青ヶ島近辺を荒らす海賊が銀鯱(ぎんしゃち)の残党軍だったとは……」
南留(みなと)「全く、悩みの種は尽きないわね……」
シーゼロ「……」
 そんな彼女の呟きに、神妙な面持ちになるシーゼロ
南留(みなと)「どうしたの?」
シーゼロ「いや、残党軍をどうにかしたら、今度は残党軍の残党軍とかが出てこないかな……と思って……」
南留(みなと)「い、嫌なこと言わないで頂戴……」
 嫌な汗が止まらない……そんな南留(みなと)であった。
 きっと銀鯱(ぎんしゃち)残党軍の果てには貴族主義とかマリア主義とかが出てくるんですよ
※どこの宇宙世紀だよ!

#4
 天四斗(あまよと)、Eighter本部
 総介は横浜の自衛隊海軍基地でコトのあらましを説明した後、すぐさま天四斗(あまよと)へ舞い戻り、與鷹(よたか)とコンタクトを
とった。
総介「と、言うわけだ」
梓與鷹(よたか)「いやいや、と、言うわけだって言われても……」
 既に桜から銀鯱(ぎんしゃち)の残党軍が……の件の説明は受けてはいるのだが、それはおいといて……
雨水朧(うすい・おぼろ)銀鯱(ぎんしゃち)残党軍……リキッドタイガー」
與鷹(よたか)「奴ら虎ってつけばなんでもいいのかよ……」
 頭を抱える與鷹(よたか)。
総介「そんなこと俺に聞かれても困る」
(おぼろ)「どゆこと?」
 ハテナ?と首をかしげる(おぼろ)
白拍子かんな「リキッドとは液体を意味します。タイガーは言うまでもないですね……」
 ふんふん、と頷く(おぼろ)
桜「つまり、リキッドタイガーは漢字二文字で現すとさしずめ『水虎』……」
(おぼろ)「水虎……なんかカッコいいわね!」
かんな「中国と日本とで妖怪像が異なりますが、日本では河童と同義なんです」
(おぼろ)「嘘ん!?」
 ずるべた〜ん!っとずっこける(おぼろ)(おぼろ)「か、カッパってあの、カッパぁ!?」
與鷹(よたか)「ああ、キュウリが好物のカッパだ」
(おぼろ)「レインコートやギリシャ文字じゃなくて?」
與鷹(よたか)「いやいやいや、そんなわけないだろ」
 大体そうならイントネーションが違うんじゃないか?
 さておき、(おぼろ)は、そ、そんなぁ……シクラメンのことをを豚饅頭って言う位ショックと衝撃を受けたわ……と謎
の落ち込みよう
総介「そんなことよりも、問題なのは……」
與鷹(よたか)「ドラゴンクロニクルをベースにしたシステム……か……」
桜「はい。ベースにしたといっても最早全くの別物と考えても差し支えないでしょう」
かんな「そのシステムの名はボルツァーマトム」
(おぼろ)「変な名前……」
 開発者は流れの狂科学者(マッドサイエンティスト)、網谷ゼルシフォム……と補足説明
桜「ドラゴンクロニクルとの最大の違いは場所を選ばないという点です」
與鷹(よたか)「場所……?ああ、龍脈エネルギーを必要としないってことか?」
かんな「はい、必要なものは核燃料です」
(おぼろ)「エコロジーかと思ったら全然違ったし!」
 何それ、危険すぎる!
総介「ともかくだ、俺たちは奴らの野望を打ち砕く!」
桜「既に自衛隊海軍の協力は取っています」
與鷹(よたか)「自衛隊海軍って言うと……」
 ああ、銀鯱(ぎんしゃち)壊滅の際、後詰をしてもらったシーゼロだ!と総介。
 さぁ!銀鯱(ぎんしゃち)残党軍討伐の始まりだ!


続

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